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駐在妻インターンってどんな人?【第9期vol.5 かおりさん(インドネシア在住)】

2024年2月、第9期インターンではアメリカ、ノルウェー、インドネシア、ベトナム、オーストラリアから参加の駐在妻が加わりました。9期駐在妻インターンメンバーへのインタビュー第5弾は、2023年4月からインドネシアに駐在帯同中のかおりさんのご紹介です。

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【かおりさん/お仕事プロフィール】
新卒ではベンチャー企業の広告営業職にて新規部門立上げに従事。その後地方公務員に転身。近年は町の政策・広報事業を担当。夫の帯同決定後、勤務先にて配偶者同行休業制度を拡充してもらうことができ、2023年4月よりインドネシア・ジャカルタ在住。2024年4月より仕事のスキルアップを目指し大学院生となる。


はじめに

初めてのインターン顔合わせの場で、次々と質問を投げかけるかおりさんの印象は強く残っています。その第一印象は変わることなく、型にはまらない創造力と、それを実行に落とし込む力で周りのインターンに日々刺激を与えてくれる存在です。
インターンをしながら大学院に通い、"かっこいいお母さん"を諦めない、彼女の前向きでしなやかな生き方にヒントをもらえる方も多いはず。
かおりさんのストーリーをお楽しみください!

キャリアは偶然に

ー帯同前は公務員をされていたということですが、あまり私のイメージする“公務員ぽさ”が無いですね(笑)

ーよく言われます(笑)学生時代を思い返すと、まさか自分が公務員になるとは思ってもみませんでした。当時は漠然と出版業界に興味を持っていましたが、新卒では広告営業の仕事に就くことになりました。しかし、キャリア的な違和感を感じ、短期間で退職を決めました。
その時、偶然母が見つけてくれた公務員の非常勤職員の募集に応募してみたんです。そこでご縁をいただき、その経験のおかげで翌年には隣町で正職員として採用に。当初は戸籍を扱う課で、育休を挟みながら約9年勤めました。

その後、広報担当課に配属され、町の広報紙を一から自分の手で作り上げる業務に携わりました。月刊誌の企画、取材、撮影、デザイン、執筆、校正など、印刷以外の全ての作業を担当していました。
気付いてみればまわりまわって、昔夢見ていた出版の仕事をしている自分がいたのです。

自然が多く、人との繋がりがある町で勤めることに


ー先日のセミナーでも『川下りのように自然と切り開かれていくキャリア』のことが触れられていましたね。キャリアはゴールから逆算していくのが一般的な考えだと思うのですが・・・

ー実は大学で、当時はまだ珍しかった「キャリアデザイン」を専攻していました。真面目な学生ではありませんでしたが(笑)、講義の中で出会った『キャリアの8割は偶然によって作られる』という言葉が妙に心に残っていました。
例えどんなにキャリアを計画的に描いていたとしても、偶然の出会いによって意外な方向に進んでいくのが人生だと。
受験、結婚など人生の転機や、後の駐在帯同の選択、インターンへの参加もこの言葉に導かれた部分が大いにあったように思います。

広報の力を信じて

ー広報の仕事のやりがいはどのようなところにあったのですか?

ー広報、とりわけ自治体の広報紙を作るという仕事において、はっきりとした成果は多くは感じてこれていなかったです。住民の方から直接感想やお声をいただく機会はなかなかないんですよね。しかし、広報で記事として取り上げることによって、誰かが何かの気付きを得て、行動に移すことができ、それが1人じゃなく10人、100人に広がるような力になれたらという想いでこれまでやってきました。

そのために新しい切り口をテーマにしたり、一人でも多くの人の目にとまるデザインを作るのは比較的得意な方だったかもしれません。記事を執筆する時には、世の中にある問題をいかに自分事として捉えてもらえるかどんなに小さな一歩でも踏み出して行動をしてもらえるか、ということを常に念頭においていました。

ー規定の枠に捕らわれないかおりさんの発想力にはいつも驚かされます!

ーなぜこうなったのだろう、もっとこうしたらいいのに、など一度考え出すとアイデアが止まらなくなってしまうんです。
例えば、フォロワーを増やしてきたSNSを、幅広い年齢層の方に親しんでもらいたくて、ハッシュタグ投稿の中から町歩きの写真を集め、トラベルノート風の小冊子としてリモデルしたことがあります。
町内限定配布とすることで、観光客の呼び込に繋がっただけでなく、住んでいる人にとっても町の魅力の再発見ツールとなりました。写真を投稿してくれた方にも、リアルな本になることを喜んでいただき、中高年の方のフォロワー増のきっかけともなりました。

この町に住んでいたら見える風景を一般から募集

また、それまであまり広報紙で大々的に取り上げることの少なかった"性のあり方について考える"というテーマで、LGBTQについての特集をしたこともあります。
取材にはかなり苦戦しましたが、その特集を目にして町に住民票を移してくれたLGBTQ当事者の方もいましたし、このような自由な切り口で発信できる場所で働きたいと思って入庁してくれた後輩もいました。
時に破天荒な私のアイデアを寛容に受け入れてくれた環境には、本当に感謝しています。

ー今のインターン活動に通じるところがたくさんありますね。最も記憶に残っている仕事は何ですか?

