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The Shipperを観終えて


ふと苦手だった数学の「組み合わせ」を久しぶりに思い出す。


「りんご、ぶどう、みかん、ももの入った袋があります。
ここから果物を3つ選ぶ場合、その組み合わせは何通りあるでしょうか?」


教科書の基礎練習問題 設問1のような例題。
こんなの将来役に立つ時が来るかよと思いながら適当に授業を聞いていたが、ここに来てようやく少し役に立っているだろうか。


The Shipperに当てはめると、

「Pan、Soda、Kim、Way、Khetの5人のうち船に乗る2人を選ぶ時、
組み合わせはいくつできるでしょうか?」


答えは10通り。左右を考える場合は20通りになる。
主要の5人を選んだから他のキャラも含めるとこの組み合わせはどんどん増える。

この数字を出す為にわざわざ「組み合わせ」の公式を調べ計算してみるなんてくだらないことを仕事中にしてしまったのは、5月から毎週金曜日楽しみに観ていたドラマ『The Shipper』が最終回を迎えてしまい、1週間経ってもまだ余韻を引きずっているからだ。

長年Shipperをしている自分がドラマThe Shipperでどれだけのカップリング=船を漕いでいける可能性があるのか、またその関係性を見出せるか?という想像をしてみたかったからだと思う。10通り、行けるぞ…?もはやゴーストシッパーとしての業である。いやそもそも、ゴーストシッパーって何?どこら辺が幽霊船なわけ?という疑問はこのドラマにおいてより強く感じられた。

自分は表に出てこない関係性の行間を読むことがやおい者の楽しみ方の一つだと思っているが、The Shipperでは様々な関係性(それが性愛でも友情でも何でも)を、製作側がオタクにshipさせるよう作ったと思われるわざとらしさが見え、その描き方は他のタイドラマであまり見たことがない新しいものだった。The Shipperの面白い所はそのストーリーはもちろん、登場人物たちの関係性そのもの。主人公とその友達だけではない、出てくるキャラクター全員のRelationshipに我々がshipできる可能性を秘めている。

The Shipperが全体を通して伝えようしたのは、愛って単純な「恋愛」において見出される性愛的なものだけでなく複雑で色々な形が存在するんだよということと、自己愛の大切さだったんじゃないだろうか。そしてどこまでいってもShipperであるPanが主人公の話で、推しCPにとって何が一番幸せなのか追及しながらPanが自分自身を愛することにも気づく物語だったように思う。

ここからは作品の中で特に印象的だったキャラクターの関係性やシーンを挙げながら、The Shipperのメッセージを考察していく。

※本編ネタバレがあるのでご注意ください。



KimWayの結末とPanの葛藤

KimWayのあの結末はかなり賛否両論あるが、先述したようにあくまでPanが主人公であり、KimWayがメインではないからあの結末になったのかもしれない。Panの自分の人生を生きる決断をするまでに絶対に必要な要素の1つとして推しCPのKimWayがいたのだろうし、KhetやSodaも同様だ。しかし要素の1つだからといって決して手抜きで描いたわけではないのは明白で、むしろあそこまで上手く映して視聴者の感情にここまで訴えかけている点を評価したいし、本当に素晴らしい…。

もう私は、ep10でWayの告白や2人の過去が明かされた時点で「担降り!!!!(叫)」だった。私がPanだったらしばらく鍵垢にこもるか別ジャンルに移動していたかもしれない。なーんだ、現実だったじゃん!!!と。Shipperの願い以上のデカい波が襲って来て2人の事実に妄想が負けてしまった。そんなことあるか?あるんだなあ。

あの時PanSodaと共にせっせと積み上げてきた砂のお城がサラサラとただの平らな地面に戻って行った。その波は、今まで我々やおい者が現実にはならないという前提の上で行ってきた妄想という行為を、KimWayがそれ以上に深い所で愛し合っていたという事実でいとも簡単にまるっと飲み込んでしまったのだ。これこそShipperが主人公として登場するフィクションで、紛れもなく私たちの物語である。

