リスアニ!LIVE 2021 SATURDAY STAGE

先日、日本武道館で開催されたリスアニ!LIVEに参加してきた。

的場梨沙役を務める集貝はなさんにとっては初めての有観客ライブであり、加えて会場の日本武道館は(今回の出演自体はU149とは直接関係ないものの)梨沙と晴が所属する第三芸能課にとっての聖地でもあった。集貝さんが先日の配信イベント「24magic」で無観客ながら初ステージを踏んでいたこともあって、自分の中でこのリスアニは有観客であることにこそ価値があった。

とはいえ世間の情勢や他の中規模イベントの動きを見れば有観客開催の望みは薄く、2日間の出演者数からして延期も難しそうだったので、中止せず配信で開催してくれれば御の字かとも思っていた。そうした状況の中、動員数を緊急事態宣言に耐える数まで絞り、直前まで状況を見極めてでも有観客を貫いたことは、まさに『英断』だったと讃えたい。

シンデレラガールズの出番はASCA、スピラ・スピカ、halcaに続く4番手。普段ならセットリストを予想したりもするのだけれど、今回ばかりはそんな精神的余裕がまるでなかった。そして無事、1曲目から感情をズタズタにされることになった。

「ガールズ・イン・ザ・フロンティア」は、アイドルマスターの楽曲全体の中でもトップクラスに好きな曲だ。シンセ全開の音もさることながら、この曲の最大の魅力は歌詞にある。「待っていても手には入らない 本当の宝物は」「自分の足で歩け」「夢を人に託すな」...ちょうどシンデレラガール総選挙でボイス実装を争っていた時期の曲ということもあって、自分にとってはこの曲が、梨沙をプロデュースするためのテーマ曲みたいなものだった。だからこそ、梨沙にボイスが実装されたら歌って欲しい全体曲ナンバーワンでもあった。それがまさか、初めての有観客ライブの1曲目で実現するなんて、思いもしなかった。ただでさえ好きな曲が、より特別な曲へと昇華した。

集貝さんはきっとMCでロリコンに呼びかけるだろうし、そこで感情が決壊するだろうと思っていたけれど、1曲目の衝撃と、集貝さんがトチったことで、そのシーンは比較的穏やかな気持ちで見届けることができた。でもその後、集貝さんは(梨沙でなく)自分の言葉として、「(初めて梨沙として有観客のステージに立てるこの日を)楽しみに『生きて』きた」と表現した。大半の観客が冗談めいた大袈裟な表現と捉えたように見えたけれど、自分にとっては冗談でもなんでもなかった。少なくとも梨沙担当Pとしての自分は、間違いなくあの瞬間のために生きてきた。集貝さんの表現には共感しかなかったし、そう表現してくれたことが本当に嬉しかった。

MC明けは「Jet to the Future」。この段階で、ビートシューターがこの後来ることはなんとなく理解した。5thの頃から披露を重ねてきた2人のパフォーマンスには余裕さえ感じられて、担当の出番を控える立場としても、その姿がとても頼もしかった。

そして「輝け!ビートシューター」。...なのだが、実はこの曲の部分だけ記憶が霞んでいる。「気持ちが極端に昂っている時の記憶は残りにくい」といった言説をどこかで目にしたことがあるが、その類なのかもしれない。ただ、その中でも、(特に集貝さんの)緊張が手に取るように伝わってきた24magicでの初披露と比べて、2人のパフォーマンスが格段にレベルアップしていたのは確かだった。一方の自分は極度の緊張と興奮からか、曲が終わった頃にはほとほと疲弊してしまい、半ば放心状態だった。

そんな状態から目の前のライブへと気持ちを引き戻してくれたのが「Gaze and Gaze」だった。東山さんは特別なステージとあって気持ちの入り方もひとしおだっただろうし、花井さんは相変わらず歌がうますぎるし、何より曲が生バンに映えた、力強いステージだった。

続いての「ハーモニクス」は、言われてみれば披露するにこれ以上ないタイミングだったものの、完全に頭になかった。同じユニットでありながら「Jet to the Future」とは歌い方も雰囲気も様変わりして、ロック・ザ・ビートの新しい表情を見た気がした。前の曲と色で繋がる演出もなかなか粋だった(偶然かもしれない)。

この時点で自分は、「声優さんが梨沙としてステージに立つところを見届ける」という積年の夢が叶った達成感、充実感に包まれ、「燃え尽きた」と言ってもいい心境だった。そんな中、最後の全体曲は「EVERMORE」。Serendipity Parade!!!という最高のツアーと共にあった、シンデレラガールズで最も思い入れの深い曲のひとつだが、この日は思い出の中のそれとはまったく異なる形で響いた。

「先へ先へ 夢の先へ 進んでゆくと誓うよ

歌い続けるReason いつも君が そこにいるから」

これまで、ライブの歌詞でこんなにもダイレクトに胸を打たれた経験はなかった。ここはまだゴールじゃない。梨沙にそう諭された気がした。ロリコンで情けないプロデューサーは、梨沙に叱られたり、諭されたりすることなど日常茶飯事だが、この日ばかりは訳が違った。これですんなりと前を向いて「夢の先へ」と歩を進められればよかったが、自分自身のスタミナ切れが「燃え尽き」の一因であることもまた事実だった。これから先梨沙とどう向き合っていくのか、答えが出せずにいる自分に、この歌詞は到底「ただの歌詞」と片付けられないほどに重く、ズシリと響いた。

こうして、念願だった担当アイドルの初めてのリアルステージは幕を閉じた。今の自分には抱えきれない強烈なメッセージを受け取りはしたが、記念すべき瞬間に立ち会えた感動は何物にも代え難く、自分にとって特別な曲がより特別な曲へと昇華する素晴らしい体験もできた。改めて有観客での開催を決断した主催者と、それを遂行したスタッフに感謝したい。そして誰より、日本武道館という強い意味を持ったステージで梨沙として初めて観客の前に立ち、その出番を見事にやり遂げた集貝はなさんに、最大の称賛と感謝を贈りたい。

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