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酒呑童子の最期

今回の記事は現在革細工で制作している歌川国芳の『源頼光』についての題材観や制作するにあたって考えていることを書いていこうと思う。

革細工の取り組みについては下の記事を参照して欲しい。

この浮世絵の題材名は『源頼光』だが、目がいくところはなんと言っても『酒呑童子』である。

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(出典:プーシキン美術館)


「酒呑童子」の説話は地方によって解釈が異なり、様々な逸話が残っている。

この歌川国芳作の『源頼光』は酒呑童子の最期を描いたものである。源頼光が酒で弱体化させた酒呑童子の首を刀で斬り、その斬った首が頼光の兜に襲いかかっている場面である。しかし、酒呑童子の最後の抵抗も虚しく終わる。頼光は八幡、住吉、熊野の三神から授かった神の力を宿した兜、『星甲』のおかげで噛みつかれても無傷なのだ。


一見、悪い鬼を討伐した勇しい姿を描いている作品であるが、この『酒呑童子』もまた地域によって差はあるが、もともとは”人”であった。多くは「教養のある美少年であった」と言う説話が残っている。


そこで、この題材を作品にするにあたって、

好き好んで鬼になったわけでもない上、首を斬られてもなお、生への執着を見せる『酒呑童子』にスポットを当てた作品を作りたいと思った。



基本的に革の形を切ることなく、売られていた形をそのまま使用している。もちろん牛の喧嘩傷も残しておく。今回は酒呑童子のおでこ部分に喧嘩傷が残っている。


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一番広くスペースが取れる場所に酒呑童子の顔が配置されるような構図にした。頂点にツノを配置することで、鬼の象徴であるツノを強調した。

現段階は革にスーベルナイフで彫り終えたところ。

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今後もTwitterの方で制作過程の方を報告していきます!


それでは次の紀行で!

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