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震災から9年。本当の意味での復興はこれからだと思う話。

東日本大震災から9年が経った。

9年前のいまは、ずっと住んでいた家が流されるところを見て絶望して、幸いにも無事だった家族と身を寄せ合って明日が来ることへの不安でいっぱいな頃だと思う。

3日後にも生きていられるか不安だったあの時間から9年が経った。

黒い波に飲み込まれた街は元通りにはならなかったものの、以前よりも華やかな街並みになった。以前はGEOかコンビニしかなかったチェーン店も、いまは大手の飲食店が乱立するようになった。

スポーツトレーナーを志していた15歳の僕は、トレーナーになる道の1つだった理学療法士を辞めて、関東で普通の会社員をやっている。

実家が地元より離れたところに今は建っているため、地元である大船渡市には帰る機会がほとんどない。それでも、2年に1回くらいのペースで訪れるたびに感じることがある。

街は震災前よりも華やかになったけど、なんだか物足りない。

何が物足りないのかと考えた。きっと、活気だ。活気が足りないんだ。若者の活気が足りないんだ。

現在の大船渡市、というか自分の身の回りがそうなのだが、進学とともに地元を離れても大船渡に戻ってこない若者が圧倒的に少ない。

地元にいるのは、高校からずっと働いている若者と、特に就職先にこだわりのない若者だけ。

志や能力の高い、地域をブチ上げることのできる人材が圧倒的に足りていない。

大船渡市は、震災の影響でJRだけで向かうことができない。BRTという電車路線をバス用に整備した特殊な路線で向かうか、大きな駅からバスに乗り合わせて向かうしか手段がない。

最寄りの新幹線の駅までは車で2時間かかる。

アクセスを考えると陸の孤島のような存在になってしまう。

そんな街に、どうしたら若者が定着するか。

都市部ではできない圧倒的な付加価値をつけるか、若者が憧れる職業に就くためにわざわざ都市部まで行かなくてもいい環境を作るのが最善じゃないかと考えているのがここ最近。

若者の憧れる職業、これから食える職業と言われているものの1つとして「エンジニア」が有名だ。

エンジニアの仕事、地方に作りたくない?

いま目を付けているのが農業や漁業、林業といった一次産業のIT化だ。

一次産業の従事者がどんどん高齢化していて、担い手が見つからないというニュースはしばしば流れる。
これ、機械化してしまえば話が早いんじゃないかなあ。

大船渡の場合は漁業と農業がメインにはなってくるが、それを機械化してしまって、実際に機械の操作や保守の際にはエンジニア職が必要になってくる。そうすれば、若者は都市部まで出なくとも実家から通いながらエンジニアの仕事に就くことができる。

一次産業にとって、若者にとって、よりよい関係が築けると思うんです。

僕は現在、(株)アウスタという会社に在籍していて、いわゆる転職エージェントとして活動しています。

弊社では最近、上京支援に力を入れています。

地方から労働力を吸い取るための上京支援ではなく、東京で勉強を重ねてから、ゆくゆくは地方をブチ上げるための上京支援です。

地方と東京では、ビジネスの動きや様々な情報量、人との繋がりやすさ、すべてにおいて段違いの差があると思っています。たぶん。

今はまだまだできることは小さいけども、ゆくゆくは地方を盛り上げていきたいし、若者が望んで、憧れて地元に住むことができる環境を作りたい。

震災を通して多くのモノを失ったけど、震災があったことで生まれた出会いもある。

これを否定することはできないし、素敵な出会いもたくさんあったのでむしろ受け入れている。

自分だけじゃなくて身の回りの友達も、地元を盛り上げようと必死に勉強して、仕事をしている。

自分の使命は何なのか、自分にできることは何なのか、しっかり考えていきたい。
そんなことを思った夜でした。


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