ミスドの思い出

「コーヒーのおかわりいかがですか?」

目の前の紙切れと格闘していた私。
突然かけられたその声にドキッとした。

顔をあげると、そこにはコーヒーのおかわりを入れて回っている、
店員さんがいた。

今から15年ちょっと前、当時の私は大学4年生だった。
就職氷河期だからか、はたまた実力不足か。なかなか内定をもらえない。

焦る気持ちと、不安な気持ち。
トボトボと歩く道すがら

発売してまもない、ポンデリングののぼり旗が目に入った。

ふらっと入った高田馬場の店舗。二階の窓側、外が見える席に座った。
ポンデリング1つと、コーヒーを頼んで。

ポンデリングを食べると、甘さで心が和らいだ。なんだかやる気のスイッチが入った。コーヒーを片手に新たな企業のエントリーシートを書き始める。

しばらくして、冒頭の声がかかった。

店員さんの笑顔に思わず、
「おっ、お願いします」と私。

その後も、
おかわりのコーヒーを注ぎに来るたびに
「お願いします」と繰り返した。

縁起を担ぎ、末広がり8杯のコーヒーを飲んだ。

「飲み過ぎた、、、」。エントリーシートが完成した頃には、少し胃がキリキリした。

今もコーヒーを飲むたびに思い出す、苦い思い出だ。

ミスドでその日書いたエントリーシート。
初めて内定をもらった会社だった。


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