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「仏教界の東大」

1. はじめに

 みなさまこんにちは。あと数時間で卒業に伴い学籍が失効するたいちょーです。やだ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!
 さて、いきなりの質問で恐縮なんですが、みなさんは「仏教界の東大」というワードを聞いたことはありますか?これは龍谷大学の二つ名(?)です。Twitterとかでよく見かけますね。

 大学名を聞いただけでが椅子から転げ落ちるほどということは、龍谷大学はとんでもなく名門の難関大学なんでしょうね……。
 ちなみに、(少数ながら)駒澤大学を仏教界の東大とする派閥もあるようです。

 まあどちらが仏教界の東大に相応しいかとかいう不毛な話はさておき、今回は龍谷大学は「仏教界の東大」なのかについて述べたいと思います。


2. 東大でも仏教学は学べるよ

 ガチ東大(東京大学)の文学部には思想文化学科インド哲学仏教学専修課程(印哲)が設置されています。「進振り」の時期になるとネタにされる(らしい)あの専修です。東京大学の場合はここで仏教学を専攻することが可能です。

 つまり、仏教界の東大は東京大学なのです!


3. 「仏教界の東大」たる所以

 仏教界の東大は東京大学でありながら、龍谷大学が「仏教界の東大」と評されるのは、やはり仏教教学において重要な分野に強いからではないでしょうか。龍谷大学は伝統的に「倶舎」・「唯識」・「華厳」・「天台」・「西域」の5分野を継承しています。
 特に、「倶舎」や「唯識」は仏教全体の教学に関わる分野であり、「天台」は日本の仏教学に大きな影響を与えた分野なので、仏教界への学術的還元の影響が大きいことからそう呼ばれているのかな、と思います。


4. 東大は龍大に劣るのか

 龍谷大学は仏教学研究では東大に優っているかもしれませんが、龍大には仏教学の分野で東大に絶対に追いつけない分野があります。
 それは研究インフラです。東京大学の先哲たちは、仏教学研究をしやすくするために、仏教学研究の門戸を広げるために、偉大な業績を数多く残してくれました。
 例えば、仏教学研究者であれば誰でもお世話になったことのあるであろう『大正新脩大藏經』は、東京大学の高楠順次郎先生(龍大出身)が中心となって編纂をしたものです。また、それのデータベースである『大正新脩大藏經テキストデータベース(SAT)』も、東京大学の江島恵教先生が作り始めたものです。
 さらに、サンスクリットやパーリ語の文法書・辞書を著した荻原雲来先生・辻直四郎先生・水野弘元先生、仏教学の入門書にふさわしい著書を多数著した中村元先生などが、研究インフラの構築に貢献してくれています。
 仏教学の研究インフラは東京大学の先達によって築き上げられたと言っても過言ではありません。また、東大の貢献によって、大学・機関を問わず、数多くの仏教学者・仏教学研究者が助けられています。
 龍谷大学は、製作・運用の補佐に携わったり、それらを活用したりするのは他の大学などよりも上手なのかもしれませんが、研究インフラ構築での貢献度では、東大には勝てないと思います。


5. おわりに -脱・「仏教界の東大」-

 東大は東大で、龍大は龍大で、それぞれ仏教学で功績をあげています。「仏教界の東大」がどこであるのかという議論がいかに不毛な議論であるかがわかったのではないでしょうか。
 龍谷大学は、現在は「仏教界の東大」ですが、いつか「仏教学といえば龍大やんな」と全国で言ってもらえるくらいには有名になってほしいと思います。まあ龍大は(浄土真宗本願寺派の大学であるからか)禅や題目、真言に関しては強いわけではないので、仏教界の最高学府への道のりは長いと思いますが……。

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