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【スト6】SFL第3節 オニキキンバリーvs ACQUA(あくあ)JP戦振り返り~データで見るキンバリー対策

先日のSFL、第3節にて初めてキンバリーが使われたので、その試合を振り返ってみる。

試合からちょっと時間経っているので問題ないと思うが、試合結果のネタバレを含むため、まだ見てないという人は注意。


キンバリー対JPの組み合わせ

そもそもこの組み合わせは一般的にどうなのか、CFNのデータを元に見てみる。
CFNからマスター帯の全JPプレイヤー(1,550人)の勝率データを取ってきて、平均を出したのが下の表。

マスター帯のプレイヤーのデータではあるが、マスターに上がる前の戦績も含まれているため、全体としてはむしろダイヤ帯での戦績の割合が大きい。

相手キャラクター別の勝率が高い順に並べているため、JPにとって上にいるキャラクターは得意、下にいるキャラクターは苦手と考えられる。

見てわかるようにガイルやザンギは超得意で、これはイメージしやすい。
苦手なのはダルシムだが、対戦数が少ないのでこれはブレがありそう。

キンバリーは下から二番目のため、JPからすると苦手なキャラと言える。
ただ、JPはダイヤ帯までならそもそもの勝率が非常に高く、「強いて言えば苦手」という程度。
キンバリー側で同様のデータを見るとせいぜい五分ぐらいで、有利というほどではない。

iXA側はオーダーを読み違えたと言っており、名古屋OJAとしてはキンバリー対JPはいけると踏んでぶつけてきたと思われる。

キンバリー戦の得意なJPの特徴

JPは比較的キンバリーが苦手なんだね、と言うのが結論だと、へぇーそうなんだで終わってしまうので、もう少し深掘りしてみる。

データを集めてみると、JP使いの中でも以下のようなプレイヤーがいることがわかる。
A. 全体の勝率は高いがキンバリー戦の勝率は低いプレイヤー
B. 全体の勝率はそこそこだがキンバリー戦の勝率は高いプレイヤー


AはJP使いとしては全体の傾向に近い。
逆にBは一般的なJPとは異なる戦い方をしていると思われる。

両者は一体何が違うのか。CFNでDゲージの使い方等のバトルスタイルに関するデータも取れるため、それを比較してみる。
プレイヤー名は伏せるが代表的なA、Bそれぞれのタイプのデータがコレ。
(画像見にくい場合はクリックしてください)

Aタイプ

Bタイプ

これを見ると、同じJPでもかなり違うという印象ではないだろうか?

これは直近100戦のデータでありキンバリー戦に限ったものではないが、それぞれのJPの特徴は見えてくる。

AタイプはいわゆるJPとしてイメージしやすい戦い方であり、相手と距離を取りつつ強力な必殺技を活かしてODにDゲージを多く回し、SAゲージが溜まっていればSA3をコンボにつなげて大ダメージを出していくというスタイル。

Bタイプはキャンセルドライブラッシュに多くDゲージを使い、積極的に近距離戦を仕掛けていくスタイル。相手を画面端に追い詰めている時間も比較的長く、SAゲージはSA2のラブーシュカに使い、近距離での択を仕掛けてくる。

実際に両者のリプレイを見てみると、この想定した通りの戦い方をしている。

キンバリーが苦手とするのはこのBタイプ
ワープや疾駆けによって一気に距離を詰められるため、JP側の距離を離そうとする戦い方が通じず、ODアムネジアはあるもののキンバリーとしては画面端で攻める方が勝ちやすい。

逆に、何故かJPは近~中距離でも十分に戦える技が揃っており、全体的にリーチもキンバリーより長いため、むしろラインを上げて戦われる方がきつい。

スト6発売当初はJPに対して何をすればいいんだ、という感じだったが、1ヶ月半が経ってマスター帯であればみんな最低限のJP対策はできている。
それに対して、JP側は「対策の対策」として近~中距離での戦い方を伸ばしており、近づけばなんとかなる、というような単純なキャラではないことを見せている。
近~中距離も強いのおかしくない!?

そのため、全体の勝率データだけを見るとキンバリーが苦手なように見えるが、キャラクターの性能としてはそうとも言い切れず、きちんと対策をしたプロ同士の戦いだとどうなるのか。

SFLの結果を振り返る

ここまでの話を元に改めて試合の動画を見てみてほしい。

キンバリーの個々の技に対する対策もさることながら、全体を通して、ACQUA選手が画面端に追い詰められないようにラインを上げて戦っているのがわかる。
画面端に運ばれると、ODアムネジアの圧で起き攻めしにくいことを活かして、ほぼ前ジャンプでの脱出を図っている。
ODアムネジアは画面端で使うJPが多いが、ACQUA選手はこの試合では画面端では一切使わず、むしろ画面中央で使ってキンバリーにペースを渡さないようにしている。

