ドレスコードなし、といえど… シビアなニューヨークのショップ店員
ニューヨークも、他のアメリカの都市同様、カジュアルスタイルが基本だ。冬はジャージ姿をよく見かけるし、夏は短パンが主流。シーズン問わず、ボトムスはピタッとしたレギンスをはいている女性が多い(エクササイズ前後のようではなさそう)。
ステーキハウスやブロードウェイも同様だ。気合いを入れすぎると「おのぼりさん」みたいに浮いて見える可能性さえある。…アメリカ人は人の目を全く気にしないので、オシャレしたい人は目いっぱいするのだろうけれど。
今回は、そういう気軽なノリでお店に入って、手イタい体験をした話である。
ある雨の日、リッチな日本人マダムと一緒に、メトロポリタン美術館の帰りに、マディソンアベニューにある高級チョコレート店に立ち寄った。お互い店内を物色し、マダムは目的の商品と、2,3の追加商品を選んでお会計に進んだ。庶民な私はお会計金額の100ドル越えにちょっとギョッとしたが、まあ普通の接客風景だった。お店のメンバーになっているか、メンバーになるかというような質問とお支払い。…私は自分の番になるのを待ちながらぼんやり眺めていた。(1人の買い物に2人のスタッフがレジ対応していたので、1人来てくれればいいのにな、くらいの感じで。)
マダムの買い物が済んだ後、私がケーキを買おうと声を掛けたら、まず、店員にビックリされたのだ。「え、あなた、うちの店の商品を買うの!??」というような表情だった。(笑) とりあえず、私は何事もないかのようにサラリと注文をしてレジに進んだ。マダム同様に(メンバー云々の)型どおりの質問が来るかと構えていたが、一切ナシ。むしろ逆に、マダムには訊かなかった「手提げの紙袋いる?」という質問をされた。2020年から買い物袋は有料になった。5セントだ。…外は両手で傘を支えないといけないくらいの大雨、型崩れを避けたいケーキを買ったというのに「要らない」という答えが来ると思ったのか?? 私は質問の意味が分からず、逆にびっくりした次第だった。
…担当者が違うなら、あるいは別の日だったら対応が異なったかもしれないのは分かる。しかし、1分前までマダムに接客したのと同じ店員だ。私は明かにメンバーではなく、5セントの手提げ袋さえケチる客に見えたようだ。直前の接客風景を見ているお客に対してさえ、臆面もなく、ガラリと異なる接客をするのである。 …(怒りのない)完全自虐ネタの笑い話である。
振り返るに、店員は私が注文をする前から態度が違った。買ったものの内容で判断したのではなく、外見で判断したと考えるしかない。確かに連れ立ったマダムはリッチで、いつもピアスはブランドロゴのもの、と公言していたし、その日もそうだった。そしてブランドバッグを身に着けていた。片や私はいかにもボロを着ていた訳ではないが、見るからにハイブランドのもの、とわかるようなものを何も身に着けていなかった。(実際全てノーブランド。)
この推察が被害者意識にかられた妄想でないか、念のため、いつものアメリカ人の友人に話してみた。すると、彼女も「Tシャツ短パン、テニスシューズでお店に入ると、声さえもかけれられないことがあるよ」と言っていた。「マディソンアベニューとか、5thアベニューとか、全員ではないけど、スノッブで横柄な店員はいるよね。そういう店員はお客さんの外見、バッグや靴やジュエリーを見て判断してるんだと思う」と。…彼女は、服装はいつもカジュアルだが、実際にはスーパーリッチである。(笑)
『マディソンアベニュー』はマンハッタンを南北に走る通りの1つで、いわゆる5番街(5thアベニュー)の東隣の通りだ。マンハッタンの上から下まで全部が高級かというと、そうでもなく、57丁目から86丁目あたりに、ハイブランドのブティックが立ち並ぶ。また実際、このエリア(60丁目から100丁目くらいまで)はそもそも商業地区というよりは高級住宅地で、その住民たちのための近場のお買い物先、として高級ブティックが並び始めた、という成立順序だと思われる。必然的に、買い物客はその住人たちが主であるため、私みたいな庶民が来ると、瞬時に違和感を察知するのだろう。
それでも、(カジュアルな私の友人の体験をもとに考えると)ブランドグッズは強力な武器にはなりそうだ。…確かにジャージ上下にハイブランドの斜めがけバッグ姿の人は街中でよく見かける。
結論。ドレスコードなし、カジュアル基本、といえど、特に高級店では客の外見で店員の対応に差が出てくることがある。雑な扱いを受けたくなければ、1点でも目に見えるブランド品を持ち歩くと良い、ということだ。…郷に入りては郷に従え、ということだろうか。
なお、高級住宅地(アッパーイーストサイド)は警備がしっかりしているので、他のエリアよりもずっと犯罪が少ない。コロナ後、ニューヨークでは犯罪が激増しているが、この一帯は変わらず平穏だ。豪奢な格好をしていても目を付けてくる犯罪者自体がほぼいないので、心置きなく豪奢をお楽しみいただける。(もちろん、無意識無防備はどこでもダメです!)
最後に但し書きさせて頂く。以上の話はニューヨーク観光全般に当てはまることではない。(ニューヨークに来るにはブランド品が必要、という意味では全くない。)5thアベニューのティファニー本店はどんな人に対してもとってもフレンドリーに接してくれるし、SOHOにある高級ブランドショップはカジュアルな観光客含めいろんな人が出入りしている。そして、そもそも、ニューヨークに来てまでブランドショップに行く必要もない!!!
⇒極度に心配せずに、自分らしさを自由に表現しに来てください☆☆☆
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