ダブリン感想文

 これは言い訳なんですけど一応私は、帰り道で絶対ダブリンの感想もしくは考察を文字に起こすんだという気合を持ち一人旅にノートパソコンを連行しました。
 しかし小一時間の空の旅はパンフレットを精読してたら終わっていた。終演に伴い解禁された滝のように湧き出てくるファンの考察・感想、ムー君とりっかちゃんの贅沢な解説を横目に、作品に対する理解を深めれば深めるほど確信したのは私にあの戯曲への言及や考察があんまり出来るわけないということで開き直り、オタクとしての備忘録を残すために立ち上げたハテブではなくこちらで思ったことを好き勝手書いていくことにした。そのため、作品に対する感想とかではなく殆ど自分の話になってしまう予定なんだけれども本当に素敵な日々だった。観劇できて良かった。間違いなく。

出会い

 まず私の人生は一貫性が無くて支離滅裂な変遷を経てきているが、この舞台に出会うために過ごしたと言っても過言ではない時間が確実にあった。入野自由とケルト音楽。

 みゆさんとの出会いはおよそ10年前の2015年夏、私が中学の頃で何がきっかけで惹かれたとか言う記憶は本当に無くて、まあ多分スガさんだったんだけどwikipediaの片っ端から隅々まで出演作品を漁り倒していきたいタイプのオタクだったので沢山の作品に出会った。タカオとかじんたんとか石田とか絶対あの頃の私は浅くしか読み取れていないだろとしか思えない、心に語り掛けてくるタイプの作品ばかりだったから今見たら何考えるのか少し気になるなと書きながら思ってる。オワセラ離脱したのも懐かしい。当時小野Dが好きな友達と神谷さんが好きな友達がいたからなんとなく一人でコソコソと、しかし猛烈に推していた。とにかくあの青年感の中に寂しさと優しさを併せ持つ、脆さもあるような、他人事のように感じられず放っておけない繊細な声が私にブッ刺さり続けていたのだと思うが、これ多分人類で私しか思ってないんだけどみゆさんて閑也くんと声質近いよな??????????????????????私のエゴかもしれないけど、人間の声を二分したら絶対同じ側にいるよね。まあ生の舞台で喋って歌って踊ってアクションとコメディするみゆさん見たのは初めてで、あまりにも匠過ぎたから恐れ慄いたのですが。この人は、場数踏んで確実に成長しかしてきていないんだとその貫録を目の当たりにした。あの頃の自分はオリ曲からキャラソンからKAmiYUの曲まで聞き倒してきた割に舞台のみゆさんを知らなかったからまじで教えてやりたい。覚悟してくれよと。私はトド松のあたりでフェードアウトしてしまったけど、その後彼は留学で海外に行き(推しは留学で海外に行くもの)、結婚し、技術も懐も何もかも広げた職人として生きていると。
 ダブリン発表後からか忘れたけどインスタをフォローし、昔のよしみがあるんで何となく始まった音声のみのインライを何気なしに聴いていたけど彼は確か先月位までソロライブをしていて、舞台稽古と両立させていた。本人はバリ忙しいことを「満身創痍ですね」と言い、最後の方で「𝑻𝒓𝒂𝒗𝒊𝒔 𝑱𝒂𝒑𝒂𝒏 ~ 直伝ですからね」(ニュアンス)という特大私信ファンサを投下したからもうそれだけでも幸せだったのにみゆしめしず小松さんでラーメンを食べに行き(2024/07/21)、しめちゃんとカレーを食べに行く約束をし憧れの先輩アタッカーのしめちゃんがべた褒めしている(2024/07/30)から行先への期待さえ持ってしまいます。尊い。私にとってはミラクル事実エクストラが山ほど発生していたので話がそれましたが、場数、経験値、周囲からの信頼が目に見えてしまってみゆさんめっちゃデカく見えた。格好良いんだな。

 次に、ケルト音楽✨🎶(まちゅまる定期更新テイスト)
 出会いは高校の頃で、何年のときか忘れたけど母校の吹部が演奏する自由曲として選ばれてたものがケルト民謡をモチーフにした楽曲だった。顧問が多分普通にアイリッシュとかノルディック好きそうな服装多かったんで多分そのあたりのものが好きだったとは思いますが、小編成だったことを逆手に取った選曲で、当時部長に誘われて吹部に出入りしていた私も参加した。ウィンドチャイムしてシンバルをロールしていた記憶がある。懐かしい!

