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憎しみは憎しみしか生まない

『PLUTO(プルートゥ)』
原作:浦沢直樹×手塚治虫 長崎尚志プロデュース 監修/手塚眞
演出・振付:シディ・ラルビ・シェルカウイ
キャスト:森山未來、土屋太鳳、大東駿介、吉見一豊、吹越満、柄本明、ほか
シアターコクーン・2階D列2にて

始まってしばらくして「あ、これ浦沢直樹やった…(つまり、ちゃんと見ておかないとわけわからんまま置いてかれてしまうパティーン)」と思い出した。そのぐらい冒頭からキャストやダンサーの表現のすごさと、プロジェクションマッピングの演出と、くるくる変わる舞台転換に心が奪われてしまった( ゚Д゚)

ピッタリな表現が思い浮かばないんやけど、誤解を恐れず滝沢カレン風に言うと『全員変人』。AI、人工頭脳、ロボット、憎悪の連鎖など、SFとはおもえないリアルの物語に見えてくる。原作の浦沢直樹氏は15年も前にこれを書いていたってところも超変人やし、さらにいうと手塚治氏はとうの昔にこうなる未来が見えていたのは完全変人やわ。観た人&演劇やってた人にしか伝わらないかもしれないけど、この芝居、おびただしい量の「きっかけ」があるんです。それもパペットや舞台装置もうごかしながら!全部頭のなかに入って、寸分狂わず演じれるキャスト全員は変人やし。目まぐるしい舞台転換と演出効果を考えるベルギー人のシディの脳はどないなっとるのかわからない変人。同じ人間とは思えない自由自在なからだの動きをするダンサーも完全変人やし。吹越さんと柄本さんは無表情なのにものすごい強い感情を伝えてくる完全おかしい変人おじさんでした。

ストーリーのなかで印象に残ってるのは「憎しみは憎しみしか生まない」という言葉。その連鎖の不毛さを頭ではわかっているけど止めることができない人間たちをロボット(アトム)が自らの使命として命を張ってとめるという。お茶の水博士に愛情深く育てられ悲しみを察知できる能力をもったウランにも、はっとさせられた。

で、やっぱり買っちゃうよね。

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