見出し画像

53歳から始める鉄拳8 その12

鉄拳界には、というよりPCゲーム界には、古の時代からMODという文化がある。MODはModificationから来ている語で、有志の手によるゲームの改造や修正を意味する。

古くはカウンターストライクなんかも確かHalfLifeのMODから始まったゲームだったと記憶しているが、まあPCゲームだとファイルの中身はユーザーのPC内に置いてあって中身が丸見えなので、それなりの知識と技術を備えたユーザーであれば色々といじれてしまうのだ。

もちろん、一介の田舎者である私はそんなそれなりの知識も技術も備えていないので、親切な人がネット上にアップしてくれている多様なMODファイルを平伏して利用させてもらっているに過ぎない。

そんで、鉄拳にももちろんMODがある。

そのほとんどは外見をいじるだけのモノで、技性能をとんでもねーものにしたりとか、自動で投げ抜けできるとか、キャラを巨大化して画面端まで足払いが届くとか、逆にミクロマンにして当たり判定がドットになっちゃうとか、そういうMODというよりチートとでも言うべきものはない。いやあるのかもしれないが私はその存在を知らない。

で、外見をいじるMODだが、中にはまあ要するにちょっとエッチな感じのキャラ衣装に差し替えをするものも多い。テクスチャをいじって陰影を調整して胸の谷間を強調するとか、デフォルト衣装の一部を下着のようなセクシー衣装に変えるとか、例によって外見だけティファだのモリガンだの不知火舞だの2Bだのに変えるとか、制作者はほぼ全てが外国の人なのだろうけれど、やはり男の夢とロマンは時代も場所も超え普遍なのだなあと頷くことしきりの素晴らしい出来栄えのものばかりである。

もちろん、私も好奇心が抑えきれず、導入してみた。

導入したのは上記の、「鉄拳✕カルバンクライン」というあたかもホントにそういうコラボがあったかのような衣装MODである。ご丁寧に下着の縁取りに「TEKKEN」とか書いてあるのが小洒落ている。

ちなみにMODの入れ方なのだが、こんなことをここで書いて意味があるのかどうか分からんが、まあ一応説明しておくと、「C:\Program Files (x86)\Steam\steamapps\common\TEKKEN 8\Polaris\Content\Paks」まで進んで、Paksフォルダ内に「Mods」とか「Logicmods」とかフォルダを作ってその中にどっかからダウンロードしてきたMODファイルを入れるだけである。MODファイルはそこら中に転がっているので探せばすぐ見つかる。注意点だが、MODファイルを入れる際は、圧縮形式のままではダメなので、.pakとか.ucasとか.utocとかまで解凍してから入れましょう。中には一回解凍しただけではまだ.rarのものとかもあるので念の為。

ほんで入れて一通り遊んでみたけれど、やっぱ外人は尻へのこだわりがすげーですわ。巷で大人気のドルフィンウェーブなんかも、乳はすげーけど尻がイマイチだとよく言われているわけだが、上記MODは外国産なこともあるのか、尻がいい出来で強い感銘を受けました。下着姿で戦うリリを眺めながら、人は結局は尻へ帰るのかなあと、長い人類史に思いを馳せてしまうほどの、素晴らしい尻の完成度でした。

話は変わって本編の方なのだが、ここ数日就寝前にいろいろと上級者のリリ対戦動画を見ながら、どうにも腑に落ちないことが一つあった。

それは、「立ち途中LPRPの後に蹴り上げLK(恐らく236LKで出るキック)を出している」という点である。特に相手を壁やられ状態にした後、多くの場合、動画内のリリはこの連携をぶちかましており、ぜひ私も上級者と同じこの連携をにっくき対戦相手に叩き込みたいと考え始めたのである。

ただし、立ち途中LPRPは、出も早いし中段開始だしということでまあそこそこ使い勝手がいい技なのだが、ここからの派生は私が記憶している限りではRKの下段回し蹴りのみのはずなのだ。

ところが動画内ではあたかも派生したかのようにスムーズに蹴り上げLKを出しており、リリに関してあまり知識のなかった頃はぜんぜん気にしていなかったのだが、最近になって「これっておかしくない? こんな派生あったっけ?」と気になりだしたのである。

実際、ゲーム内のコマンドリストを見ても、立ち途中LPRPからの派生は下段のRKだけであり、中段である蹴り上げLKへの派生は確認できない。

そこで私はプラクティスでアレコレ試してみた。だが、どうがんばってみてもLKへとスムーズにつながる操作が分からなかった。236ステップを急いで入力してみたり、もしかして横移動からかもと横移動を取り入れてみたり、あるいはLKじゃなくてRKの見間違いだったかもとRKでも試してみたり、自分にできる範囲でいろいろ試行錯誤してみたのだが、どうにも、動画内で見たような動きにはならなかった。

そうして悩んだ末、「そうだ! この連携を出してるリプレイを探してきてキーディスプレイを見ればいいじゃないか!」と、やっとのことで思いつき、早速鉄拳力が高そうなリリのリプレイを探して確認してみた。

そしたらですよ? 単にですよ? 立ち途中LPRPの後にですよ? レバーを6に入れてLK出すだけなんですよ! ほんで、「え? こんな派生あんの?」って驚いてですよ? リリを解説している某サイトに行ったらですよ? そこにもちゃんとこの派生が書いてあったんですよ! 