ー発達障害への理解を深めるための特集を組み、当事者のAさんのインタビューを掲載した広報紙です。
発達障害のお子さんをもつお母さんがそのインタビュー記事を見て、Aさんに連絡を取り、お子さんの作品がAさんの働くギャラリーに展示されることに繋がった、と聞いた時は嬉しくて思わず涙がでました。小さな町の片隅で起きた出来事ですが、私が全く意図しなかったところで、自分が書いた記事が化学反応を起こしたと知り、広報という仕事の醍醐味を感じました。同時に、小さくても社会を変えていけると実感した瞬間でもありました。

実はAさんはこの広報紙の記事で初めて自分が発達障害であることをオープンにされたんです。センシティブなトピックということもあり、インタビューを受けてくださる当事者の方がなかなかおらず、やっと見つけたAさんからも一度取材を断られていました。しかし「目に見えない障害と闘う人にこの地域でほんの少しでも生きやすさを感じてもらいたい」という私の熱意を理解してくださり、引き受けてくださったんです。

この特集では、半年以上前から当事者や専門家、支援者など30人以上に取材をし、当事者と周囲が抱える問題の深刻さを肌で感じていました。特にAさんとは幾度も話し合いを重ね、文字通りやっとの思いで記事を完成させしました。結果的に全国の自治体が競う広報コンクールで総務大臣賞をいただくことになり、地域住民に限らず、多くの方の目に触れたことはとても心に残っています。

そして次は内閣総理大臣賞を目指そう!と目標も定まり、ちょうど3年後に迎える100周年イベントの主担当を任された矢先に、夫のインドネシア駐在が決まったんです。

ーまさに脂がのってきたタイミングということですね。

ーそうなんです。本当に苦渋の決断でした、しかし「今回もまた偶然に身を任せてみれば、何か新しい道が開けるかもしれない」「子どもには絶対にいい経験になる」と考え自らのキャリアは後回しに。同行休業を取得して夫についていく道を選びました。

転機となった子どもからの一言

ー帯同生活はどうでしたか?

ー帯同して1か月が過ぎ、生活が落ち着いたころ、見事にアイデンティティクライシス(自己喪失)に陥りました。日中の一人の時間。何をすればいいか分からないまま、家族の帰りを独り待つ日々。人生の中で一番気持ちが落ちた時期でした。
追い打ちをかけるかのように子どもから掛けられた一言は鮮烈でした。「仕事しているママのほうがよかったね。」と。子どもは何気なく発した言葉だったと思いますが、これには心を揺さぶられました。
・・・いったい私はここで何をやっているんだろうって。

どんよりとした空がスタンダード。日本の空の青さ、空気の良さに改めて感謝の念を持ちます。

ーかおりさんが今まで真摯に働いてきた姿が目に浮かびますし、働くかおりさんにお子さんが憧れを抱いていたのは自然なことのように思います。

ー広報の仕事は人手が少なかったこともあり、毎月の校了前は早朝に渡る作業をすることもざらでしたが、それでも辛いと感じることはなく、生き生きと働く背中を子どもたちに見せることができていたように思います。
また、メディアへ露出することもあったので、子どもたちは私の働く姿を目にして”かっこいいママ”と誇りに思ってくれていたようでした。

だからこそ「仕事をしているママのほうがよかった」と言われたときは自分の存在意義が無くなったくらいショックでした。しかしその言葉は原動力になったんですこのままではダメだと。
それからは無我夢中で、子どもの学校や、街で出会った在住者に手あたり次第、声をかけてランチに行ったり、語学学校にも行き始めました。

ーすごい行動力ですね。躊躇はなかったですか?

この状況を逆手に取ろうと考えたんです。だって日本にいたら、いきなり声をかけてランチに行くなんて考えられない。お互いが駐在帯同者という特殊な立場だからこそできることだと思いました。もともと人と話すのが好きだったこともありますが、人との会話を通じて、何か活路が見つかるかもしれないとワラにもすがる思いでした。
でも自分が求めていたキャリアの情報や時間の使い方のヒントになる話はなかなか手に入らず、悶々としながら残りの帯同期間に対する焦りが募っていきました。自分のために休業制度を作ってもらったという手前、何かやらなきゃ、持ち帰らなきゃという気持ちが大きかったんです。

そしてインターンに

ー情報を手探りする中で、思いがけずCAREER MARKと出会いました。滞在国での出会いに満足できなかった自分にとって、世界とつながれることがとても魅力的だったんです。さらに「キャリア」を掲げているだけあって、駐在妻の中でも特に成長意欲や上昇志向の高い人が多く集まっており、自分の悩みは間違っていなかったと思えてとても勇気づけられました。
インターン募集を見たときの次の動きは早かったです。インターンがこの次、何に繋がるのかは分からなかったけれど、少しでも刺激のあるところに身を突っ込んでいきたいと、直感的に思ったんです。

ーインターンでかおりさんはCM+戦略チームとして、キャリアプラットフォームの運営やイベントの企画に当たっていますが、実際に活動してみてどうですか? 

