キミカゲ 北を駆ける
それはそれは深い雪だった。
誰かが不用意に足を踏み入れてしまったら、自力では抜け出せないような。それほどに深く、雪が積もっていた。
その中を、一つの影が駆けていた。
その影は小さかった。それから、四つの脚にかんじきを履いていた。
猫である。名をキミカゲという。
かんじきは地面に対して水平でなければならない。であるから、その歩幅はとても狭かった。
キミカゲが狭い歩幅で、一直線に駆けていくその先に、基地があった。
帝国華撃団、北海道花組。その本拠地である。
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