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[気象予報士試験対策]独学文系から難問大気の力学・熱力学を完璧にマスターするための計算問題集

気象予報士試験合格者です。独学文系でした。
私は、大気の力学、大気の熱力学で非常に苦労をしました。どの参考書や問題集を手にしても、計算過程が省略されており、そういった部分で多くの時間を浪費しました。文系の人でも簡単に理解できる問題集があれば、もっと早く合格できたと思っています。

そういった経験から文系の人でも計算問題が多く出題される大気の力学・熱力学を完璧にマスターできる計算問題集を作りました。問題の題材は、過去問を基に作っています(類似問題)。

こだわったのは、計算問題など文系の人が苦手とする部分の解説です。
以下のような形で解説をしています。

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[第33回試験・一般知識・問8 類似問題]
図のように、 北半球中緯度の自由大気中およびその直下の地上付近の大気中で 等圧線が同じ間隔で分布し、 気圧傾度力、 コリオリ力、摩擦力(地上付近のみ) が釣りあっている。 等圧線と風の向きのなす角は、 自由大気中では 0°、 地上付近の大気中では30°とする。 このときの地上付近の大気中の風速の、 自由大気中の風速に対する比の値に最も近いものを、 下記の①~⑤の中から一つ選べ。 ただし、 自由大気中と地上付近の大気中での空気密度は同じで、 摩擦力は風の向きの反対方向を向いているものとし、 sin30 =0.50、 cos30°=0.87とする。 また、 図は力の釣りあいを模式的に示すもので、 矢印の向き、 長さは正確ではない。

① 0.2倍 ② 0.3倍 ③ 0.5倍 ④ 0.9倍 ⑤ 1.3倍

解答:④
解説
この問題のpointは、設問から自由大気中と地上付近で気圧傾度力は同じなので、地上付近の気圧傾度力とコリオリ力の比が、そのまま自由大気と地上付近の風速比になることです。順を追って説明していきます。
自由大気中では、 上の図に示されているように、 気圧傾度力とコリオリ力が釣り合う地衡風平衡になっています。

続いて地上の大気を見ていきます。気圧傾度力は、自由大気中と同じで等圧線と垂直。摩擦力は風が吹く方向と逆向きに、コリオリ力は直角に働きます。そして、摩擦力とコリオリ力の合力は、気圧傾度力と釣り合っているので、気圧傾度力と逆向きに同じ力が働きます。

設問に「自由大気中およびその直下の地上付近」と言っているので、自由大気と地上は緯度が同じです。緯度が同じということは、コリオリ力の2wsinQの部分(コリオリパラメータ)が同じということが分かります。


また設問から自由大気と地上の気圧傾度力が同じなので、自由大気のコリオリ力と地上のコリオリ力と摩擦力の合力が等しくなります。

ということで、地上のコリオリ力と摩擦力の合力(=自由大気のコリオリ力)、と地上のコリオリ力の比率が分かれば、自由大気のコリオリ力と地上のコリオリ力の比率が分かります。
上記で説明した通り、自由大気のコリオリ力と地上のコリオリ力の2wsinQの部分(コリオリパラメータ)が同じなので、それぞれの風速の比率は、それぞれのコリオリ力の比率と同じになります(下図参照)。
あとは三角比の知識で解くことができます。下図の①合成力が斜辺、地上のコリオリ力が底辺に相当しますので、②=cos30°×①
となり、設問でcos30°は0.87と与えられているので、これに一番近い4の0.9倍が正解になります。


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以上のような流れで問題解説をこの問題集では行っています。
受験予定の方は参考にしてみてください。

「大気の力学」の過去問類似問題一問一答集

[問題]
大気に働く力と風について述べた次の文章の太文字⒜~⒞の正誤の組み合わせとして正しいものを、 下記の①~⑤の中から一つ選べ。
地衡風は、 気圧傾度力とコリオリ力が釣り合うように吹く風である。 上空では地衡風が卓越するが、 ⒜地表付近では風向と反対向きに働く摩擦力の影響が無視できず、⒝高気圧側から低気圧側に向かう風成分が加わる。 台風のように遠心力が無視できない場合、台風の周辺ではコリオリ力は遠心力と⒞同じ 向きに働くため、 気圧傾度力が同じならば、 その風速は地衡風を仮定して求められる風速と比べて小さくなる。

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