WayKimはどうしたら救われるのだろうか?Shipperとしては考えずにいられない。しかし、Kimがやってきた事は全てWayの為だったことが明かされ、別々の行き先のチケットを見つけた瞬間、Panはきっと悟ったのだろう、自分がKimの体に入った理由や、この役目はそろそろ終わりなのだろうということを。KimはWayに、「誰かと一緒になりたいからと言ってその人の未来を奪うことはできない」「お前の未来はお前が選んでいかなきゃいけない」と伝えている。これはWayに対してだけではなく、Panや視聴者、あらゆる人へ向けたメッセージだ。誰かの未来を勝手に決めたり、逆に自分の未来を誰かの為に犠牲にすることはできない。すぐ推しCPに同じ未来を背負わせたがるやおい者の自戒としても胸に刻んでいきたい。我々は愛し合う2人が一緒にいる事が一番な幸せだと考えがちである。果たして本当にそうなのか?他人にとって何が幸せかというのはただの憶測にすぎない。PanSodaは何があってもKimWayは一緒で、それが2人にとっての幸せと考えていたが、現実はそんな単純に行かなかったのだ。創作で都合良く描いてこなかった現実の色々な複雑な問題に直面したことで、もう一度その"幸せ"が何なのかを再考することとなる。Kimはお互いを尊重しそれぞれの未来を歩もうとすることが相手を一番に想う愛情なのだと教えてくれた。WayはKimの愛のデカさを知り、自分の道を歩くことがKimにとっても幸せであると悟った。

お互いの想いを確認できたこのシーンで、ある意味2人とも救われたと言っても良いと思う。ここで暗転して後のKimは、神からの提案(エンドロール後)を受けてWayに本心を伝えにきたKimだと解釈している。「離れていてもこの約束(#KimWayForever)は守れるだろ」というKimの言葉は、死んでもお前と一緒だぞと、別々になるわけじゃないんだぞと伝えたかったのだろう。そして体が入れ替わった呪いは、PanがKimWayを繋げて自分の人生を歩むことに気づけたことで解けていたから、Panがやっぱり元に戻りたいと死神に話して簡単に受け入れられたのではないだろうか。


Panの場合、どちらにせよ犠牲が生まれ、一体自分がどう動くのが一番良いのかという葛藤があった。最初はWayとSodaをKimから離そうとしたPanが、Kimの真実を知ったことでどうなったか。WayKimの真実とKhetの「なんで自分よりも他人の幸せを優先するんだ」という一喝も後押しして、Panはやっと自分に目を向け、自分の人生を歩もうとした。こうなってしまった責任やShipperとしてWayKimの幸せばかり考えていることに囚われていたと気づいたのだ。

一方でWayはやっとKimを本当の意味で知ることができたのに一人残されることになってしまった問題。

正直、この2020年に片方が死んじゃうエンドをまだやるんだ!!という気持ちがあった。死ネタでは片方の死に儚さや切なさを見出していたけれども、そのモチーフ自体はさすがに古さを感じる。しかしあそこでKimを生き返らせPanも無事に元通りになるとそれこそ都合が良すぎるし、Panが自分の人生を生きると決断する為の犠牲だったのだろうか。

これは個人的な願望だが、Way、頼むからKimのことに囚われずに生きていってほしい。LAで色々な刺激を受けて新しい経験をしながら彼女や彼氏ができるかもしれない、バスケがやりたくて大学を選んだのにもしかしたらバスケ以外の何かに夢中になるかもしれない、相変わらず父親が家督としての役割を押し付けてくるから不仲かもしれない。でもどんな選択をして、どんな結果になっても「それがお前の人生だろ」とKimは笑ってくれるよ(誰?)


