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[気象予報士試験対策]最新の変更情報まとめ(令和4年1回目/58回目試験対応)

数年前に独学で気象予報士試験に合格。1回目の受験では、一般知識、専門知識共に不合格。2回目は一般知識のみの合格で、専門知識で不合格。専門知識はあと1問正解していれば合格でした。不正解した問題の中に、最新の変更事項に関する問題があり、最新の変更事項を確認していなかったことを非常に後悔しました。
その後学科免除があったにも関わらず、2年放置して再度受験。3回目では、最新の変更事項にも目を通して無事、一般知識・専門知識試験、実技試験共に合格しました。

気象予報士試験では、最新の変更点が頻繁に出題されます。例えば、最近ですと2018年6月に降水短時間予報の予報時間が6時間先までから15時間先までに延長されましたが、その翌年度の気象予報士試験で降水短時間予報の問題が出題されました。
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[過去出題例(令和元年度・第2回・専門)]
気象庁は、2018年6月、降水短時間予報の予報時間を6時間先までから15時間先までに延長した。この降水短時間予報について述べた次の文(a)〜(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から一つ選べ。
(a)15時間先までの降水短時間予報は、夜間から明け方に大雨となる見込みを暗くなる前の夕方の時点で提供することから、早めの防災対応に繋がることが期待される。
(b)降水短時間予報は、1時間ごとの1時間降水量を、6時間先までは1km四方で、7時間〜15時間先までは5km四方で予報している。
(c)7〜15時間先の降水短時間予報は、メソモデルと局モデルを統計的に処理した結果を組み合わせて作成している。

解答:①
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独学で試験勉強をしている場合、市販の参考書や問題集を使うと思いますが、それが最新の教材でない場合、上記のような直近の変更点の問題で失点する可能性が出てきます。

この記事では、独学で勉強されている方に向けて、気象庁から発表される最新の変更点、並びに気象予報士試験合格のために覚えるべきpointなども併せてご紹介していきます。最新の変更点は全部を紹介するわけではなく、気象予報士試験に出題される可能性がある変更点に限ってご紹介していきます。
気象予報士試験受験予定の方は、是非参考にしてみてください。

2022年6月「線状降水帯予測の開始」

線状降水帯による大雨災害は近年頻発しているため、気象予報士試験(特に実技試験)では最頻出の事項です。この新しい変更事項である線状降水帯予測を確認しながら、それに付随する大雨などの知識をreviewしていきたいと思います。

「線状降水帯予測の開始」概要

頻発する線状降水帯による大雨災害の被害軽減のため、6月1日から産学官連携で世界最高レベルの技術を用いた線状降水帯予測が開始されます。(線状降水帯とは「次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、線状に伸びる長さ50 - 300 km程度、幅20 - 50 km程度の強い降水をともなう雨域」を言います。)
近年、線状降水帯による大雨によって毎年のように甚大な被害が引き起こされています。このような災害を引き起こす線状降水帯の発生について、事前に予測することは困難でしたが、気象庁では線状降水帯予測精度向上を喫緊の課題と位置づけ、産学官連携で世界最高レベルの技術を活用し、船舶GNSSによる洋上の水蒸気観測等の観測の強化や、大学等の研究機関とも連携した予報モデルの開発を前倒しで進めています。
 その第1歩として、気象庁では、早めの避難につなげるため、6月1日から線状降水帯による大雨の可能性を予測し、まずは「九州北部」など大まかな地域を対象に半日前からの情報提供を開始します。
さらに、予測精度を高めるための産学官連携の取組を一層強化します。具体的には、今年の梅雨期には、大学等の複数の研究機関と連携して線状降水帯のメカニズム解明に向けた高密度な集中観測を実施します。また、文部科学省・理化学研究所の全面的な協力を得て、スーパーコンピュータ「富岳」を活用して、開発中の予報モデルのリアルタイムシミュレーション実験を実施します。
 これらの取組を通じて、令和11年度には市町村単位での情報提供を目指すなど、線状降水帯による大雨災害の防止・軽減に向けてさらなる予測精度の向上を図ってまいります。

実施内容
線状降水帯による大雨の可能性を予測し、まずは「九州北部」など大まかな地域を対象に半日前からの情報提供を開始

具体的方法

水蒸気観測の強化

気象庁HP

→マイクロ波放射計や高層気象観測、アメダス、気象レーダー、船舶による観測など、観測機器の整備を強化

集中観測の実施
→産学官連携を活用し、大学や研究機関との連携により集中観測を実施

スーパーコンピュータ「富岳」の活用
→スーパーコンピュータ「富岳」を活用し、開発中の予報モデルのリアルタイムシミュレーション実験を実施

水蒸気観測に関するまとめ

「線状降水帯予測の開始」では、水蒸気観測の強化を掲げているため、今後の気象予報士試験では水蒸気に関する問題が出題される可能性があります。水蒸気観測についてreviewします。

水蒸気観測の方法
・高層気象観測(ラジオゾンテ)
→気象庁のラジオゾンデを用いた高層気象観測では、およそ高度30kmまでの気圧、気温、湿度、風向・風速を測定する。最近ではGPSゾンデと呼ばれる観測機器が使用されており、風向・風速のデータは、GPS信号を利用して得られる。この観測では、地上とゾンデの両方でGPS衛星からの信号を受信して、ゾンデと衛星の相対速度の変化に伴うドップラーシフトを測定して、風に流されるゾンデの動きを求めて風向風速を計算する。

[過去出題例(平成30年度・第1回・専門)]
気象庁が行うラジオゾンデを用いた高層気象観測について述べた次の文(a)〜(c)の太字の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から一つ選べ。
(a)天気予報を主な目的として行うラジオゾンデ観測では、観測機器をゴム気球に吊るして飛揚し、上空の気温、湿度、風向・風速を測定する。
(b)最近ではGPSゾンデと呼ばれる観測機器が使用されており、風向・風速のデータは、GPS信号を利用して得られる。
(c)昼間のラジオゾンデ観測では、日射の影響により温度計センサーが大気の温度よりも高い値を示すことがある。ただし、観測値としては、日射の影響は補正されている。

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