演劇ドラフトグランプリ2023 感想
今年の演劇ドラフトグランプリ、人の目線によって評価が違いすぎると思いました。
*センシティブ内容を含みネタバレしてますので、苦手な方は追記を見ないでください
*演者さんに対しての批判は一切ありません。
まず初めに思ったこと。審査員席に有名編集の人たちがいましたが、何故こんなに男女比に偏りがあるのか、モヤモヤしました。
昔、某界隈の受験や様々な公募を経験した身として、こういう評価形式が男性の目線に寄りがちになるのが10年以上前から変わっていないのが、個人的にうーん……となってしまう要素です。
私は広義の保守芸術という文化に対して肯定派です。(文化財保存修復などにも貢献したいと思うくらいには)
ですが、多くの保守思想に関しては懐疑的です。
なので、劇団恋のぼりの内容に対して「泣ける」という感情や「心を揺さぶられる」という感情は一切ありませんでした。
日本の戦争時代、奪われるべきではなかった命、教育の行き届いていない時代の少年たちへの洗脳、これらを題材にして審査員側(保守の傾向が非常に強いと感じています)や、この国の悲惨な歴史を教育されているであろう観客の情緒を乱したり、涙を誘うストーリーを作ったのは納得のいかない部分でした。
戦争のテーマに関連して。劇団国士無双については、昨今の現実の戦争があまりにも酷くて(私は世界情勢ニュースを毎日見なければならないので)あまりリアル感や意外性が感じられなかったです。審査員の方の講評もこれは納得でした。しかしエンタメとしてはあの表現が限界かなとも思いました。
私が一番良いと思えたのは劇団びゅーでした。
普段から高野洸さんが好きだから贔屓しているように見えるかもしれませんが、何故この内容が私にとって良かったと感じたか、言語化しておきます。
【天へ態を招くの感想】
まず、日本古代の神話を独自にわかりやすく創作しているのが良いなと思いました。限られたルールや時間の中、小道具の発想も面白いものばかりで(タブレットを使っていたり、テントで岩を表現したり)見ていて惹き込まれてあっという間の20分間でした。
基本的にどこの国の神話もとんでも設定・ぶっ飛んでるものばかりなので、物語の初見は頭が混乱するような表現が多いと思います。でも面白くわかりやすく演技していたのは、沢山の人が楽しめる意味で、ああこれはすごく良いなと思いました。
対して劇団びゅーの演劇後の編集者は「良かったが強いて言うなら掛け合いが多い」のような評価をしていましたが、私はあの掛け合いが多いことによって、より世界観や心情を深く理解できたので、何故そんなことを言うんだ…?と思いました。
なにより、会場の皆さんが参加型で楽しめる演劇という点も楽しさや熱気が伝わって良かったです。 神々の得意を活かしながら、松島勇之介さん演じるアマテラス(姉)が遂に岩から出てきてくれた後の、高野洸さん演じるスサノオのセリフ
「姉ちゃんは悪くない!ごめん!全部オレのせいだ!!姉ちゃんが一番しっかりしなくちゃなんて思わなくていい。姉ちゃんは居てくれるだけで、この陽の光をくれるだけで、みんなに充分力をくれてる!神様だって、完璧じゃなくていい
…………ってみんな(神々)が教えてくれた」
「みんな」はスサノオ以外の神々や会場のみなさんを指している言葉だと解釈します。
間違いや悪事をしたスサノオが、自分自身の成長を遂げた要素に「みんなが教えてくれた」と表現したことに思わず涙が出ました。
神の失敗は現実的に考えたら被害規模があまりにも…なんですけど、これを人間に置き換えたらかなり深いセリフだと思います。私は人間は誰しもが失敗を乗り越えて生きていくと思っているからです。 演劇を見て泣いたことなかったので、この言葉はかなり印象に残りました。
あと去年の演劇ドラフトグランプリも配信で見てたんですが、松崎史也さんの演出がかなり好きなことに気づきました。去年も松崎史也さんの演出した作品が一番好きでした。セリフも、テーマも、コメディの部分も本当に見ていて良いなと心から思います。
演者さんはみなさん最高でした。
しかし、こんな感想を言って申し訳ないですが一部の脚本と審査員の人々については私は疑問に思いました。という感じです。一個人の意見なので、不愉快に思われる方もいるかもしれませんが、感じたことは記録して置きたいので書きました。 誰かと争いたくて書いている訳ではありません。一個人の感じたこととして流し読みしてもらえたら、と思います。
*以下、オタクの最悪感想文
高野洸さん!!!!!イメージカラーが青の……まるで魏無羨みたいになって!!!!!!いや違うんですがしかし!天真爛漫!憎めない弟!溢れ出るオーラ!!!!そして!!!最高にでかい声!!!!!すごく好きでしたありがとうございました!!!!!
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