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マッシはいつでも「マッシ」らしく|マッシさん 日伊逐次通訳者/ソーシャルメディアインフルエンサー #アートをしゃべろう

日伊逐次通訳者/ソーシャルメディアインフルエンサーのマッシさんと「アート」についておしゃべり。
スイーツ・グルメ情報や、日本とイタリアの違いの面白さなど、独自の視点で語るツイートが話題となり、今年3月にはエッセイ本を出版したマッシさんが考える「自分らしさ」、そして、アートとスイーツの意外な共通点とは?

マッシ
イタリア・ピエモンテ出身の日伊逐次通訳者/ソーシャルメディアインフルエンサー。Twitterには約15万人のフォロワーがいる。2022年3月には、KADOKAWAより自身の著書「イタリア人マッシがぶっとんだ、日本の神グルメ」を発売。

本業は「日伊逐次通訳者」

━━Twitterでの投稿が人気を集め、今年3月には自身のエッセイ本を出版したマッシさん。SNSでの発信をはじめたのは、いつ頃からですか?

マッシ:元々は、本業の「日伊逐次通訳者」としてTwitterアカウントを立ち上げました。そこから少しずつ、故郷・イタリアの話や、日本語とイタリア語の話など「文化の違い」に関する話をメインに発信するようになっていったのですが、こんなにフォロワーが増えるなんて、まったく思っていなかったですね。

「イタリア人マッシがぶっとんだ、日本の神グルメ」(KADOKAWA)

━━なかでも、反響の大きかったツイートはありますか?

マッシ:いちばん大きな反響があったのは、昨年の5月に投稿した「サイゼリアの美味しい食べ方」というツイートですね。その後に投稿したKALDIのツイートも反響が大きかったです。そういったツイートを見てくれたメディアやメーカーさんから、お仕事やタイアップなどのご依頼をいただいたり、エッセイを出版させていただくきっかけにもなりました。今では、出版をきっかけに、色々なメディアや新聞、テレビ番組にも取材していただいたり。1年前の僕は、こんな未来を予想していなかったですが、毎日新しいチャレンジが楽しいです。

━━毎日、色々なコメントをもらうと思いますが、どんな内容がいちばん嬉しいですか?

マッシ:外国人やイタリア人としてではなく、“マッシ”が見て感じたことや新発見について共感してもらえたときが嬉しいですね。みなさんとリプライなどでやりとりをするのがとても楽しいです。日本全国にフォロワーさんがいるので、現地のグルメ情報などを教えてもらって参考にしています。

きっかけは「日本の文学」を好きになったこと

━━マッシさんが日本に住み始めたきっかけは何ですか?

マッシ:大学時代は、文学部で「日本語」と「ポルトガル語」を専攻していました。大学院卒業後、地元で就職したのですが、入社してすぐ日本の支社へ転勤することになったんです。2年半ぐらい日本で働いたあと、次は南アメリカへの転勤が決まったのですが、まだ日本語を使った仕事をし続けたいと思ったので、会社を辞めて日本に住むことにしました。文化の違いや、自分の当たり前が通用しないことは、かなり大変だったけど、それと同時に「すごく面白い」と感じて、自分にとっていい力になると思ったんです。

━━大変だったのに、それを「面白かった」と言えるのは、なかなかストイックですよね。

マッシ:よく言われます(笑)。当時は、炊飯器の使い方もアパートの仕組みも分からなくて、本当に大変でした。でも、だからこそ「もっと理解したい」「日本人のように住みたい、働きたい」という想いが強くなって、負けないように努力するようになりました。
きっとこれは、現地人(日本人)のように生活できるまでの「チャレンジ」なのだと思います(笑)。でも、このチャレンジはなかなかキリがなくて、分かってきたと思えば、やっぱりまだまだだなぁと思ったり、それの繰り返し。イタリアでも同じですが、日本の中でも地域によって、文化や方言などが全然違うので、ちょっと自信が出てきても、違う地域に行くとまた自信を無くしたりします……(笑)。

━━そもそも、マッシさんが日本語を勉強しようと思ったきっかけは何だったんですか?