 演奏に参加した割に知識が無いからこれ以上言語化してもボロしか出ないのであまりケルト音楽について語り続けられないのが悔しいけど、素朴さと懐かしさと温かさと儚さとトキメキのあるジャンルだよな(まだ話す)。今さっき得た知識だけどケルト人は言葉はありつつ文字が無いからケルト音楽をケルト音楽たらしめる明確な記録が残っておらず、国家を持たず、複数の方向に分かれて勢力を広げていく少数派だったらしく、パンフに載っていた後藤さんの言葉では「侵攻される側」である、だから時代や国を超えた哀しみとそれを乗り越える強さや明るさが織り込まれていると。

 そしてこの作品に出会わせてくれたしめしず。後にも先にもしずは人類で最も好きであり、最も信頼しており、それと同じぐらい好きで一生信頼が止まらないしめちゃん。忘れもしない2024/03/20水曜、起床直後Twitterを開いたらビジュアルと情報が解禁されていたから人生で初めてガッツポーズをした。出演者に入野自由の名前を見つけて5度見ぐらいしたが、それを除いても本当に夢でもおかしくなかった。閑也くんがミュージカルするなんて信じられない。台本読んで覚えて掛け合う?歌う?マジ?しかもしめとのW主演なら私の妄想か虚構かの2択しかないが?と慌てふためいた。21あるコンビでしめしずが選ばれ、しかも主演ナンテ、本当に想像していなかった過ぎて。夢のよう超越して夢にまで見てすらない。

 更に、これは後日談として2024/07/29(月)の千秋楽後に更新されたブログでもしめしずが止まらない。

そういえば、昨日しずが俺の隣で四葉のクローバーを口ずさんでた!

2024/08/02 18:00 しめまる

今日はしめとラーメン食べに行ってくるよー^_^

2024/08/02 21:00 しずまる

 あれだけ舞台期間ずっと一緒に居て共演者様とご飯とかも行っていたのに昨日の今日でサシ飯とか行っていいんやとしめしずの宇宙を感じ、いや、一緒に居たからこそ、ダブリン終わったからこそ2人でしか分かち合えない話もあり、いわば打ち上げみたいな感じなんかな?と思いきや1人でも入りやすく回転率も高い(であろう)ラーメン屋に2人で行く。マネージャーさんのおすすめとはいえ、日常的な食事を感じて温かくなりました。そもそもダブリン終わったとはいえご多忙と思うのでラーメンは全然有り得るよな。しずは早く帰って寝たいし。その次に更新されたとらつべでも彼らは隣で結構同じ体勢で座っているものだから嬉しかった。しず誕生日FC動画でもしめちゃんがまじのトーンで「聡良かったよ」と言ってくれたものだから信頼しかない。この世界にいくら変化が在ろうと、彼らの人生を支える平和は守られ続けて欲しいと願う。

 だからか人生で二度目のミュージカルでありながら、1回しか観劇することは出来なかったのだけど、ダブリンとは初めて会ったような気がせず緊張や戸惑いなしに私も物語に没入していた。


オープニング

 全キャスト?がテーマソングを歌うところでもう圧倒された。声量。ユニゾン。通る声。クリアに聞こえてくる歌詞。ハーモニー。全てが空気に乗って押し寄せてきた。浴びた。早くこれになりたかったと思い、心がめちゃめちゃ高揚した。


カビ人間/しめちゃん

 最初は流石に初めてカビちゃんが出てきた時、しめちゃん来た!と思って双眼鏡を構えましたが、ご降臨というか念願の生カビ人間との出会いの嬉しさもあって、純度とパワー100%の身振りで元気ハツラツと鐘を撞くカビちゃんがそこにいたのでもう感動した。
 カビちゃんという人間は周りがどうであろうと前向きに捉え直してへこたれず、常に明るく元気で、今の景色が好きだと言う。おさえちゃんと初めて会った時に交わした言葉が、後に全部反対の意味だったと知っても嬉しいままだよと言えるとても芯のある人だった。
 信念が強いことに加え、おさえちゃんとの会話を重ねて「だんだん慣れてきた」と言っていて、自分の少しの努力で相手をありのまま受け入れ順応しようとするカビちゃんの姿勢。カビちゃんの優しくも強い生き方全て心底見習わなきゃなと思いながらずっと見ていて、かなり勇気づけられた。
 公演が終わった後で考えると普段ひたむきにお仕事と向き合うしめと、鐘撞の仕事に存在意義を見出し最後まで職務を全うしようとする姿勢のカビちゃん、やはり重なるものがあるというように感じて公演前に竹内様が仰っていた「ハマリ役」というのも仰る通り。

「僕はおさえちゃんのこと好きだな」
 六花ちゃんも仰ってましたがここが私の最も好きポイントです。何周かした方々は私より物語が見えているから、これよりも前の段階で啜り泣く音が聞こえた時にもうこのシーンは悲しいところなんやと把握する集中力散漫な自分もいましたがこのシーンで初めて涙腺が崩壊した。カビちゃんの沢山の感情が凝縮された一言で、温かくて悲しく、心が締め付けられた。


おさえ/りっかちゃん

 共演者の方に、しめちゃんと合わせて「ストイック」と言われていたからめちゃめちゃ良いペアだったろうなと思ってる。
 りっかさんのヤンタンより、おさえ役の人は心に病む傾向があるらしいがりっかさんは大丈夫でしたとのことで、彼女の若さとパッションというか器のデカさでうまく乗り切ったのだろうかと思うけど素人目にもシンプルにすごいと思った。この舞台の2コ前のものが動画サイトにあったのでチラッと見たけど、比較的今作のおさえはおてんば以上破天荒未満というか、控えめとは真逆な性格なのが引き立っているように感じた。だからこそ余計に素直に思ったことを言えないつらさを察した。


