見出し画像

親と東京

両親が東京に遊びに来た。私が2015年に突発的に上京して早9年経つが、一度も東京に来たことがなかった親が、藤井風のライブがあるというただ一点の理由で東京に来た。

前提として、うちの母親は藤井風を真剣に好きであり、X(旧Twitter)のオタクアカウントさえあるらしい。
藤井風は我が家でなんだか色々あった際に忽然と現れたスターのような存在なので、だいぶ神格化されており、元々私の部屋だった実家の一室にあるピアノの上は祭壇等しく藤井風のポスターやグッズが並べられている。故にいつも仏間で寝ている気持ちになる。

これは2022年時点であり、今はもっとすごい。

そんな母は、藤井風のライブがあると決まった瞬間に飛行機とホテルの予約を決めていたが、結局はライブのチケットは当たらなかったようで、土日の二日間どちらも観光することになった。
正直、地元(離島)から東京への移動に加えて、この夏の季節にスタジアムライブに行くとなると本人のやる気がどれだけあろうが、かなり体力を消耗したと思うので、スタジアムライブ行けなくて良かったんじゃないかと思ったりもする、母は行けなかったことをたいそう残念がっていたので野暮なご意見かとは思いますが。

私はと言うと、二日間を「エスコートしてねェ^_^」と言われながらも正直ちょっと面倒だなと思ってしまい、加えてライブのチケットがとれるかとれないかがギリギリまでわからなかったこともありなんだか計画もしっかり組めず、というか組みもせず、とりあえず1日目は横浜、2日目ははとバスに任せようという大船に乗った気持ちで(このような時に使う言葉ではない)当日を迎えた。

1日目は1時半頃に横浜のホテルで合流して、そこから中華街へ…。
中華街で彷徨うことだけは避けたく、とりあえず3つくらい候補は握りしめていて、その中から入ったレストランが結構良かった!店内も広くてご飯も美味しくて良中華。ただ土曜日だったからか料理が出てくるのがかなり遅く、それもあってなんか2時間くらいここで時間を費やすことになった。

そのあとは中華街を少し散歩して、あらゆる門という門の前で二人の写真を撮ってあげた。
当方最近iPhoneをXRから15に更新したんですが、0.5倍で下から撮るとめちゃくちゃ足が伸び、親がスタイル良く写真映るの面白過ぎてほぼ全てをこの画角で撮ってしまった。

おもろ


散歩していると中国式のお寺に出会ったので、ついでにお参りした。中国の寺って嘘みたいにカラフルで「豪華絢爛!」という四字熟語が本当にピッタリ。

お参りするだけでもらえるラッキーカード型のお守りはスマホケースに挟みました。

雑picture

その後はいつだかに私が帰省のお土産で買って帰ったリスのくるみクッキーが欲しい…というリクエストに応えて横浜高島屋に戻り、夏限定パッケージ全6種をゲット。
さらに横浜JOINUS新星堂に藤井風のサインがあるとのことで向かい、サインと母のツーショを無事撮影。
17時半からYouTubeでライブの生配信があるとのことでホテルに戻り、わたしも一緒にしばしダラダラして一旦解散。

この日は全ての目的地へ迷わず行けた奇跡にホッとした。帰宅後ヘロヘロだったけどくみか(友人・佐賀出身)がこの日高円寺で阿波踊りに出演しており、ねぎらいの駆けつけ乾杯をしにお店に向かい、満足して1日を終えた。お疲れ様でした。

2日目ははとバスを予約しており、9時40分集合。バスに乗り込んでみると参加者は私たち家族のみで、図らずして貸し切り。

まずは築地に行って1時間自由行動。場外市場を回って、寿司ざんまいでマグロ4貫を3人で分ける。
父は「築地のマグロはやっぱ美味いねぇ〜」とニッコニコだったが、母は「シャリがぬっかったね〜(温かかった)」と癪な顔をしていた。

バスガイドさんからは「1時間じゃ回り切らないですよ〜^_^」と言われていたが、全員が情緒なくスタスタスタスタ歩き、かなり時間が余ったので築地本願寺、建物がモダンでカッコいいから行こうよ〜と提案して本願寺へ…。

陽気

お寺の中に入ると、ボランティアっぽいおじいさんが本願寺についてペラペラ〜と喋り始め、ターゲットにされた父が多分面倒で(+いつもあまり人の話聴いてない)、ポケーっとしていたらおじいさんに「日本語分かりますか?」と言われており、父のスルー具合も、おじいさんのリテラシーのない質問もどっちもどっちだろとなって厳粛な雰囲気の中ケラケラ笑ってしまった。

築地のあとは浅草でむぎとろを食べる。これはツアーに入ってた。


むぎとろ本店の横にあるお堂について、バスガイドの方が「ここは川から引き上げられた仏像を最初に祀ったお堂で〜」と3回くらい紹介してくれたが、その仏像が何の仏像なのかとか、最初に祀ったってことは今は祀られてないのかとか、説明にかなり疑問があって意味わかんないなと一人で思っていた。嫌な客。

