9月中旬の開発アップデート(切り抜き)
Cardano Vasilアップグレード直前レポート
拡散パイプライン (Diffusion Pipelining)
拡散パイプラインは、ブロックの伝搬時間を改善し、より高いスループットを実現するものです。ブロックが作成されてから数秒以内に少なくとも95%のピア(接続ノード/サーバなど)とブロックを共有できることを目標としています。
拡散パイプラインの本質は、完全に検証される前にブロックを伝搬させることです。つまり、ブロックの拡散(伝搬)に費やしている時間と、他のブロックの検証に必要な時間をオーバーラップさせることで改善を実現します。
Vasilでロールアウトされる機能の一つです。ハードフォーク後、数エポックにわたってこれを監視しチューニングしていく予定です。
Plutus V2
Plutus 《プルータス》コアはCardanoの分散台帳で使われるスクリプト言語です。今回新しいバージョンが導入されます。チューニングされたPlutus 《プルータス》インタープリタや、新しいコストモデルがV1、V2両方に適応されます。これにより時間、メモリ使用率が改善され、トランザクション手数料が安くなります。
* 新しいコストモデルは9月27日から有効になります。(おそらくUTC時間)
CIP-31
コミュニティーのCIP (Cardano Improvement Proposal)であり、これにより、utxosを消費して再作成する必要なく、ブロックチェーンに以前から保存されている情報にアクセスすることができます。これは、同じ入力を何度も使うような状況で、大きな最適化をもたらします。
CIP-32
2つ目の強化点は、インラインデータムです。これにより、ハッシュを使用する代わりに、データムを直接出力にアタッチすることができます。技術的には大したことはありませんが、スクリプトを書いたり、スクリプトを使ったりする人が、渡される値が期待したものであるかどうかを確認するのが非常に簡単になります。開発者やDAppユーザーにとって、使い勝手が向上し、とてもシンプルになりました。
スクリプト: スマートコントラクトを実行するプログラム
CIP-33
3つ目の重要なものは、リファレンススクリプトの導入です。PlutusV1のように実行中のスクリプトをトランザクションに埋め込むのではなく、参照し使用することができます。トランザクションサイズを大幅に削減し、スループットを向上させるとともに、スクリプトの実行コストを削減します。
CIP-42
担保 (collateral) の取り扱いを変更。必要な担保だけを使用し、不要だった分は指定されたアドレスに返金されます。これにより、スクリプトの実行コストをより予測しやすくすることができます。
トランザクションリデマーの変更
これにより、開発者は実行中のスクリプトに渡された特定の入力だけでなく、すべての入力のレディーマを見ることができるようになります。スクリプトの開発がかなり楽になるので、DApp開発者にとっては有益な改善です。
ブロック検証のためのVRF (Verifiable Random Function)
ネットワークを渡るごとに今までは2つの関数を呼び出す必要があったものを、1つにすることでより早いブロック検証が可能となり、パフォーマンスの向上につながります。
セキュリティレベルを保ちながらこれら全てを実装することができました。
取引所の進捗について
ハードフォークへ向けたチェックリストや取引所の進捗具合
https://iohk.zendesk.com/hc/en-us/articles/7981157534105-Third-party-readiness-for-Vasil-upgrade
今後数週間
9月19日: ハードフォークの提案書がメインネットで提出
9月22日: ハードフォーク実施
9月24日プリプロダクション環境で新しいコストモデルが利用可能
9月27日: メインネットで新しいコストモデルが利用可能
(UTC時間=JST-9)
とのことです。カルダノ最大のアップグレードと呼ばれるVasilハードフォークが目前となりました。楽しみに待ちたいと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?