聡/しず

 観劇するまでの期間は一応ツイッターに制限かけることなく薄目でレポを眺めていたので聡がザリガニになる時間があることは知っていましたが、プレスリーになっていたとは。ラブミーテンダーのシーンが…みたいなポストも流し見していたけどこんながっつり、しかも弾き語りだなんて。ここがカオスのピークだったと認識しています。閑也くん、聡、ギター、プレスリー、ラブミーテンダー、それらの情報を一気に処理する脳が無くてずっと息を呑みながら?見ていました。

 しずが今後演技のお仕事を受けることがあるとしても、聡は最もしずに近い性格なんじゃないかな?と思う程しず寄りの役というか、閑也の濃度を薄めることに苦労したみたいなエピソードが思い出されます。私が生きてきた中で仮にもしずが演じる役にパートナーがいるというのはオタクとして初めての経験でしたが邪念など全く生まれませんでしたと言うことも野暮なのですが。それほど没入したのでこの期間本当に聡を刷り込んだんだな😭誰目線過ぎるがまじでしずがこのお仕事を引き受けてくれたことが本当に嬉しい。


真奈美/りり姉

  • 歌ウマッ

  • 演技スゴッ

  • 振り返りブログで相棒の写真を乗っけてくださってたのでめちゃめちゃ心が温かくなった。本当に感謝しかない。まなさとありがとう。


戦士/みゆさん

  • セリフと歌がてんこ盛り
    私はしめしずのW主演舞台を見に来た🎶の気持ちで入場したが退場する頃にはみゆさんの舞台見に来た?と思うほどにはみゆさん出ずっぱりだったというか、出演時間しめしず足して等しい位出てた!(体感)物語の構成的に最後は聡とカビ人間の両カップルにスポットは当たるけど、戦士めちゃめちゃキーパーソンだった

  • 貫禄ありまくり
    10年前にうっすら片足突っ込んだ程度にしかみゆさんの作品を知らない身で言えたもんでは無いですが彼の技術と経験値のデカさを浴びるように痛感しました、場数を踏み倒しまくっているであろうとはいえ、中村さんとのコメディーも面白いしアクションも高音も半端なかった。

  • 間がナチュラル
    休符がメロディーになるタイプというか、間を操りすぎていて何もかも絶妙だったと思う。凄過ぎ。


ムーくん/まさとくんはじめカンパニーの皆様

 ムー君のインライを聞けてめちゃめちゃ良かった!!というのも舞台畑()の人が考えている事ってなかなか詳しく聞く機会が無かったので、三度の飯より観劇みたいな細胞でキャストとか作品への知識もリスペクトも熱も止まらないような方々の話題にしめしずの名前が上がるとユニバース感じた。稽古期間よりも前のインタビューとかパンフのインタビューでは2人とも返答がめちゃめちゃ初々しくて眩しかったと言うか周りのキャストが紡ぐ言葉が貫禄あり過ぎて深みを見たため個人的に恐れ慄いたんやが、このお二方に限らず、カンパニー皆様が優しく迎え入れて沢山指導して下さったお陰で舞台期間中閑也くんの生き生きした姿が見られたのだと思っています😭😭😭ほんまに感無量✨


エンディング

 パンフレットの言葉を借りてくると後藤さんの作品ならではらしい「ナンセンスな笑い」、とは私的には「=カオス」だったのですが、これほどアトラクションみたいな物語の作品を見たのは初めてだった。後藤さんからのメッセージというか、ステージ上で起きていたことのそれ以上でもそれ以下でもないのだろうけどつまり何なのか考えようが色々あるように感じた。終盤で大衆が喜ぶシーンでは悲しい雰囲気を全く漂わせず、観劇していた身としてもずっと市民側にある意味参加させられていたことを自覚しつつ感情がぐちゃぐちゃすぎて何に対する涙なのかわからないまま涙が止まらなかったし結末は普通に怖かったのだがカビおさが階段を登るシーンとまなさとが愛を誓うシーンは絶対に美しかった。

 カテコではキャスト全員ニコニコしながらグルグル踊ってくださったお陰で無事帰路に着くことが出来ました。ありがとうございました。


(感想)

 ※以下全然見当違いかもしれない感想が続く(ワンクッション)

 バッドエンドかハッピーエンドかは何を重視するかで変わると思いましたが、全幕通して美しいと感じたものの美しさは変わらないのかなと思いました。特にカビ人間の生き方ですが、私自身今まで生きていて憧れたりしてきた人となりとしては人望が厚かったり人脈が広い人だったり、そうなるために必要な努力や備わっている性格は勿論素敵ですが、それがなくともカビちゃんの生き方は美しく見えたなと思って、私もどうせ生きるなら美しく生きたいと言うふうに思いました。私といえば、社会人する中で私がどうにもできないことに心など振り回されがちで、自分自身以外のことへの愚痴が絶えず、自分が生きづらい理由を周りに作りながら生きていて全く美しく無いからどうにかしたい。死に方についても、カビおさもまなさとも美しかった。美しさ自体尺度も感じ方も人それぞれだけど、その視点を強く意識した結末だった。

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