PanとSodaとKhet

ポップでキュートでユニークな私たちのアイドル3人組。この3人の掛け合いはドラマの癒しどころであり、同時にストーリーを大きく動かす重要な役割を果たしていた。特にKhetは視聴者と同じ目線でキャラクターたちの関係を外から見つめていて、私たちは一緒にWayの待受を目撃してから彼の本当の想いを推測したり、Panがなんとか戻ってくれないだろうかと切望したりした。

KhetPanは、PanがKimWayのことばかりを考えていたように、Khetも自分以外の誰かの事を常に優先していたし、気にかけていたという共通点がある。またPanが後半につれて徐々に自分に向けられる愛に気づいていくのに対して、一番側で見ていたKhetは他人に献身的な一方でなかなか報われないキャラクターでもある。愛を受け取る側と、与える側。オタクって自分のことには関心が薄い人が多いような気がする(自分がそう)けれども、PanはKhetがしつこく言ってくれたからこそ自分で自分の道を歩む大切さに気づいたのかもしれない。

そしてこの2人の間に入るSodaは、Panと反対に自己愛があり、自信を持っている人だ。

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Sodaの部屋の壁にはSoda自身の写真が飾ってあるし、Panが事故に遭った後Khetから色々と気遣ってもらった時に「私に惚れてるでしょ?」と言っていた。

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こんなことは自己肯定感が高く自分に愛がないと言わないんじゃないだろうか。また、Sodaは序盤でKimに対して夢の人格を持っていたし、ep7では入れ替わった理由が自分に恋する理由だと話し「大概の恋は友達から始まるでしょ」と主張していた。

これはSodaが自分も推しCPと同じように誰かと恋愛をしうると自覚している証拠ではないか。「自分を愛せなければ、どうやって他人を愛することができるのか?」というル・ポール(アメリカのレジェンド的なドラァグクイーン)の言葉があるように、Sodaは自己愛があるからこそ、Kim(Pan)からの関心を好意と受け取ったり、Panとの恋愛を想像できたりするのだ。しかもSodaの恋愛対象は特に男でも女でも良さそうな、とにかく「好き」という感情に対する抵抗感の無さも良い。

そしてParbdee(The Shipperの制作会社)の以下ツイートも興味深い。要約すると「Panは秘密や闇を抱えているから暗めのピンクや黒色の服装が多く、Sodaは裕福な家庭で明るい人生を送るから白や明るいピンクの服装が多い」という内容。これも先述したSodaの自己肯定感にも繋がってくる。

SodaはずっとPanが入れ替わった理由を追求しながら、PanにShipperとは何なのか?と問題提起してくれていた。これは我々視聴者に対する問題提起でもあり、作品の大きな軸として最初から最後まで考えさせられたテーマである。Sodaにこうした役割を与えることで、今まで一緒に同人活動してきた仲の良さやPanのことを一番考えてくれていることが伺えてただの脇役とは言えない存在感を放っていると思う。

Panの自分のことより推しCPを優先する盲目的なオタク心、Khetの気遣いと献身的な愛情、Sodaの友人を想う心と自己肯定感。こうした3人の性格や役割のコントラストが、3人一緒のシーンをより楽しく色濃いものにしていてずっと観ていたいような気持ちにさせていた。

しかしKhet、実の兄を対象にした同人活動を自分の好きな人とその親友がやっているというのはどんな心境だったのだろう…機転が利くKhetなら2人に鍵垢でやれと教えてあげて欲しい……


KhetWayの少年漫画的ブロマンス

好きな人を待ち受けにして、誰かを心配し、いざという時に助けに来て戦ってくれる2人。後半では少年ジャンプさながらのアツい展開を見せてくれた。一見PanSoda、KimWayなどに比べて関係性が薄いように見えるかもしれないが、2人には共通点が多い。そして何より私はKhetWayのShipperとして2人が乗る船を漕いでいる(ちなみに監督もKhetWayのShipperだと自らインタビューで語っている)。

KhetWayは製作陣が狙ったと思われるモーメントが多々見られる。待受画面がバレるシーン、Kimを遊びに連れて行きたいWayをなんとか阻止するKhet、Kimを助ける為に戦うKhetWay、ep10で床掃除しながら「僕は先輩の味方だ」と言うKhetなど。明らかに"そういう"意図を感じるのだ。

2人とも何かとお互いにつっかかりがちで、からかうのが好きな性格。KhetWayの船が動き出したのはep5なのだが、2人の間に流れるホモソーシャル的な空気感からはBLに発展する可能性が感じられた。