立ち途中LPRPからは、レバーを6にいれることでバラードステップに派生することができ、そこからは通常のステップと同じようにLKとかRKとかLPRKとかいろんな技が出せるそうです。めでたしめでたし。

ていうかさあ、こういう派生があるならコマンドリストに書いといてよ。そもそも鉄拳は、っていうかスト6もだけど、「まったくの新規参入者がどうすれば上達していけるかの導線」がなさすぎなのよな。

なんつーか大量の参考書と過去問題集をドカンと渡されて、「後は好きなように勉強してね♥」って言われてるような感じなのである。習得するための教材やツールは充分に用意してあるが、それをどういう順番でどういうふうに学んでいけば身につくのかがさっぱり分からない感じ。

やる気に満ちあふれていれば、各種参考書を紐解き、どういう順番で学んでいけばいいか自力で気づけるだろうし、過去問を分析して何に重点を置いて学ぶべきか方針も立てられるとは思うが、多くの一般人は右往左往した挙げ句に「わけわかんねーからもういいや」ってなっちゃう感じ。

格ゲー界隈でよく言われることだが、「上手くなりたければどっかのコミュニティに属するのが一番」ってのは多分上のような状況をスムーズに解決するための方策だと思う。少しのことにも先達はあらまほしき事なりと兼好法師が述べていたのも、まことにやんぬるかなと思わされる。

まあそうやって篩にかけて生き残ったものだけが格ゲー界で生き残る資格を持つのだというスパルタンな思想も悪くはないが、時代は優しさの時代にシフトしているようだし、2chのふざけたスレタイとかを真に受けて炎上したりするナイーブな世代が増えてもいるようだから、せめてゲーム内に実装されていることくらいはコマンドリストに乗せとけやこんちくしょう!

なんだこの勝率はおどろいたなあ

で、これが令和最新版の私の戦績である。

勝率約37%という体たらくだが、これは私が悪いのではない。鉄拳のマッチングシステム上、私のような弱者はこんくらいの勝率に落ち着きがちなのである。ていうか勝率なんて飾りですから。大事なのは自己達成感ですから。ふくしのだいがく? にもかよってますから。

しかしねえ、この「拳」階層で対戦を重ねていて気づいたことだが、私が負けるのは大抵が、もうどんどん技を振りまくってガンガン攻めてくる人、である。試合中ずっと息止めてんじゃないかっていうぐらい間断なく技を出しまくって、そうされると私はどこで手を出していいか分からんもんだから、出すべきとこで固まったり出しちゃいけないとこで出してカウンターされたり、なんかもう何が何だかみたいな台風が頭上で逆巻いているみたいな感じで負けてしまう。

そんで、勝つときはこっちも開き直って「そっちがそうくるならこっちもやってやろうじゃないの!」と技を振りまくり、それがうまいこと噛み合うとあっさり勝てちゃう。

なんか格闘というより子どものケンカみたいな、先に泣き出して暴れた方の勝ち、みたいな対戦が「拳」界隈では日夜繰り広げられている。

でも、これが意外と面白いのよね。なんつーか原始的な本能に訴えかけてくると言うか、単純に殴り合って立ってたほうが勝ち、みたいな大雑把な戦いなので上級者から見ると目も当てられないような試合だとは思うのだが、初心者である私にはこういう戦いもなかなか味わい深い。

ただ、そういう試合ばかりでは先がないのは明白でもあるので、ちゃんと確反を取るとか、壁コンボをしっかり入れるとか、しゃがめるところは勇気を出してしゃがむとか、立ちガードばっかの相手を何とかしてしゃがませる工夫をするとか、投げ抜けができなくてもしようとがんばるとか、そういうちょっとしたところは手を抜かないように気をつけていきたいと思う。

ガードの項目が高いのは消極的姿勢の表れである

ステータスはこんなもんである。

これ、毎回上位三項目が対戦前に表示されるのだが、相手が「圧倒・大ダメージ・手数」とかなのに、こっちは「敬意・ガード・正々堂々」とかなのがたまらなく恥ずかしい。褒めるところがなくて無理やり褒めてる感が強いので、「そんなとこ褒めるならむしろ何も言わなくていいから!」と叫びたくなる。

大体、格ゲーなのに「このプレイヤーは相手に対する敬意が高く、正々堂々とした戦い方が得意です。そして、ガード回数が多いです」って、ぜんぜん褒めてねえというかバカにしてるとしか思えない。

この機能、早くなくしてほしい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?