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JOB型であれば退職を阻止できた?有能な若手社員~実話から~

JOB型への切り替えが進んでいる

昨今、企業では、テレワークの普及が後押しして、Job型の導入が本格化しています。一言で言えば、今後、企業は「その仕事の市場価値、つまりは重要性や難易度、貢献度」で処遇や給与が決まっていく時代になるのです。

世界では、ごく当たり前の基準ですが、ようやく日本にも導入が検討され始めたわけです。対するのはメンバーシップ型といわれています。要は、その人の組織への帰属意識度合いで、その人の処遇や給与が決まるというものです。これは、今後廃れていくであろうといわれています。

Job型であれば辞めなかった若手社員たち

私は、コンサルタントとして実際に働く方々、または有識者にお話を聴いたり、また、自身も数々の企業を現場で見てきた立場から、もし、日本にJob型が早く導入されていたら、有能な若手社員が辞めずに済んだと思う事例をいくつも聞いてきました。その中でも実体験した一例を挙げたいと思います。

役員対応も任される有能3年目社員

とある企業戦略部門に、非常に有能な若手(Aさん)が配属されました。大学でも、その分野を深く学んでおり、まさに1年目から、数々のプロジェクトに大抜擢され、成功をおさめるなど目覚ましい活躍でした。その任される仕事の難易度、重要度は日に日にましていき、入社3年目には、本来はマネジャーが担うべき、役員対応の業務まで任されるようになりました。

当初は、遣り甲斐に満ちていたAさんは、周りから「成長のため」「エリートコースだ」という言葉を励みに、どんな難しい仕事もこなし、もはや管理職レベルの業務まで知らず知らず到達していたようです。リーダーシップ意識も強く、本来は管理職がケアすべき、1年目、2年目の社員の育成までも任され、毎日激務に耐えながらも、頑張ってきたようです。

しかし、ふとしたことから、Aさんは疑問を持つようになったようです。

「なぜ、管理職レベルの仕事をこなす私が、新卒3年目の給与なのか」

Aさんが管理職レベルの仕事をこなすようになった反面、管理職の社員の方々は、どちらかというと業務サポートに回ると、まったく逆の現象が起こっていたようです。しかし、実際の処遇は、サポート仕事しかしない管理職の方が、Aさんの2~3倍ももらっていることを知ったのです。

「成長のため」と任されたのは良いが、これほどの重要な仕事を日々こなす自分がどうして、新入社員のような処遇なのか、疑問を持ち始め、ついには、退職に至ったという経緯です。よくある話かもしれません。

JOB型であれば、救えたかもしれない有能社員

もし、この企業にJOB型の考え方が入っていた(厳密に適用された)としたら、当然Aさんの仕事の重要性を鑑み、管理職相当、それに近いの処遇となったことでしょう。しかし、日本では、3年目にして管理職相当の処遇というのは、極めてまれな事象です。やはり、下積み期間が必要、まだ若いなどの理由で、少しずつ周りと歩調を合わせて、給与が上がっていくのは、日本ならではメンバーシップ型の王道です。

もちろん、メンバーシップ型にもいくつかのメリットがありますが、私はメンバーシップ型は、諸刃の剣と考えています。社員同士の信頼が厚く、企業のバリュー・ビジョンがしっかり浸透している企業であれば、うまく機能しますが、そうでない企業は、逆に大怪我をする仕組みだと思います。

昨今変化は始まっている

さすがに、欧米企業と比べて、この分野の遅れが顕著な日本企業は、一部で重い腰を上げ始めたようです。某有名IT企業では、AI人材に1年目から年収1000万円という初任給の適用を始めたようです。また、早期選抜の制度も、導入する企業も出てきました。

完全JOB型に至る道のりは長いですが、有能な若手が活躍できる仕組みの導入は待ったなしの課題かもしれません。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


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