その後浅草寺近くに下ろされて2時間くらい自由行動。寄席もコースに組み込まれてたので一旦寄席を見る。
落語家さんって、やっぱ喋りで食ってるだけあるよな〜!おもれ〜!!と思いながらも、左の母が寝、右の父が寝、二人が寝るなら私も一旦寝よっと思って寝て、普通に休憩時間となった。約1時間。
でも寄席に行くの趣味にしよっかなと思った、単純脳なので。

そのあと仲見世通りを歩いて、メッチャカワイイキーホルダーをゲット。
雷門で写真を撮り、浅草寺まで戻っておみくじを引く。わたしは当たり前に凶を引いたが、母は吉、父は大吉を引いており、わかる〜〜となりながらひとり粛々と凶のおみくじを結ぶ。
ここも情緒なくスタスタ歩いたため集合時間より30分くらい巻いてバスに戻る。でもバスは私たちの貸切なのでオーケー。

その後スカイツリーへ向かい、展望台に登る。はとバスで来ているので3人であれど「団体」という枠になり、「団体」のエレベーターに乗り、「団体」の入り口から展望台に入ったが、入り口で係員のお姉さんに「後続の方いますか?」と聞かれ、「3人しかいません^_^」と返答すると「さ、さんにん!?」と普通に返されながら「団体」の顔して展望台に登った。
私はというと、スカイツリーの入り口でピカチュウのお面が配られていたのでもちろんピカチュウのお面を貰ってそれをつけたまま闊歩していたんだけど、30代の日本人の女性がまさかピカチュウのお面をこんなにも堂々とつけているとは思われずに方々で「excuse me…」や「please…」と声をかけられた。
わたしがこのような人間(お面を嬉々としてつける)であることは、両親二人とも既知の事実なので全く疑問にも思っておらず、その二人の整然とした態度がそうさせたとも言えます。

展望台では「写真撮れます!無料でカードサイズにプリントします!」というコーナーがあり、ここでも情緒なくスタスタ一周しそうだったので、ここで時間を作ろうと思って二人を誘って写真を撮ってもらう。かなりいい写真が撮れる。
ただ、「カードサイズ」が思ってたサイズじゃなくて嘘松じゃん!!!!!!となりつつもせっかく写真撮ってもらったので1500円をだして通常サイズにプリントアウトしてもらう。
これマジで公正取引委員会に差し出したいくらい詐欺。

ちっちゃ!!!公正取引委員会じゃないよね多分、ジャロに聞いたらいいんけ?


スカイツリーのあとは東京駅までバスで帰ったけど、ツアーの中に「銀座歌舞伎座(バスで通るだけ)」というやつが一応組み込まれていたのに、バスガイドの人がはとバスのリラックマコラボについて熱く語っているうちに歌舞伎座を通り過ぎてしまった。クレームします、クレーム!!!!!!

東京駅についてからは、写真をまたパシャパシャ撮ってあげて、駅構内でご飯を食べた。
わたしは実は土曜日から本当に胃が痛く、何にも食べれなくて、本当は心配をかけたくなかったのでギリギリまで胃が痛い話はしなかったけど、アヒージョやポテトフライをじゃんじゃん頼み始めたので白状してしまった。
島だとこんな洒落た料理はあまり食べれないので、あと外食というと海鮮ばかりなので、肉を選んでしまうと言っていた、贅沢な話。

二人のアテンドを面倒くさいと思ってしまっていたのは、こんな暑さで外を歩かせてしまうと本当に体力の限界が来てしまうのではないか、とか、それ故にあまり理想的スケジュールを決めてしまって連れ回すのはこちらのエゴなんじゃないか、とか、そういう余計なことをごちゃごちゃごちゃごちゃ考えると嫌になってたのが理由であって、もう思考を停止させてしまっていた。

だけど初めての東京(厳密には違うけど、観光・観光は多分あんまりないと思う)なのだから有名どころに一緒に行けばそれだけで楽しんでくれるんだし、レストランとかも予約しておけばそれはそれで楽しんでくれたんだろうし、もう少しくらい積極性を持ってアテンドしてあげれば良かった。次いつ来るかもわかんないのに。わたしがしてあげられることなんて少なくて、これくらいやってあげたら良かったのに。

と、2日間が楽しかったからこそ悔やまれる気持ちが大きく、もう32歳なのに情けなく、病んだ。笑
さらに帰り際に二日間時間を作ってくれたからとお小遣いまで貰ってしまい、私はこれが本当に情けなく、涙が出るかと思った。笑

いつになったらこの甘えた心を立て直せるんだよとも思うが、いまだにモラトリアムの水槽でプカプカ浮いてしまっている。

good picture、グッピク


そして私は藤井風というワードからこのnoteが母に見つからないよう、切に願う。切に…。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?