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なぜ日本ではキャリア自律力を育てないのか?その理由と、育成法とは?

これからの時代(Vucaの時代)自律的人材・自律的キャリアが大事であることは、どこに行っても聞くし、そのようなアカデミックなセミナーも多数開催されていますよね。

「これからは自律的にキャリアを歩もう」

「自律的な人材を育てよう」

という掛け声はよく聴きますよね。大変すばらしい方向性だと思います。

しかしながら。。( ;∀;)


「具体的な自律型人材の育て方を教えます」

「自律的人材が育つプログラムを全面導入し、社員が自律的に変わりました!」

という話はほとんど耳にしません。この矛盾はなぜでしょうか。

自律力は素晴らしいことだが、育くまないという矛盾

とある企業や組織で、「自律型人材」の育成の重要性について、議論していたことがありますが、

企業のご担当者曰く:「自律型は素晴らしいけど・・」

「そんなことをしたら、好き勝手やられちゃうんじゃない?」

「自律的になって転職しちゃったらどうするの?」

といった心配事がつきなく、自律型の人材教育には後ろ向きのようです。

上記のように声を出さないまでも、上記のように本音で思っている方が実はたくさんいるのではないかと思います。

自律的というワードには、総論賛成なものの、各論(自身・自社に当てはめると)反対という矛盾をはらんでいるのではないでしょうか。

ここまで証明されている自律力パワー

想像はつくと思いますが、人間本来のパワーがでるのは「依存」よりも「自律」的に行動しているときです。自律的なパワーが出ている時こそ、人間100%ないし、それ以上の成果を出せる行動をします。社員・メンバーの力を引き出したいなら、階層別教育や、MBA教育もいいですが、自律パワーを引き出すことが、最も効果的であることはわかっているのです(その力を何倍にもする原動力)になるはずです。

例えば、ダニエル・ピンクのモチベーション3.0、デジのSDT理論(自己決定理論)、Gollwitzerは自律的な「目標意図(goal intention)」による効果の高さ(行動力)を実証されてます。(ここでは、上記の詳細を割愛)

この自律パワーを敢えて、引き出さない環境・方針は非常に勿体ないと感じてしまいませんか?


「自律的キャリアは自己責任」という考え方も一理あり

企業や組織は、ぜひ自律的人材の育成をしてもらいたいものですが、

「なぜ、企業がそれをするのか」「転職を誘発するようなことをなぜやるのか?」というご発言には一理はあります。

欧米では、学校教育では、自律力を身に着けるようなカリキュラムが多くありますので、あえて、企業が社員の自律力を引き出すお膳立てはしてません。

しかし、日本においては、学校教育に「自律」を引き出す要素が弱い故、企業がその役割を負うことは、今までの経緯からは否定すべきではないと思います。「自律力がついたら転職してしまう」なら、それを引き留めるだけのリテンション策(日常的なコミュニケーションや処遇制度)があるべきです。

個々人の自律パワーは引き出し、バランスをうまくとっていくこと。これこそが、これからの人材教育に求められることではないでしょうか?

自律的キャリアは「好き勝手やられる」も一理あり

先ほどの例でもありませんが、「好き勝手やられて困る」というのも一理はあります。人によっては、タガが外れて、本来やるべきことをやらず、人に迷惑をかける行為をする、失敗しても責任を取らない という例も現場では確かに散見されます。自律的キャリアの負の側面です。

私も現場にいて、正の自律的キャリアと、負の自律的キャリアの両方を感じることがあります。

しかし、だからといって、自律的な教育、アプローチをとらないではなく、それを抑制する仕組みと同時に導入すればいいのではとおもいます。

例えば、JOB型です。これは、実際のJOBと期待成果を明確にしますので、好き勝手やられるリスクを減少させます。もちろん、そのJOB自体を勝手に決めるのではなく、選んでもらうところが自律的なアプローチにはなります。JOB型は、自律的なアプローチとセットで相乗効果を発揮するものと思います。

また、しっかり権限(自律)=責任と認識してもらうこと、その仕組みが大事です。日本では、ここが非常にあいまいです。自律=責任も伴います。これを、しっかり理解してもらうことです。「好き勝手やられる」方が、もし何らかの失敗をしたら、その人も学びます。学んで行動を修正することもあるでしょう。

自律的キャリアのシンプルな3つの育て方

では、どうすれば自律力が育つのか?

❶ライフテーマを考える

キャリア構築理論では有名なマーク・サビカス教授は、ライフテーマを考えるの重要性を提唱されました。これは、人生のテーマであり、会社のテーマではありません。ここが大事です。

Gollwitzerも、自律的な行動の前には、大いなる自律的な目的・目標設定が必要であると言ってます。

壮大なテーマですが、人生も長いようで短いですから、「一体、自分は人生で何を目指すのか」ここをよく向き合って考える事が大事です。一人で考えられないなら、専門のコンサルタントとOne on Oneで話すのも良いでしょう。もちろん、長い人生でライフテーマは変わってもいいのです。しかし、今ここで、何のための行動しているのかの原動力、北極星がないと、まず、自律的な行動は生まれないのです。

❷自己効力を高める

ライフテーマが考えられても、自己効力を高められなければ、行動にはなかなか移せないかもしれません。自己効力感とは、認知心理学者のBandula教授が提唱したもので、「とある状況で結果を出すために適切な行動を選択し、かつ遂行するための能力」を自らが持っているかどうか認知することです。

自己効力感を高めるには、自己のキャリアの棚卸をして、できたこと「遂行体験」などを整理するほか、専門家とのキャリア面談も有効でしょう。

❸最初の一歩を踏み出す

当たり前ですが、最初の一歩を踏み出すこと(行動)が必要です。

昨今のキャリア理論の潮流である計画された偶発性理論(好奇心をもって、取り組むことで予期せぬ幸運を計画されたように得ることができる)、カオス理論(少しの入力変数が大きな変化をもたらす)からしても、とりあえず、小さなことでも自分で始めることが必要です。

ここができない場合は、最初だけは周囲の支援も借りて、一歩を踏み出すのが良いのではないでしょうか。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。



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