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病人だって人間だもの

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日常の中にある「病」をテーマとしてまとめたマガジンです。自らの体験をベースとしたショートストーリー集。
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#入院

「死」を意識する病が教えてくれること。誰のために生きるのか?

大きな病を抱えると、経過観察で通院が続くことが多い。そのこと自体が苦痛でもある。 だが、それができるのも生きていればこそ。 自分の足で、自分のために、病院に通い続けること。 自分のために生きることを諭してくれた人たちに、ほんの軽く会釈する気持ちで「外来入口」をくぐり続けている。 ◇ 2000年代半ば。 あの当時は、入院するときのアンケートに「臓器提供カード」所持に関する解答欄があった。 それ自体を特別なこととは思っていなかったのだが、特別なことだと感じた方もいた

オムライスが「ゴール」だったあの頃

おそらく私は「何かの目標」を立てることが得意なのだろう。 自分を上手に騙してその気にさせ、「うっかり頑張らせる」ことが得意なのだ。 ◇ 目標の立て方にはコツがある。 目標を達成する前に小さなご褒美をあげること。目標を達成するためのゴールを明確にすること。 だが、このコツには、それほど拘りもない。 ただ、「漠然と楽しみ」を感じることに向かって進むとき、その道を進み切る「理由」を「目標」という言葉に換えているだけ。「目標だから」といい切って、辛い気持ちや苦しみを和らげ