楽しそうな三人の背中を久坂が目を細

楽しそうな三人の背中を久坂が目を細めて見つめる。
 
 
「それ文が聞いたら怒るよ?いや松陰先生の方が怒るかな。玄瑞も案外女好きだよね。」
 
 
その隣で笑顔の三津を見て口元を緩ます吉田。https://www.easycorp.com.hk/en/bank-account
 
 
「何を勘違いしてる?年頃の女子達があぁやって仲睦まじく笑い合ってるのが微笑ましいと言ってるだけだろ。」
 
 
「あんだけ無邪気なの見てると物騒な世が嘘みたいに見えるよね。あー癒やされるねこの光景。」
 
 
眼福だと二人は緩みきった顔で眺めた。
 
 
「いいねぇ君達は暢気で……。」
 
 
そこへげんなりした桂がふらりと現れた。
 
 
「どうかしました?顔色最悪ですよ?」
 
 
体調悪いなら薬作りましょうかと久坂が言うと桂は首を横に振る。
 
 
「昨日の今日で宮部さんからお誘いが来たんだ……。
稔麿本当に何て吹き込んだんだ?どうせ面白おかしく話したんだろ……。」
 
 
「まさか!宮部さんが,最近桂さんが中々酒の席に顔を出さないと嘆いていたから大事な人が家で待ってるんだって言っただけですよ。
だから宮部さんはただ桂さんと呑みたいだけなのでは?」
 
 
俺は一切変な事は言ってないと無実を訴えた。
 
 
「宮部さん三津さんに会いたがってるんですか?また厄介事に巻き込まれましたね三津さん。
まぁでも宮部さん寂しがりなんで桂さんと呑みたい口実ですよ。多分酔って延々松陰先生と旅した話して終わりますよ。」
 
 
「だといいが……。」
 
 
桂はそのままふらふらと三津達の元へ向かった。
 
 
「サヤさんアヤメさん。今日私と三津と乃美さんの夕餉は要らないからね。
三津,また出る前に声をかけるから。」
 
 
「えっ?今日ですか?今日?」同席の話は昨夜聞いたとこなのに心の準備も何もないじゃないかと三津は唖然とした。
 
 
「そう……今日……。よろしく頼むよ。」
 
 
桂も頭が痛いと目頭を押さえながら踵を返した。
 
 
「どこかお出掛け?」
 
 
サヤに聞かれて三津は昨日の事を話さねばと激しく頷いた。
 
 
「私に会いたいと仰ってる方がいるらしくてその方との会合に同席するんです。あと小五郎さんが贔屓にしてはる芸妓さんも会いたいって……。」
 
 
「は!?芸妓!?」
 
 
サヤとアヤメが目を見開き同時に声を上げた。
 
 
「はい,その方には私もちょっとお世話になってて……。」
 
 
と事情を説明しようとしたが二人の耳には届いていなかった。
サヤは三津の両肩を掴んでずいっと顔を寄せた。
 
 
「三津さんこんな事してる場合ちゃいます!支度を!支度をせんと!」
 
 
「えっ!?まだ朝ですよ!?」
 
 
「サヤさんの言う通り!相手は芸妓で着飾ってなんぼかも知れませんが三津さんは愛らしい化粧が似合うはず!三津さんの魅力を存分に引き出して行きましょう!」
 
 
「え!?何の話!?」
 
 
三津はサヤとアヤメに引きずられて屋敷内へ戻って行った。
 
 
「……あれ何か面白い事になる感じ?」
 
 
「面白い事になりそうだね。」
 
 
遠巻きに見ていた二人はニヤニヤと笑いながら三人の後を追った。
 
 
三人は三津の部屋で作戦会議。部屋と言っても急遽割り当ててもらった為に布団ぐらいしかない部屋。
 
 
「どうしましょう買い出しついでに家に戻って化粧道具取ってきましょうか。着物は……私そんな席に着ていけるようなん持ってへん……。」
 
 
アヤメは不覚だと項垂れた。
 
 
「ホンマにお気遣いなく!それなりの格好せなアカンのやったら多分小五郎さんが家から持ってくると思うしその必要ないならこのまんま行きますし!」
 
 
だがサヤとアヤメは駄目だと凄い剣幕で三津に詰め寄る。
 
 
「桂様が三津さんに心底惚れてはるのは分かってます!でもその芸妓に桂様には私がいるって知らしめんと!」
 
 
三津は困ったなと笑って首を横に振った。
 
 
「それは出来ません。
出来ひんって言うか……したくないんです。どっちかと言うと私が横取りした感じなんで……。
相手の方の事を思うとそんなん出来ません……。」
 
 
それをしていい立場じゃないんだ。

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