ー自分の得意を活かせる場所があるというのは幸せです。今は、CAREER  MARK+の大きな改変が進んでいますが、そのタイミングに立ち会えて良かったです。先輩も同期も今まで様々なフィールドで仕事をしてきた人であって、それぞれの意見や想いを持ちながら議論を重ねて、よりよいサービスを整えていこうと日々奮闘しています。
今までの仕事仲間とは違った視点での意見をいただくことも多々あり、視野が広がり、成長していることを感じます。いまもインターンが始まって4か月目とは思えないほどの濃い日々を過ごさせてもらっています。

ジャカルタにて

もう一つの挑戦

ーインターンスタートと時を同じくしてオンライン大学院にも通い始めたのですよね。講義の様子、楽しさや大変な点、勉強とインターン活動との両立など興味津々です。

ー私は芸術修士(MFA)取得を目指しています。サービスや物をつくるにあたって分野の垣根を超えた思考プロセスを手に入れるための学びが中心なのですが、とにかく自分の大好きな町に戻った時に貢献できるように、一つでも多く吸収したくて。
同級生は20代~60代までと年齢層が幅広く、多様なバックグラウンドを持つ方々であふれています。毎週の課題、レポート提出、グループディスカッションなどハードな日々ですが、社会人大学院なので私以外のほとんどの方がフルタイムの仕事と両立されているため、負けてはいられません。子どもが学校に行っている間は勉強、夜に集中してインターン活動をすることが多いです。

例えば先日は『作りたい世界の表現』をスケッチし、それらに対してディスカッションしたのですが、自分の予想しなかった角度から様々な意見が出てきていて。こうやって、それぞれの分野を超えた視野を持ちながら、解を探していける学びの環境は刺激でいっぱいです。まだ先ですが、2年目は専攻を決めてグループ論文を書くことになるので、これまた楽しみです。

ー学ぶ動機が「自分の好きな町のため」ということに驚きました。

ー私は自分が勤めていた町がとにかく大好きです。人との繋がりが本当に温かい町で、”この町が好きだから住んでいる”、”この町のために行動したい”という想いの住民の方も驚くほどいらっしゃいます。住民の方の町への愛に、私たち行政の仕事が助けられることも多々ありました。だからこそ、もっと町に貢献したいという想いが益々強くなっています。

海外に移住してより一層、町への想いが強くなりました!

政策と聞くとキレイごとが多い印象だと思いますが、今学んでいるデザイン思考を町に持ち帰ることができれば、現場目線、住民目線両面からの政策をデザインすることができると考えています。
現実にきちんとピントを合わせつつも、地域の特性と将来に向けた持続性をマッチングさせて地域に寄与していきたいです。

今思えば、大学院という選択肢にたどり着けたのも、偶然に身を任せて帯同したから。あのまま町での仕事をしていたら、目の前の時間やタスクに追われるばかりで到底たどり着かなかっただろうと思います。

ー町への愛と、パッションが伝わってきます。仕事でも勉強でも壁にぶつかって嫌になるということはないのでしょうか?

ー私は「やらされている」という感覚をあまり持たないのだと思います。広報の仕事でも純粋にひたむきに生きる素敵な人がいることを紹介したかった。一方でルーティンに見える、戸籍の仕事も楽しんでいました。例えば5分の仕事を3分にできないか工夫したり、ゲーム感覚で法律を覚えてみたり。だってどれも自分の大切な人生の時間を使っていることには変わりないから、同じ仕事をするなら少しでも楽しいほうがいい。楽しむ才能はもっているかもしれません。

終りに

ーもし以前のかおりさんと同じように悩んでいる駐在員パートナーの方がいたらどうアドバイスしますか?

ーその行動に意味が有るとか無いとかなんて当時の私には分からなかったけど、でも基本的に足を止めることはしてきませんでした。だって、もし自分が立ち止まったら、キャリアを犠牲にしてでも帯同した自分の決断を否定することになると思ったんです。

時には落ち込みつつも進み続けたら、偶然が偶然を呼んで、今の自分の中の最高地点にたどり着くことができました。いつどこで、どんな化学反応が起きるかなんて誰にもわかりません
。もし悩んでいる方がいたら、とにかく立ち止まらないで、と伝えたいです。やみくもにでも動き続けていれば、必ず何かをつかむことができる。人生って意外と自然に紡がれていくものです!

ー最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

インタビュー・文:
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