さらに、パリィドライブラッシュを見て起き上がりにSA1を出し、キンバリーに追い詰められないように早めに対応している。
また、リーチを活かして立ち中Kや立ち強P、垂直ジャンプ中Pを置いてキンバリーのラッシュや疾駆けを出させない工夫も行っている。

実際にACQUA選手の試合中のスタッツを見てみるとこんな感じ。
(リプレイ動画見て集計するのめちゃくちゃ大変だった…)

画面端の時間について、CFNのデータはおそらく画面端接触判定があって、それでカウントしているのだと思うが、とりあえず目視でカウントしている。

負けているラウンドを見ると、画面端に追い詰められている時間が長くなっており、逆に追い詰めたときは勝ちにつなげている。
また、ヴィーハトを設置した状態を維持するのがJPの強い時間帯なので、それを作れれば劣勢からでもJPの勝ちパターンに持っていける。


一方のオニキ選手も多彩な攻めと、肘落としで対空をすかして差し返しを狙うような対策を見せるなど、かなり惜しいところまでいったが一歩届かなかった。
ACQUA選手のスタッツを見てもわかるように、勝っているラウンドでは画面端に追い詰めるのと、ヴィーハトを出させない戦い方ができているので、如何にその形に持っていけるかがこの組み合わせにおけるキンバリー使いのポイントなのだろう。

以下、ラウンドごとの簡単な振り返り。

1-1

一進一退の展開だったが、最後にオニキ選手がバーンアウトしてでもDリバーサルを使って相手を画面端に運び、そこに手裏剣を設置して動けないようにしてから端で倒し切るというプランが見事だった。

1-2

ほぼオニキ選手のペースだったが、ACQUA選手がODワープの対策としてきちんと小パンを当ててコンボにつなげ、さらに相手のDゲージが残り1本となっているのを見逃さずにリソースを使い切って猛攻をしかけ、SA2まで使い切って逆転。
オニキ選手からするとヴィーハトが設置されている状況で、Dゲージ削られる前にワープから倒し切ってしまおうという作戦だったと思うが、何かもうひと工夫必要だったのかも。

1-3

ODアムネジア、SA1、真上に出るワープ、近距離ODアブニマーチとJPの汚い強力な技が炸裂してJP勝利。

2-1

ラインを上げようとするJPに対してキンバリー側のさらなる対策が光っていた。
・置きに対してタイミングをずらしてドライブラッシュ
・ラインを上げる前ジャンプを空対空で咎める
・起き攻めの打撃重ねに対してリバーサルSA1
・肘落としで手前に落ちてしゃがみ大P対空をすかして大足差し返し

2-2

JPが最初画面端に運ばれるもののすぐに前ジャンプで脱出。ODワープをまたきちんと返して、その後はヴィーハトを設置しつつ、逆に相手を画面端に追い詰めるというJP側の強みが発揮されるムーブで倒しきった。

オニキ選手は最初に画面端に運んだ後、相手の前ジャンプの脱出に対して対空が遅れたのと、その直後投げの方向をおそらくミスって画面中央側に投げてしまったのが痛かった。

2-3

JPが自分から近づいて近距離戦に持ち込み、キンバリーが反撃しようとしたところに置きの中Kが当たってそこからSA3まで決めて大ダメージにつなげている。
SA3を当てると相手はDゲージが減り、使った側はDゲージが回復するため、そのままリソース差を活かして勝ち切っている。

おわりに

試合の振り返りはACQUA選手が動画を上げているので、是非そちらも。

格ゲーのデータ分析ってどんなもんかなと思って初めてやってみたけど、2セット6ラウンド、しかも一方のプレイヤー分だけでもかなり集計大変だった。(本当はオニキ選手の分も取りたかったけど断念…)
note内では簡単な表だけ出しているが、集計時は通常技含めて全部の技をカウントしている。
これを両プレイヤー分、しかも3先でフルセットフルラウンドになろうものなら1つの試合だけで相当時間使ってしまうというのがとりあえずわかった。

自動でカウントする仕組みとか、特定の行動に絞るとかしないと、また同じことをする気はあまり起きないかも。
格ゲーのデータ分析しようと思ったら相当な熱意と時間が必要だなと思った。

一方で、CFNの公開データを集めるのは割りと簡単で、今回取り上げたような「特異点」と言えるようなプレイヤーを探し出してリプレイを見るのはかなり参考になると感じている。

ただ、プレイヤーのIDでリプレイ検索をすると、対戦の組み合わせまでは条件に入れられないのが不満。
あと、マッチタイプの指定とか、ゲーム内だと見れるのにWeb上だと見れないのもやや不満。意図的にそうしているのかはわからないが。


今回は負けてしまったもののJPに対してはキンバリーは全然アリだと思うので、またSFLで見れる機会があるか楽しみにしたい。