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認知症の人が見ている世界 #介護新米ジャーナル

「認知症の人が見ている世界」という本を読んだ。
今まで目にも入って来なかった本なのに、一番に目に飛び込んで来たタイトルだった。

母が認知症であることをようやく受け入れられるようになって、専門の医療機関を訪れたり、デイサービスを利用するようになってしばらく経った今日このごろ。慣れない事務手続きやクリニック巡りを経て、未知なる認知症の世界を少しづつ知るようになって、そして長時間母と過ごすようになってわかったのは、思っていたより母の認知症の段階は進んでいるらしいということ。

「ちょっと言動がおかしくなった母」として、前とは違う接し方をしてみるようになったけれど、なんだか噛み合わない。違和感のようなものしか感じられず、どう対応していいものか、思案する日々。

暴力・暴言など今まで想像さえしたことのなかった母の姿を目の当たりにして、呆然とした。まるで別人。「あなたは誰?」見ているのも切ないよ。

徘徊も案じられ、安全の確保を第一にということで、看護師さんの常時いる施設でのショートステイを薦められ、入所してから2週間が過ぎようとしている。

最初の1〜2日は、「私は帰る」「私は正常、狂ってない!」と抵抗があった。日がさらに進むと、ステイ先のスタッフの皆さんとの談笑が増え、食事を褒めたり、居心地は良いという話をするようになった。

「家族との会話はいつもギスギスしがちなのに、スタッフの方々とのコミュニケーションが円滑なのは何故だろう?」と不思議に思いながら、本屋に立ち寄った時に目に入ってきたのが、この本「認知症の人が見ている世界」だった。

漫画スタイルで読みやすいのもあって、スイスイ、パラパラと飲み物のように読み干した。

シチュエーションが、ほぼ全部当てはまっとるやないの!


まるでウチの家を覗かれていたかのよう。
まず出てきたのは
「ということは、ウチが特例ではないのか」
「みんな同じ体験をしているらしいー」
という安堵感(ほっ。)

そして次に出てきたのは
「こんな風に見えていたとは!健気やなー」
「ああ見えて、すごく頑張っとったんやなー」
という母への言動への理解と、頑張っている母を愛おしく思う気持ち。

ステイ先のスタッフさん達は、これを理解した上でコミュニケーションを撮っているから円滑だったんだなぁ、と納得。

とにかく今までの不可解な会話や質問の謎が気持ちよく解けるきっかけになりました。何度も何度も同じこと聞かれてイラッとすることも少なくなりそう。(未熟者ゆえ、ゼロにはならないと思う)

お金のことを何度も何度も聞いてきたり、
財布を盗まれたと何度も警察に通報しようとしたり、
以前の母との違いにイラッとしてしまったり、
理解の悪さに怒ったりすることも、きっと少なくなるだろう。

不安でいっぱいやったんやな、お母さん。
人に迷惑をかけたくない一心で、何度も何度も覚えようと聞き直してたんやな。

見え方がわかっただけで、私の感じ方も一変しました。
そのいじらしさになんだか泣けてきました。
この気持ちを忘れず、明日も面会行ってきます!


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