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国がキャッシュレス化を進める理由 お財布にいくら入ってますか?




 [はじめに]・・・                 お金自体が無駄なコスト政府主導で『現金を使わずに買い物ができる』ことを強力に推進しています。「現金が一番信用できるのに?」と不思議に思われるかもしれません。実は現金を管理すること自体にお金がかかるからです。なんと年間に1.6兆円のコストがかかっていることはご存知でしょうか?お金を製造・運搬・保管・使用することひとつひとつにもお金がかかっています。これは、最近話題になった子ども10万円給付金国家予算1.2兆円を大きく上回っているのです。
我が国のキャッシュレス化の進み具合を知り、『これはちょっとまずい』と感じていただき少しずつでも、現金なし=キャッシュレスの良さを実感していただきたく様々な目線でご紹介させていただきます。

[キャッシュレス化の現状]・・・
政府が躍起の割に日本はかなり遅れています2019年の我が国のキャッシュレス決済比率は約26.8%と主要各国と比べ約半分の水準です。お隣の韓国でいえば94.7%がキャッシュレス決済されています。昨年行われた東京オリンピックパラリンピックへ向けて、海外の平均の40%まで持っていきたかったのですが、コロナ禍で計画通りというわけではなさそうです。  ちなみに私は、クレジットカードと交通系電子マネーPiTaPa、PayPayを併用しております。典型的なパターンであると思います。
話は少し変わりますが、今から30年前、銀行の外回りをしていました。その当時もクレジットカード獲得のノルマがあり、年会費収益と決済口座に預金をいただく事が業務方針でした。もちろんその頃はキャッシュレスという言葉もありませんが今もまだクレジットカードは日本人の生活に定着しています。クレジットカードを勧誘した際にお客様から言われた実際の言葉が印象に残っています。
私「クレジットカードのキャンペーンやってます。一枚いかがですか?」         顧客①「カードは使わない主義なんでー」
顧客②「落としたり、盗まれたらどうする?怖いんですけど」
顧客③「勝手に作ると明細とか見られて家内に叱られるわ」
やはり、日本には
①現金主義
②紛失盗難リスク
③個人情報漏えいリスク
が根本にあり、今現在でも根強く残っているのです。日本人は、政府の目標とは関係なく財布の中の現金がなければどうしようもなく不安なのかもしれません。

[それでもキャッシュレス化の波は押し寄せてくる]
しかしこのような日本人の心とは裏腹に、金融機関の窓口はどんどん現金を持たなくなってきているようです。ほぼすべての取引はATMで完結し、税金の納付まで出来るように進化してきています。冒頭に申し上げた2019年のキャッシュレス比率が26.8%という数値は実は2008年の11.9%と比べて2.25倍にもなっていることも注目すべきではないでしょうか? この波にのってさらにキャッシュレス化が進んでいくことが予想されます。

[キャッシュレス決済の種類]
主に以下の4種類に分類されます
①クレジットカード
いわゆる、VISAカード・JCBカード・アメリカンエキスプレスカードなどの『後払い式』カードで、購入時に口座にお金がなくても物が買えます。
②デビットカード・プリペイドカード
デビットカードはキャッシュカードに標準装備されていますので申し込みなく使用できます。プリペイドカードはQUOカードが代表的なものでお金が入金記録されているカードを買うというものです。ただし、『口座即時払い式』や『前払い式』なので事前にお金を準備しておかなければいけません。
③電子マネー
楽天Edy・Suica・WAONなど、予めそれらの商品の口座に現金をチャージ(入金)しておいて使用するシステムです。
④キャッシュレス決済アプリ
PayPay・楽天Pay・LINEPayなどスマートフォンにインストールして使用するアプリケーションです。スマートフォンがなければ使えません。これは、預金口座、クレジットカードともに決済手段として設定できるので『前払い』と『後払い』の選択が可能な手段と言えます。
他の手段が横ばいであったにもかかわず、このスマホ決済アプリは2019年7月に19%であった利用率がコロナ禍の影響もあり2020年7月の1年間で43%に大幅に増加しています。5人に2人以上が利用しているスマホ決済アプリを見逃すことはできません。

[キャッシュレス決済を使用することへの本音]
金融機関出身者の目線から見ても、キャッシュレス決済を使うことへの不安はほぼ解消されています。ここでは安心して使用できる理由についてお伝えしたいと思います。
・『2段階認証』の普及により第3者はパスワード変更をできません。2019年7月に起こったセブンペイアプリの5,500万円の被害はまだ記憶に新しいでしょう。あの事件は、『他人が自分になりすましてパスワードを勝手に変更した』ことが原因で起こりました。
「パスワードを忘れた方はこちらから」をタップすると再設定画面に移ります。他人の携帯電話にパスワード再設定用のサイトが載ったメールを送信させ、パスワード変更が可能になったのです。
あとは自由に買い物ができてしまうということです。そこで、これを防止するために「2段階認証」とういうシステムが開発されました。パスワードを忘れて再設定する時、電子メールではなく、携帯電話の番号あてにショートメールが送信され、それに記載されている4~6桁の認証番号を入力するというものです。携帯電話を持っている本人にしかその認証番号がわからないので、セブンペイで起こったようななりすましが出来なくなりました。すなわち、携帯電話が手元にある限り、自分だけがパスワードを変更できるのです。
・携帯電話が盗難・紛失にあっても第3者は使えませんiPhone・Androidともに生体認証を設定できます。4桁の数字だけのロック解除パスワードであれば、
1万回のパスワードを入れればいつかは突破できますが、「指」「顔」の確固たるIDが必要な場合、第3者の使用は不可能です。またiPhone・Androidともに「探す」アプリも装備されており万一盗難・紛失にあっても携帯電話を使用不能にすることができることも知っておきましょう。当然、携帯ショップに盗難・紛失の連絡をすることで使用をストップ
こともできますので、スマホは落とさず、読んで字のごとく「携帯」し続けることで被害から免れることを忘れずにいたいものです。
・災害時は現金より安全です火事・地震・台風・大雨・津波などの災害時には、自宅が倒壊したり流されてしまい、現金も一緒に無くなってしまいます。無くなった現金は名前も書いていないのでほぼ返ってきません。自宅が一部半壊であっても現金が盗難にあうことも考えられます。平時の時の現金は持つ人にとって安心感を与えてくれますが、いざ災害時には何の役目も果たしてくれないのです。1995年1月に発生した阪神淡路大震災のことを振り返ると、当時、携帯電話は普及しておらず現金主義が根強く残っていました。現金と言えば、銀行が頼みの綱であったのですが停電でATMが全く動かず家を失った人々は現金も引き出せず、路頭に迷ったのです。その後、携帯電話が急速に普及し、2011年の東日本大震災の後にも災害時の携帯電話インフラ整備が図られ、2018年9月に発生した北海道胆振東部地震では都心では正常に使え、発生後なんと5日で携帯電話回線が全面復旧したことが知られています。このように、携帯電話は災害時にも強くなっており、同様にスマホ決済アプリも現金より安全かつ便利になってきているのです。

[まとめ]
政府は、キャッシュレス決済を強力に推進しています。それは現金管理コストの削減を主に目的としていますが、世界と比べて進んでいません。コロナ禍に入り、非接触型であるキャッシュレス決済が急激に増加傾向にありますが、まだまだ認知されていないところもあります。ともすればデメリットに注目されがちですが様々な対策も取れているので安心して利用していく時代に入ったといえます。

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