マッシ:日本の文学を好きになったことですね。いちばん最初に読んだのは井原西鶴、そのあとは近松門左衛門や谷崎潤一郎、三島由紀夫など。はじめは、イタリア語に翻訳されたものを読んでいたのですが、イタリアとは違う文化や考え方、目線に気がついて、少しずつ好きになっていって「いつか日本の小説を日本語で読みたい」と思うようになりました。

━━なるほど。それにしても、なかなか渋いラインナップですね(笑)。

マッシ:そうですね、周りに読んでいる人はいなかったと思います(笑)。中学生や高校生のときから読み始めたのですが、当時はネットやSNSが普及していなかったので、本屋さんや図書館でいちばん面白そうなものを買って。気がついたらこんな渋いセレクトになっていました。
文学だけじゃなく、子供の頃は日本のアニメもよく観ていましたね。「ドラゴンボール」や「北斗の拳」「シティハンター」など。当時はローカルテレビでしか観れなかったのですが、今はイタリアの普通のチャンネルでもやっていて、アニメといえば9割くらいは日本の作品だと思います。

マッシはいつでもどこでも「マッシ」

━━SNSで、いつも自分らしい発信を続けているマッシさんが考える「自分らしさ」とは?

マッシ:マッシはいつでもどこでも「マッシ」だということ。だからいつもありのままを見せるし、カッコつけたりもしないです。可愛らしいポイントも、やわらかい雰囲気も、弱いところも、全部自分らしさだと思っています。なので、Twitterのマッシも実際に会うマッシも変わらないと、よく言われますね。

━━いつも明るいマッシさんですが、自分らしさを失いそうになったり、落ち込むことはありますか?

マッシ:すごくポジティブな性格なので、なかなか落ち込まないですね。悪いことがあっても絶対にいいことがあるし、進めばなんとかなると思っているから。あと、何かあってもスイーツを食べれば笑顔になれる(笑)。

━━(笑)。いちばんのリフレッシュ方法ですね!

マッシ:出かけた先でも色々なスイーツを食べていますが、とにかくローソンのスイーツが大好きなので、毎日ローソンをパトロールしています。ローソンに入るだけで笑顔になれる!いつかコラボとかもできたら嬉しいですね。スイーツやフードはもちろん、ワクワクできるような、新しいことをたくさんしてみたいと、いつも考えています。

「アート」と「スイーツ」は、知れば知るほど楽しい

━━マッシさんが考える「アートの楽しみ方」についても教えてください。

マッシ:「アート」って「スイーツ」に似ているような気がするんです。パッと見ただけではあまり分からないけれど、制作背景、ストーリーなどをちゃんと知ると、新しい発見がある。僕は、スイーツに対してもそうなのですが、食材のこだわりや、作るまでのストーリーまで知りたいタイプ。それを知ることで、美味しさも楽しさも増えるんです。なので、スイーツを食べに行った時も、できればお店のスタッフやパティシエと話して、話を聞くようにしています。アートも同じで、できればアーティストさんのお話を聞いたり、事前に調べてから鑑賞したいですね。

━━マッシさんの発信に説得力があるのは、そういったこだわりからだったんですね。

マッシ:そうですね。ただ「やわらかい」とか「おいしかった」とかでは何も伝わらないから、どんな気持ちになったのか、どんな変化があったのかというところまでを伝えたい。それはアートと同じだなと思います。
たとえば、レオナルド・ダ・ヴィンチの《La Gioconda》(モナ・リザ)も、ストーリーを知らなければ「ただの女性ですね」と思うだけですよね。でも、背景の地域や、着てる服、ダ・ヴィンチの考え方や生き方まで知っていれば、もっと面白くなるし、楽しくなると思うんです。

━━美術館やギャラリーへアート作品を観に行くことはありますか?

マッシ:漫画の原画展や、僕が住んでいる石川県金沢市にある「金沢21世紀美術館」などによく足を運びます。イタリアに住んでいたときは、フィレンツェで有名な「ウフィツィ美術館」などに行っていました。ウフィツィ美術館は、まるでタイムスリップしたみたいな空間。今が2022年なのか1500年なのか分からなくなるような、空間だけでも楽しめる場所です。日本の美術館は、作品をメインにしていることが多いですが、イタリアの場合は、空間や建物の外観も含めてアートを楽しむことが多いかもしれません。映画やボードゲームの世界へ入り込んだような感覚になります。

━━さいごに、マッシさんイチオシの“京都スイーツ”を教えてください!(Casieが京都の会社なので)

マッシ:「マッチャハウス抹茶館」の抹茶ティラミスが、おすすめです。食べ出したら本当に美味しすぎて止まらない、かなり人気なので、今は大阪や東京にも出店しているみたいですね。これは本当にみんなに食べて欲しい!!!

マッチャハウス抹茶館」の抹茶ティラミス


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