凱旋門賞 2021 出走予定馬:クロノジェネシス&マーフィー騎手想定

第100回 凱旋門賞(GI)出走予定馬展望

日程:2021年10月3日(日)
コース:パリロンシャン芝2400m

予想用・出走予定馬一覧

凱旋門賞2021の予想用・出走予定馬一覧

クロノジェネシス(マーフィー騎手想定)

 日本が誇るグランプリ3連覇の女傑クロノジェネシスが凱旋門賞に出走予定だ。今年の春は果敢にドバイシーマクラシックに参戦したがミシュリフ相手に競り負ける形の2着。海外ではこれが2戦目となるが、日本のエースが記念すべき100回目を数える伝統の一戦を制することができるか。

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 日本においては有酸素運動で化け物レベルの馬だが、それでも突き詰めれば宝塚型なので前半のパワー型基礎スピードを強めに求められた方が良いタイプだと思うんだよね。仮にロンシャンの2400で有酸素運動の競馬になったとしてもスローロンスパだと有馬の感じでは簡単ではないかなと思っている。それとトップスピード戦ではちょっと物足りないところもあるので、どう克服するかだろうね。勝利を狙うのであれば、個人的には前目でレースを作る立場で進めてほしい。

宝塚記念(GI)1着

阪神芝内2200m稍 18頭8枠16番
風向き:西1.0m/s(豊中市15:40)
2:13.5 60.0-61.1 H^1
12.3 - 10.9 - 11.4 - 12.7 - 12.7 - 12.4 - 12.4 - 12.4 - 11.9 - 12.1 - 12.3

 個人的にはクロノジェネシスのベストバウトは?と聞かれたら間違いなく昨年の宝塚記念勝ちです、と答える。それぐらい圧倒的で付け入る隙が無かった。この一戦が稍重でタフな馬場状態、ペースこそバランス的にはややハイだがこれで2着のキセキに1秒離していて、更に3着のモズベッロに1.8秒離しているという圧倒的なパフォーマンス。他の馬にとっては超ハイだった中で、クロノだけがややハイ程度でまとめてきたという方が正しいだろう。

 16番枠からまずまずのスタート、そこから様子を見ながらコントロールしつつ最終的には中団の外ぐらいで正攻法で進めていく。道中もブラストワンピースの後ろで進めながら3角へ。3~4角で外からじわっと仕掛ける形で楽に先頭列、4角で外から上がってきたキセキを寄せ付けずに先頭列でラッキーライラックを呑みこむ。そのまま序盤で一気に突き抜けて4馬身差。L1で突き放して6馬身差の圧勝だった。

 とにかくパワー型基礎スピードが抜けていたという感じやね。このペースで楽々ついていけて3~4角で外から上がってきたキセキに対して待ちながら4角でスーッと動いて、他が甘くなってもこちらはばてずに最後まで突き抜ける競馬ができていた。この辺からも前半のパワー型基礎スピードが抜けていたと判断した方が良いと思う。キセキもベストはこういう競馬だと思っているし、クロノがいなければキセキが圧勝でGI久々に勝てて良かったね、ってレースだったと思うんだよね。そのキセキを6馬身千切ってきたというのは化け物レベルだと思う。少なくとも日本の現役馬でパワー型有酸素運動の競馬になったときにクロノに勝てる馬はいないだろうなと。レイパパレも悪くないけど、モズベッロとの比較でみてもこの競馬は異常なレベル。

有馬記念(GI)1着

中山芝内2500m良 16頭5枠9番
風向き:北東1.6m/s(船橋市15:40)
2:35.0 62.2-60.7 S^1
6.8 - 11.8 - 12.2 - 12.5 - 12.5 - 12.8 - 12.9 - 12.8 - 11.8 - 12.3 - 12.1 - 11.9 - 12.6

 有馬記念は勝つには勝ったし、相手も手強かったがそれでも苦戦した。良馬場でも時計が掛かっている状況だったが、宝塚記念と違って前半がスロー。そこからのロンスパで5F勝負となった。ポテンシャル特化戦と言っていい。風は北東からなので3角地点が完全追い風。

 9番枠からやや出負け、そこから無理はせずに序盤は後方で進めていく。スタンド前でも中団馬群の後ろでラッキーライラックを見ながらマークして向こう正面。ここでしっかりと勝負に行く選択を取ってラッキーを交わして前に押し上げ好位の外。そのままカレンブーケドールの外からスーッと取り付いて2列目の外で直線。序盤で追われて伸びるが内のフィエールマンの抵抗を許してまだ2番手、クビ差ほど。L1でこれを何とか捕えて外のサラキアの強襲をクビ差で振り切っての勝利。

