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え?降格したい?管理職辞めたい?「希望降格」が増えている3つの理由と方法。

組織に属する人、会社員、公務員も、上を目指して、「管理職・上位職に昇格したいと思う」のが、今までの常識でした。

でも、2024年現在、日本中で異変が起こっていることをお伝えしたいと思います。「希望降格」が増えているという現実です。

■参考:以下は、2022年4月の神奈川県職員の記事

希望降格が増えている理由

実際、ここ数年(2020年ごろから)、私もキャリア相談員として、このような相談を多くお受けします。希望降格が増えているのはなぜなのか?その理由は、以下のようなものです。

理由1.特に管理職・上位職になっても、金銭的メリットがない

理由2.特に管理職・上位職になっても、権限が上がらない

理由3.特に管理職・上位職になっても、自分のやりがいに合わない

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管理職・上位職に悩む

順番に見ていきましょう。


1.特に管理職・上位職になっても、金銭的メリットがない

これは、日本企業独特の問題でしょう。

海外では、仮に部下を持つ管理職になったら、給与は跳ね上がります。総報酬が1.5倍くらいになる国もあるでしょう。

当然です。部下を持ち、成果に責任をもつプレッシャー、仕事の大きさを考慮すれば、それぐらいの給与アップは不自然ではありません。(ジョブ型の基本です)

日本の管理職の給与は、先進国でも最低レベルです。東南アジアの管理職よりも低いと言われています。しかし、それは気にせず、上司からは、給与は上がらないけど「愛社精神」があるからいいよね?給与は上がらないけど、「管理職は誇りじゃないか」と説得させられることも多いのです。

先進国最低レベルの管理職給与

日本では、管理職になったら、「給与が下がりました」という嘘のような本当の話があります。残業代がつかない管理職は、一つ下の職位より手取りが減るケースがあるというものです。(注:もちろん、法律上の管理監督者にあたらないまま、管理職任命し、相応の処遇をしないなら、「名ばかり管理職」問題として違法になります)

仮に順当に給与が増えても、10%、20%アップがざらです。税金もありますから、大企業で1000万円を超えると課税率も上がります。そうなると、コスト対効果で、金銭的なメリットを感じないのも当然のことです。

もちろん、「退職金積み上げポイントが管理職の方が良いのだ!」と主張する方もいるでしょう。それもありますが、能力のある方は、外で副業で稼げる金額とさほど変わらないという実態もあります。だったら、副業したほうがいいじゃないかという結論にもなりがちです。

逆にそれをわかっている企業側が副業を何とか阻止しようという構図が見て取れるわけです。

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金銭的メリットがない管理職

2.特に管理職・上位職になっても、権限が上がらない


権限が上がらない管理職

次に権限の話です。日本の多くの会社は、権限は、かなり上位層に集中してあります。大手日本企業であれば、特に、若手管理職が決められることはごく僅かな事であり、仮に規定上は権限があることでさえも、忖度儀礼で、部長や役員レベルと話さないと決められません。

よって、管理職・上位職になったからといって、「権限」「裁量」「責任」が著しく増すわけではないという理由はあるでしょう。これが度を過ぎると、管理監督者として扱うのは、違法になります。

3.特に管理職・上位職になっても、自分の遣り甲斐に合わない

最後に、管理職、部下を持つ上位職というものが、そもそも自分の価値観にあっていないという観点もあります。

キャリアアンカーというものがあります。キャリアアンカーとは、職業生活、キャリアを積むうえで、絶対に譲れない価値観・アンカーの事です。

■キャリアアンカーとは

そのキャリアアンカーは、8つありますが、必ずしも、誰も「管理職志向」であるわけでは決してありません。

人によっては「専門家」タイプもいますし、「奉仕家」という企業にそもそも向かないタイプの方もいます。

日本では、全員「管理職」「上位職」目指すべき論調がありますが、キャリアアンカー論からしたら、おかしな話なのです。

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キャリアアンカーが合っていない管理職

希望降格するには?

では、希望降格したい!それならどうすればいいのか?

希望降格ができる組織もありますが、そのような組織は極めて稀です。ほぼ多くの組織は、上司や人事部門に問い合わせても、

「希望降格?そんな制度はないので、頑張りましょう」

と言われるのがおちでしょう。下手に言いまわると、やる気がないことを暴露しているようなもので、得策ではありません。もちろん、親身に相談に乗ってくれる組織もありますので、信頼できる人に相談してみるのは有効でしょう。

それでも、無理な場合で、希望降格するなら、「転職」が答えになります。

一つ職位を下げた形での転職を模索してみると良いでしょう。その場合の転職理由は、応募先にネガティブなことを伝えるのではなく(管理職をやりたくない)、自分自身のキャリア観(こういったキャリアを積みたい)をしっかりポジティブに語ったうえで、転職を進めていきましょう。

管理職に合っているのかな?辛くて転職も考えるなら?プロに相談。

❕管理職になったら読みたい本3選

とはいうものの、まだ自分では管理職適性がわからない・・という方もいるのではないでしょうか。

リアリティショックで管理職に向いていないと決めつけてしまうのも、もったいないかもしれません。自分で、自己啓発本などを読んでみたうえで、意外と、管理職が楽しい!と思える日が来るかもしれません。

管理職になるのもあり、ならないのもあり。自分自身、しっかり考えて、納得感をもって、判断したいですね。






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