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[SAKURA/ekクロスEVレビュー②]ユーザーニーズに応える、乗り味の違いを体感

位置付け的には、兄弟車とも言える日産•SAKURAと三菱•ekクロスEV。
電動化に伴うユニット面を共用とする事で、カタログスペックに記載されている数値は、ほぼ同一となる。

ならば、ドライブフィールも一緒なのか⁇

実際に運転してみると、そこには両車のキャラクターが示している通り"確かな違い"があると、筆者は感じた。試乗レビューをお届けする。 

※レビュー①:内外装チェックは以下リンクを参照

◾️上質さ香るSAKURA

日産の軽EV•SAKURAは内外装が表している通り、その乗り味も上質さが感じられる仕上がりとなっている印象だ。

日産•SAKURA(試乗車はエントリーグレードのX)

エンジンが存在しない、EVならではの静かな走り出しはもちろん。加速時も車体やハンドルにムダな振動•騒音が伝わってこない。
どこを取っても、スムーズさ溢れるフィーリング。

注目すべき走行性能も、軽自動車を超越している。まさに「乗ってビックリ」の言葉、その通り。

一度アクセルを開けて加速に入ると、モーター駆動の特性も相まって、リッターエンジン搭載のコンパクトカーよりも素早いと思える加速をしてくれる。

最大トルク195N•mと、軽自動車としては驚異的なスペックのモーターが搭載されているので。その力強い加速には「ホントに軽だよね?」と連呼してしまった。

この加速の最大のメリットは、今までの軽自動車が苦手としていた"急加速"を要するシチュエーション(高速の合流など)を克服した事だろう。

また、他のe-power搭載車同様に、このSAKURAにも3種のドライブモードが用意されている。
加減速がゆるやかなECO、標準のSTANDARD、加速を重視したPOWERとなるのだが。

前述した驚きの加速は、STANDARDモードでも十分実感出来る。

ちなみにPOWERモードを選択すると「グンッ」と加速の鋭さが増すのだが。普段使いの領域ではSTANDARDもしくはECOでも十分。

ドライブモードの切り替えも含め
スイッチ類はハンドル右下部に集約されている。
スペースの制約はしょうがないとは言え、操作性は難あり。

そして、足回りの仕上がりも好感触。
基本的にフラットな乗り心地が続くことに加え、段差を通過する際にもショックをしっかり吸収してくれる。
さらに、スピードがのった状態でのコーナーリングでも足が粘ってくれるので、不安なく曲がっていける。

加速もハンドリングも、良い意味で軽自動車らしからぬ完成度の高さだった。今までの軽自動車の常識を、ひっくり返してしまう存在と言っても良い。

しかし、ここまで完成されている1台ながらも、乗っていて気になった点も確かにある。

それは、軽自動車として初搭載となったワンペダルドライブ機能(e-pedal)だった。

アクセルのON/OFFだけで加減速をコントロールできるワンペダルドライブは、慣れてしまえばとても便利な機能だと筆者は思っている。

それはSAKURAにも当然当てはまるのだが、他車種に比べて操作性が気になってしまった。

なぜかと言うと、小さく軽い車体サイズに対して、強力な減速Gが発生する回生ブレーキが搭載されている構造である為。走行中にいきなりアクセルOFF(全閉)にした時、他車種に比べてノーズダイブが強く発生する挙動を起こす。

その為、減速度をペダルの踏み代でうまく調整しながら運転する必要がある。

とはいえ、ペダル操作に慣れてしまえば、他車種同様に便利に使用する事ができるだろう。

■軽快でアクティブ感のあるekクロスEV

日産・SAKURAと同一のパワートレーンを搭載して発売開始となった三菱・ekクロスEVにも試乗してきた。

三菱•ekクロスEV(試乗車は上位グレードのP)

日産SAKURAが新開発車だったのに対して、三菱側はekクロスをEVにコンバートする方式を取った形となった。

その結果、同一のモーター・バッテリーを搭載するとはいえ、乗り心地にも違いがあるのが実際に乗ってみて面白いと思った。

その違いとは、SAKURAが上質感を持っていたいたのに対して、ekクロスは全体的に軽快さが感じられる乗り味となっていた事だ。

まず走り出しの時点から「あ、ハンドル軽いっ!」と、操作感の違いに気づいた。

走り出した後でも、足回りのしなやかさと相まって、軽快でアクティブ感ある乗り味を体感出来る。

加速に関しても、モーター駆動のスムーズさ&瞬発性の高さは共通ではあるものの、SAKURAに比べてマイルドな加速フィールになっている気がした。

EVとなった事によるメリットを活かしながらも、今までのエンジン車にも近いフィーリングを持ち合わせているからか、どこか扱いやすさがあった。

セレクトレバー周辺のスイッチの配置が
日産•SAKURAとは異なっている。

セッティングなど、実際の細かいメカニズム的な違いは筆者には分からないが。

この乗り味の違いは、EVコンバートにも関係しているものと思われる。

既存車種の派生として発売する事で、EVを今までの車とは別物と捉えるのではなく、あくまで選択肢の1つとして提供する事で、より身近な存在とユーザーが感じられる様になる。

だからこそ、エンジン車に近いフィール=扱いやすさも感じられたのだろうと思う。

■軽EVという存在

正直、乗る前は軽EVという存在に、疑問を感じていた。

個体差はあれど、エンジン車であっても軽自動車のメリットと言えば、取り回しの良いコンパクトなボディサイズとランニングコストだと筆者は思っている。

むしろ電動技術は、車体の思い普通車やミニバン系ほど恩恵が良いとも思っている。

しかし、実際に乗ってみる事で、軽の電動化は”あり”だなと考えさせられた。

理由としては、2点ある。

1つは、既に試乗レビューでも触れてるが、今までの軽の苦手分野を克服している事だ。

急加速を必要とするシチュエーションでの出遅れがなくなったり、車体の軽さゆえに感じる振動やふら付きも少なくなっているなど。エンジンレス&モーター駆動による恩恵は大きかった。

そしてもう一つの理由は、EVの間口を広げてくれる事だ。

一般的に軽自動車を選ぶ人は、前述の理由も踏まえたの上で、これから車に乗り始めるビギナーの方や、とりあえずの移動手段としての車を求める人などが多いと思う。
(ランニングコスト重視などの理由も勿論ある。)

そんな中で、ガソリン価格の高騰&カーボンニュートラルに向けた取り組むが進み始めた昨今の状況を踏まえた上で、数はまだ少ないにしろ、EVも選択肢としての存在感を強めている。

しかし、車種が限定的且つ車体価格が高く設定されていたり、充電環境の整備状況など、なかなか手が出しづらい分野でもあるのも否めない。

そんな中で、取り回しの良いコンパクトな車体サイズに、まだ求めやすい価格設定で販売されたこの2台は、EVという存在をグッと近づけさせてくれる存在だと言えよう。

しかし、だ。コンパクトな車体ゆえに、搭載できるバッテリーの容量上の都合で、走行可能距離=180kmというのは、かなり使用用途を選ぶのも確かだ。

特に、筆者の住む栃木県もそうであるよう。いわゆる車社会の中では、週1での充電は必要とも言える。(少なくとも筆者場合は、マスト)となるだろう。

ここは、変わらずの今後の課題としても。

その性能でも十分というユーザーにとっては、ファーストEVとして選択するのも強くオススメできる仕上がりだった。



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