 まあもちろん辛勝と言えども横綱競馬でのものだからこれは評価したい材料。後半のポテンシャル戦で3~4角で外からだけど、押し上げたタイミングは向こう正面である程度上手く上げきったしコーナーでのロスも小さめに抑え込めたと思う。この辺は北村友一の判断が正しかったかな。そのうえで、上手く立ち回ったフィエールマンを何とかねじ伏せてきたし、サラキアに突っ込まれたもののポテンシャル戦でも現役最強を証明できたと。ただ、化け物レベルではないね。後半のロンスパというくくりで見ると、宝塚記念程のインパクトは正直感じなかった。もちろん強かったんだけど、この馬はマラソンランナー的な要素もあるので、突き詰めると前半のパワー型基礎スピードを求められた方が良いタイプだと思う。日本国内レベルならそれでも勝ち切れているんだけどね。

ドバイシーマクラシック(GI)2着

メイダン芝2410m良 9頭7番枠
2:26.70(+0.05) 75.46-71.24 S^3
75.46(1200m)-12.26-11.92-11.86-11.43-11.23-12.49(210m)
26.31 51.13 1:15.46 1:27.72 1:39.64 1:51.50 2:02.93 2:14.16 2:26.65

 ドバイシーマクラシックを振り返っておきたい。メイダンの2410m戦でペースは超スロー。後半はL2最速で11.23という程度。2段階加速的な感じになっているかな。その中でミシュリフ相手にL2最速でちょっと見劣ったし、ラヴズオンリーユーにかなり苦戦して何とか2着を確保という競馬。これが凱旋門賞でどうかやね。

 7番枠から五分のスタート、そこから軽く促しつつ流れに乗ってというところで好位の外目を進める。道中も5番手ぐらいで無理はせずにウォルトンストリートを前に置いて我慢しつつ3角へ。3~4角でも徐々にペースが上がる中で中団外外でロスを作りつつ、4角で外に出して2列目付近で直線。序盤でラヴズとの激しい叩き合いで先頭列を狙うが、先に外からミシュリフに交わされてしまう。それでも最後まで踏ん張って抵抗してラヴズは競り落としたがミシュリフにはクビ差の2着。

 まあ悪くはないし、ミシュリフは英インターナショナルSでもトップスピード戦で6馬身差と抜けていた感じだから、思ったよりも強敵相手だったかもしれないね。ラヴズの成長を褒めた方が良いのか…という感覚でもある。4着以下は離しているし、この一戦の評価が結構難しい。ただラブやアレンカーなんかとの比較で見ればミシュリフ相手にトップスピード面が求められて戦えたというのは個人的には大きな武器になると言えるかもしれないね。そもそも今回のメンバー構成でそこまでトップスピード戦で目立つパフォーマンスを見せている馬はいないと思う。クロノジェネシスにとってもベストの条件ではないが、それでも時計が掛かるタフな馬場で実績を残せていることと適性の幅が広いというのは良い材料だね。

凱旋門賞2021への展望

 まあ今年の宝塚記念は前走なのにあえて触れていないけど、この3走をしっかりとみておきたかったからというのがある。今年に関しては相手も楽だったと思うし、60.0-58.5とスローからの12.3 - 11.5 - 11.5 - 11.5 - 11.7と4Fで後半4F戦。ロングスプリントに近い中で好位内から正攻法で綺麗に勝ち切った。こういう競馬もできるし、今のところ弱点らしい弱点を見せていないのがクロノジェネシスの良さ。その中でも、突き詰めればパワー型基礎スピードを前半から求められた方が良いと。個人的にはそういう競馬なら距離は長くてもいいと思うし、逆に良馬場でロンシャン2400でありがちなスローの競馬になると、クロノジェネシスの持ち味を活かし切れない。その中でも戦える目途は立てているが勝負を考えるなら前半のパワー型基礎スピードを引き出したい。

 相手関係は手ごわいとは思う。ハリケーンレーンなんかもパリ大賞が強かったので手強いとは思うし、スノーフォールも英オークスのパフォーマンスから後半のポテンシャル面を高いレベルで求められると手強い。ただ、こちらもタフな馬場での有酸素運動の競馬は強い。後半のロンスパだとスノーフォールはかなり厄介だとは思うが、それでも日本ではパフォーマンスの差はあれど有酸素運動の競馬では最強だし、トップスピード戦でも噛み合えば勝ち負けできる馬だからね。後はとにかく人事を尽くして天命を待つという気持ちで挑んでもらいたい。ペースをできれば極端なスローにしないように運んでほしいね。

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