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3-04「辺疆」

7人の読書好きによる、連想ゲームふう作文企画「杣道(そまみち)」。 週替わりのリレー形式で文章を執筆します。
前回は親指Pの「鏡像と写真、そして〈わたし〉」です。今回は、葉思堯の「辺疆」です。それではお楽しみください!
【杣道に関して】
https://note.com/somamichi_center/n/nade6c4e8b18e

【前回までの杣道】
3-03 「鏡像と写真、そして〈わたし〉」/親指P
https://note.com/kantkantkant/n/n6d9b8f88d011?magazine_key=me545d5dc684e
3-02 「なにげない午後の風景」/S.Sugiura
https://note.com/ss2406/n/n72fe634f61de_

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1、記憶
あなたは共時的に通過され「た」部分を手繰り寄せる。
さあ、あなたはどこにいるのだろう。

2、ドラマの最中
一人でいるが、その声は北の草原の馬の耳にも届く。

3、ガラス越し
触れられないことはないが、ぼちぼちその気はない。
しかし見ることをやめられないのは、それが真にレプリカを見せている機構だと認識しているからである。
この相対は安全でもあり、不穏でもあり、朦朧さをもって統合の脆弱性を守り、その一度の偶然の消滅を看取らん。

4、
1、床を転がる
2、1のまま起き上がろうとする
3、これより最後まで首を垂らし、脇を閉め、肘から先は頭より上にあげない
4、視線の先に星があり、それを追う
5、イと軽くぶつかり、②の状態になる
6、4と同じ
7、立ち止まる
①、体を左右に揺する 左足に重心、首を上げ、手首は内側に固定されている
②、左に傾く
③、①の状態に戻り、右手を後ろへ回す
④、視線の先に火があり、それを追ってゆっくり後退する
⑤、アと軽くぶつかり、右手を体の下にし、床に仰向けになる
⑥、1を反転した動作
⑦、下向きに伏す
∥  1    ∥   2 3   ∥     4     ∥     4  ∥     5     ∥      6     ∥     6     ∥     7    ∥
∥  ①  ∥     ②     ∥     ③   ∥  ④    ∥  ⑤  ∥  ⑥    ∥  ⑦    ∥    ⑦   ∥

1、
2020年、「いま」とそれ以外との差異化を図らずとも、永遠に固着する「前-後」の淡白さに歯切れ悪くならなくとも良くなったはずだ。それは「編集」が一つの十全なフィクションを、スクリーンに映すのではなく、現実の先端に作りうることをわれわれは再認識したからである。しかし「編集」はテキスト、映像においてのみならず、遺伝子工学においてもすでに50年近く研究されてきた。遺伝子工学はフィクションを作るのだろうか。

2、汚い河のある街に

二百年の変わらぬ暮らしがありまして
暑気が散り切る頃
37枚の透明石鹸がどこかに見える
空ともつかぬ

3、
真っ直ぐな四角い支柱
それの白さはと言うと、それは光の中にいた
それの高さはと言うと、それは光の中にいた
それの動かなさはと言うと、目の中で埃が降りては舞った
巨大な黒い鳥が通ることがある
口を開けたまま上を向き
咥えていたみかんがころりと落ちた
死のうと思ったことはなかった
皺だらけの葉が一枚横切るまでは

4、
  还看不见那条河,可是快了,只要往前走总能走到河,在这一带是这么样的,这是这一带和沙漠的区别,没有去过沙漠,不是那类小河,很大,就在前边,在未察觉之间坡路已经开始了,明明身在坡路里,是条很缓的坡路,对了,就是那里,是从那里开始的,总是察觉不到它,起风了,很凉,是河吗,喏,坡路,看见了吧,
  有一只狗,在跟着走
狗啊
  意识到坡路了
  好不容易一路走到这里了,想着再回一趟坡路开始的地方吧就往回走,
  是这儿了吧,正刚好,这里,
是那儿
(山下澄人「月の客」の冒頭を中国語に訳したもの)


これらの順番振りされた文は、「落差」の始動(生起と言わない場合)、プレスの転化(ある場合では運動と言う)、自然状態(仮定)、合成(この場合の反省)について体当たりに考案されたもので、これらには
1、下方への空間を用意しない
2、沈黙以外による遅延を試みる
3、「適しているもの」に従い、その中で「作用するもの」を選ぶ
4、上記を身体と上記との距離に適応させる


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次週は3/7(日)更新予定。担当者はRen Hommaさんです。お楽しみに!

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