ミルモでポン!を読んで

恋って好きですか?
私は結構好きです。

ミルモでポン!を読んで恋や妖精について考えたので感想を書きます。

皆さんご存知とは思いますが、ミルモでポン!は片想いをしている主人公南楓のもとに恋の妖精ミルモがあらわれることから始まる、不思議でかわいい妖精たちとめくるめく恋模様を描いた少女漫画です。

まず妖精のキャラデザが良い。
お菓子が好きなのが良いなと思いました。恋もお菓子も概念的には甘いじゃないですか。細分化すると甘くない恋やお菓子もたくさんありますが、典型的なイメージとしては甘いというか。そしてあのぷにぷに美味しそうな妖精デザイン。何を言っているのか分からないかもしれませんが妖精のキャラデザは全体的に美味しそうということです。

そんな美味しそうなビジュアルをもつ妖精たちの性格についてですが、この作品には「素直になれない」妖精がたくさん出てきます。
好きなのに嫌いって言っちゃったり。わがままで面倒くさがりだけどピンチになったら助けてくれたり。ライバルと言う割にしれっと遊びに来たり。
ちゃおの読者層って、幼稚園くらいからいたような気がするんですよね。そのくらいの年齢の子にとっては、楓より妖精たちのマインドが理解しやすかったんじゃないかなと思いました。
恋愛するには幼くて、でも憧れだけは持っていて、◯◯くんと結婚するの〜!とか言っちゃうようなお年頃。たとえばリルムみたいに。
好きな子にちょっかいかけたりキライって言っちゃうのは中学生くらいまでありますよね。そういう幼少期から思春期までの恋にありがちな「素直になれない」気持ちが妖精に投影されているのかなと思いました。リアルタイムで読んでた頃に妖精に共感していたかは覚えてないんですけど、彼らの言動、行動はより子どもに近い目線で描かれているように思います。
それに比べると楓はずっと「好き」を全面に出して行動に移せていること、妖精たちにお姉さんっぽく接している場面が印象的でした。
小さな女の子たちにとっては中学生って結構大人のお姉さんですよね。自分の気持ちに正直でストレートに愛を伝えたり、喧嘩しても相手と話し合って仲直りできる楓は確かに大人のお姉さん像だったのかもしれません。
この年で読むと「あら楓ちゃん頑張ってるねぇ〜偉いねえ〜〜」の気持ちが強いですね。おばあちゃん。

この作品の中で恋って一貫して素敵な物として描かれていると思うのですが、つらい面も何度も描いています。失恋したり、自分の気持ちが分からなくなったり。そんなとき、パートナーの妖精がいつもそばにいる。
いいなあ妖精。誰の心にも妖精が一人いればいい。
結木はリルムに自分の気持ちを話すことで楓への想いを確かめた。
パピィは失恋した住田を不器用なりになぐさめて自分よりも泣いてくれた。
ミルモと楓は言うまでもない。様子がおかしかったら気づいて助けてくれるし、尻込みしそうな時は喝を入れてくれる。

なんでもできる訳じゃないけど、絶えず自分のことを見守ってくれて、話を聞いてくれて、弱気になった時はそっと背中を押してくれる。
そんな存在がいたら、不安定な時期を生きる少年少女はどれほど救われることでしょう。現実だったら友達や親がその役割を担うのでしょうが、マグカップから出てくる妖精にこっそり聞いてほしい気持ちはたくさんあると思います。

自分で自分の気持ちを整理して、伝えるべき時に伝えるべき相手に伝えることができるようになる頃に、妖精とのお別れが来るのかなと思いました。王様は3年くらいって言ってたから高校1年生ぐらい?まだまだいてほしいけれど。
でも、悩みごとの10割が恋愛だったあの頃を抜けて、将来や人間や人生のことを考え始める時期に入ったら、「恋の妖精」としての活躍は減っていくのかもしれません。
ところで恋の妖精を名乗るのは歴代王子だけなんですね。みんなそうかと思ってた。どの妖精もパートナーのことを本気で想って行動しているので、どんな悩みも聞いてくれるような気はします。
どんな形であれ、いつか来る別れが彼らにとって良いものであることを願います。

つながってるようでつながってないような話をダラダラ書きました。
私はこの漫画を読んで、10代の頃に感じていた鋭く透明な恋の感覚を思い出したような気がします。楽しいファンシーなお話の中に大切な想いがいくつも詰まっていて、最初から最後までときめきが止まらない作品でした。

そのうちアニメも観てみようと思います。
好きなシーンとか細かい話とオタクの話はまた今度します。


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