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「メンバーシップ型」的な人事が諸刃の剣なわけ。JOB型新時代。

私は、4つの業界、5つの国の実際の現場で人事・人財の業務に従事してきました。海外では当たり前のJOB型がいよいよ、日本にも導入されようとしている中、メンバーシップ型からの切り替えに躊躇する日本企業もまだまだ多いようです。JOB型とは一言でいうと、その人が担うべき、仕事の難易度・影響度で処遇や地位を決めるというものです。仕事が先にあり、そこに人を当てはめていく格好です。

逆にメンバーシップ型は、人が先にあり(まずは採用)、後に仕事の範囲を曖昧にし、阿吽の呼吸で進めていくという形(日本独自)です。

メンバーシップ型が諸刃な剣のわけ( ;∀;)

メンバーシップ型が良い、悪いの議論はよくありますが、私は、現場を25年間、数ある業界、国で、人事を見てきた感想として、メンバーシップ型は諸刃の剣(うまく使えば、効果は大きいが、うまく行かなければ自身のダメージが大きい)と思っています。メンバーシップ型だから、良い、悪いというわけでなく、環境による(コンティンジェンシー)であると思うのです。

具体的に言うと、('_')

メンバーシップ型が成功するのは、その名の通り、メンバー間の信頼・チームワークが良く、企業の目指すべき方向に皆がコミットしている状態です。この状態であれば、従業員は進んで、JOB間の隙間(いわゆる野球でいう左中間)をしっかり守り、細かなすり合わせも主体的に行い、企業運営がうまくいくと思われます。昔ながらのいわゆる古き良き日本企業はそうだったのかもしれません。

一方で、もし、上記でない状態(メンバー間の信頼の醸成がいまいちで、企業のビジョンもあいまい、都度変更が多い)にメンバーシップ型を全面適用してしまう(Job型を採用しない)と大けがをします。そもそもメンバーシップ型は、その構成員にJOBを明確に定義しません。阿吽の呼吸に頼ります。よって、ある意味自由にふるまえてしまうわけです。例えば、信頼が薄いチーム、高圧的な上司いるチームでは、自分自身のJOB(仕事)を小さくしてしまうことも可能です。また、野球でいうと左中間に落ちた仕事も、拾って失敗すると怒られる、特にメリットがないと拾いに行きません。(ある意味合理的に判断する傾向となります)

拾いに行かないと上司から怒られますが、役割が不明瞭で、阿吽の呼吸に任されているので、ますます拾いに行きません。この場合は、しっかり、誰がどの仕事をするか期待を含めてコミュニケーションをしないと、仕事が回らなくなるでしょう。

うちは大丈夫という経営者の方々

こういう話をしますと、意外と多くの経営者の方は、うちは前者(信頼関係企業へのエンゲージメントは抜群によい!)だから、JOB型は不要かなという結論に到達されます。しかしながら「果たして本当にそうか?」は考える必要があります。日本のエンゲージメント度は世界で見ても、目を覆いたくなるほど低い水準です(米国Gallup社のエンゲージメントサーベイでは、日本の熱意ある社員は6%という衝撃な数値が出ております)

昨今の失われた20年、30年という低成長時代、非正規社員との格差、パワハラ、セクハラ問題等、日本の企業が抱えている現状、エンゲージメントは、経営者の時代が思うほど、高くないのです。

現状を考えるとJOB型を一部導入の方が正解か

どの日本企業であれ、今の外部環境を見ると、一部でもJOB型を導入する方が賢い選択だと思われます。JOB型というと「左中間は誰が守るんだ?」という議論にもなります。野球でもそうですが、まずは、基本となる守備位置を決めるのが鉄則です。まったく守備範囲も決めずに、助け合いと滅私奉公の精神でなんとか、守ってくれということはありません。JOB型を導入しつつ、+アルファでメンバーシップ型のマインドを醸成するのが、今の時代、日本に必要なアプローチではないでしょうか。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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