読書ノート 平安貴族の仕事と昇進

読了はできていないです。大河ドラマ人気か何かで他の方の予約が入って貸し出し延長ができませんでした。パッと目を通した程度で情けないですがまとめます。

こちらの本です。吉川弘文館はかの人物叢書を出版してるところですね。
大学時代もそれ以降もちょくちょく読ませていただいてます。
本の内容に関してはタイトル通りなので、以下書いていた内容で印象に残った点です。

■明確に血統とコネの世界である
官位の低い人間が50年つとめてようやくという位に、元服したての若い名門出の人間が座る。さらにそこからの昇進も超早足である。そもそもほとんどの、いわゆる各省庁の職員は終身雇用ではあるが昇進は一切なし。その部署に入る人間の家も決まっていて父親が入り子が入り…父親が死ぬと子の子が入り…みたいな形態らしい。死後に貴族から惜しまれるような有能な人物であっても抜擢されるようなことはまずない。
理不尽ですが古代日本の身分というのがそういうものだったんでしょうね、
当時の人たちも多少の憤りがあっても受け止めていたんでしょう。

■貴族の政務は予習必須。とはいえ形式的で無駄な内容も多い。
儀式の運営から手続きの慣例まで先例どおり、よってこの知識がないと大恥をかくそうです。この辺は以前から知っていました。
面白かったのはいわゆる貴族会議みたいなので決裁される内容もちゃんと内容ごとに各人に分掌がなされていて、全員そろってだらだら会議していたわけではないとのこと。相応に効率化されていたわけです。
といっても会議に出席する際も身分ごとに誰が先に来て座っておくだの、この身分の人まではまっすぐ会場に入っていいけどそれ以下は回り道してね!みたいな決まり事はやっぱりあったみたいです。会議での決済のタイミングもなにやらクセがあって、こういう願い出に関しては会議中はあえて保留にして、解散して家に帰ってから認可を出すんだよみたいなローカルルールがあり、そこを知ってないと「お前はバカか?」みたいな対応をされたみたいな記録があるようです。本質的でない所で怒られたり貶められるというのは時代もののあるあるとして創作にも活用できそう。

■記録の重要性
儀式の差配の仕方、式進行や準備物とか、そういうことを記した日記は先例の宝庫。というのは古代史研究してる人はご存じだと思いますが、やっぱり紹介されていました。よい日記はよいマニュアルやレジュメたりうるわけです。持ち主もそれはよく心得ていて、そう簡単に見せたり写させたりしなかったんだとか。

■祝祭日は忙しい
ここかなり面白かったです。江戸時代のお偉いさんと共通してる部分がありますね。正月などは年中行事の山盛りで、いわゆるかなり位の高い公卿といわれるような人は正月は前半の半月くらいは各行事に出ずっぱり。もうちょっと下の人たちだと正月前半はほぼ休みなし、正月全体でも数日しか休めなかったそうです。

■建前を全力で活用
仕事に出るより先例の勉強するなどして、自分のために時間使いたい場合の手法が紹介されていました。「家とか道に犬の死体があった」みたいないわゆる「触穢」を偽って休むらしいです。
また親が急死しちゃったんだけど、これじゃ相続で困るから「一度息が止まったけど、次の日息を吹き返して、また次の日に止まってそのまま亡くなりました」みたいな話があって、手続きする側もよく心得ている模様。
思ったより昔の人も信心深くないのだなーという点と、この手続き関係のこなれ具合が人の血が通ってる感あって面白かったです。

以上となります。読書ノートは今後も創作に使えそうな本をチョイスして、ちょくちょく更新していこうと思います。

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