生き方を変えてみる(かも)

※今までの「音楽家とお金」の流れとは違う、ただの日記です。

最近アタマの中でもやもやとしていた感情が、先日の森山直太朗さんのコンサートを見たことがきっかけで、はっきりと自覚できるようになったので、ちょっと人生相談に乗ってください。

あなたは今は自分の人生に満足ですか?
あと数十年の人生が続くとして、その延長線上に何が見えますか? そんな話です。

今の自分の状況を手短に話すと、僕は今40歳、日本人の平均寿命を考えると、あと40年は生きるつもりです。離婚や挫折も経験もしましたが、音楽家また楽器店経営者としてそれなりに成り立っているので、同世代ではそこそこうまく行っている部類に入ると思います。

このまま順調に平和な世の中が続いて、大きな病気や仕事上の失敗をしなければ、たぶん20年後の60歳くらいには、CDや書籍をいくつか製作して、演奏も続けて、店をいくつか持って従業員を数名抱えて、ある程度のまとまった資産を築いていることでしょう。

でもそれを考えた途端、むしろ焦りや物足りなさを感じました。

このごろ一日が終わるのがめちゃくちゃ速いんですよね。生徒さんやお客様のメールに返信して、お店の仕事をして、ときどきリハーサルやレッスンをして、趣味の語学を勉強して、買い物して食事して、ちょっと笛を吹いたらもう寝る時間(そんな中、今日も買い物と山椒の実を取るのに朝の大事な時間を使ってしまった)。

今年は2冊は本を出そうと思っているのに、遅々として進んでいません。書くネタは10冊分くらいはあるのに、今の生産スピードでは年1冊がやっとです。お店の売上規模が成長すると、やる作業も増えます。仕入れも労務管理もなんでもやるのが零細社長ですから。

僕が認知症や寝たきりにならずにあと14,600日生きるとして、貴重な一日、一日がこれで終わってゆく。そして同世代や年下の後輩を見て、年取ったなと率直に思います(ごめん)。そうこうしているうちに、60歳になるのが、手に取るように視えます。

そんな言葉にならないモヤモヤを抱えていたときに見た直太朗さんのコンサート。のびのびとありのままに歌う直太朗さんに数千人のお客さんが集まり、感動して涙を流しているさまを見て、「ああ俺、今回の人生では、絶対にそっちには行けないわ」(僕は心の中では1人称は「俺」です)と思いました。

誤解をしないでほしいのですが、自分と直太朗さんとは人気や実力どれを取っても比べるべくもないですし、彼のようなスターを目指しているわけではないし、かといって自分の音楽家としての可能性を諦めているわけでもありません。

ただ今のように数十名のお客様に音楽を届けることをこれから20年間積み重ねても、直太朗さんのところには到達しないことだけは、絶対に確かです(そして、その数少ないお客様への感謝の気持ちは変わりません)。その事実を考えたときに納得できるか? と思いました。やっぱり一度は、規模は10分の1でもいいから、ああいうカッコいいコンサートをしたいわけです。そのくらい、直太朗さんはカッコ良かったし、輝いていました。

でもアーティストひと筋で満足できないのが自分です。音楽活動に、店の経営に、本の執筆やCDの製作に、語学学習にと色々と追いかけすぎて、PCで複数の大きなファイルを欲張って同時にダウンロードして、めちゃくちゃ速度が遅くなっているような状態かもしれない。そうして日常の些事に追われているうちに、人生で本当に実現したいことがわからなくなってくる。

そういえば、1月に韓国に1ヶ月留学したときは、朝から晩まで韓国語のことだけ考えることができて、濃厚で幸せな時間でした。

だからこれから毎年、1年のうち3ヶ月はまったく予定を空けて、その年にやりたい、たった一つのことに集中する生き方をしてみたいと思います。

3ヶ月間海外に住むとか、日本の隅々まで旅するとか、熊野の家に住んで自然とともに生きるとか、本を書くとか、アーティスト活動だけに専念するとか。

一緒に音楽をしているnamiさんや、生徒さんやお店のスタッフの理解を得ないといけませんが、そのほうが自分には納得できる人生が送れるかもしれない。

最近、一流企業が次々と45歳でリストラすることを発表して世間を騒がせました。それに対して年金の支給は遅くなり、寿命はどんどん伸びてゆきます。僕の親世代ならひとつの仕事、ひとつの会社、ひとつの持ち家、ひとつの家庭やパートナーで一生を終えるのが普通でしたが、これからは40代で一区切り、子供がいる人も40代で子育てを終えて、そこから第二の人生が始まるのかなと思います。

大胆に考えれば、40代からそれまでとは別の家庭を築いてもいいし、これまでひとつの職業(僕なら音楽家)として生きてきたからといって、そのまま人生を終えなくてもいい。
当たり前なのに、考えると、とても怖い気がする。

僕の去年のテーマは「安定」でしたが、逆に安定しすぎて、色々なものを追い続けたまま、このままの日常が続いて老いてゆくのが見えてしまったのかも。ちょっと人生を動かしたくなりました。僕の場合、育てる子供がいない一人だけの人生が延々と続いてゆくから、こんなことを考えるのかな? なんと思ったりもしますけれどね。

直太朗さんのコンサートを見て何かが動いたのは確かです。

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