Khetの待受を偶然見てしまったWayは、KhetがSodaのことが好きなのをそこで知り、「壁紙にまでしておいて、その子のこと好きじゃないなんてこと、あり得るか?」とからかう。その通りだ。好きでもない子の笑顔を待受にするか?視聴者の共感を得つつ、Khetの可愛さが垣間見える。問題のシーンはep5の最後。

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待受をKimとの楽しそうな写真にしていたWay。WayはここでKimに対する名前のない想いにやっと気づいたことが一気に明らかになった。(PhingPhingと別れたシーンの方がより決定的ではあったものの、私はこの時点ですでにそういった感情があったと解釈している。)

KhetWayはお互いの秘密を抱えることとなるが、それを誰にもバラさず過ごすのだ。相手を思いやっていなければ誰かにバラしてからかうことだってできるのに2人ともそれはしなかった。映画『新しき世界』でチョンチョンがジャソンにそうしたように。これを愛以外の何と呼ぶのかまだ私は知らない。誰か、愛じゃなかったら何なのか教えてください。

Kimの中にPanがいることでKhetWayはライバル関係とも言えるだろう。同時にKim(Pan)が危険な時にはKimを守るための同志となる。こういった少年漫画的な描写はKhetWayだからこそ生きてきて、2人にとって大切な存在だったKimの死によりさらに2人の関係性が強まるように感じられる。根が優しくて人を思いやる気持ちが強い2人はKimがいなくなっても助け合って生きていくかもしれない。どうか、LAからWayが帰国した日には2人であのしゃぶしゃぶを食べて欲しい。



様々な形の愛と、他人よりも自分を考えるという事

さて、冒頭でThe Shipperが全体を通して伝えようしたのは、愛は複雑で色々な形が存在するということと、自己愛の大切さと書いたけれども、ここでThe Shipperでの多様な愛の形がどのように描かれていたのか考えてみる。

もしかして恋愛に発展するかもしれないようなSodaからPanに対する想いや、血が繋がってないのに叔父さんがPanを気にかける様子、KhetやKimが兄弟として本当は仲良くしたいと思っていた家族愛、意地悪に見えてPhingPhingなりの信念の元に貫かれたWayへの愛など。それぞれ複雑な事情を抱えて自分を犠牲にしながら誰かを思いやっていて、その愛は恋愛的感情に見られる愛だけではなかった。この描き方で素晴らしかったのはBLによくある当て馬の女の子の適当で雑な描写のそれとは違い、各キャラクターのバックグラウンドが丁寧に映し出されていたこと。これまでBLドラマのBLカップル以外の描写がおざなりになる問題は幾度となく議論されてきたと思うが、それぞれのキャラクターをしっかり描きながら同時にBLもできるという一例になったのではないだろうか。

最終回で一気に色々なキャラクターが新たな相手を見つけそれぞれの人生を歩もうとする姿が見えた時、このドラマが伝えたかったのは愛の多様性なのだと感じた。ただ、これだけ丁寧にそれぞれの愛や生き方を描くのなら1人くらい誰かと恋愛はせずとも生きられることを示すキャラクターがいても良かったのではと思う。それでこそ多様性を訴えるにおいては説得力が増したのだろうけれど、やはり愛についての物語だったことを踏まえるとあの結末で納得している。


誰かを思いやる愛の多様性と共に、自分自身に対する愛も大切だというメッセージが込められたのは時代の流れに則した素晴らしい動きだった。オタクの盲目的な感情をよく分かっているし、Shipperの習性とも言える自分より他人や趣味コンテンツを優先する性格に上手く訴えている。Shipperにとっての幸せは推しCPの幸せとよく言うが、自らの愛について関心の薄かったオタクに焦点を当て、オタクとしての幸せと1人の人間として自分自身の幸せ両方を手に入れることが可能なんだと教えてくれた。なんてエンパワメントな作品!!!!実際私自身はThe Shipperにエンパワメントされて自分のことも愛していこうな、と意識できるようになったし私1人だけの話では無いと思う。こんな作品だとは1話の時点では予想もしていなかった…


Shipper

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Kimが解答をずっと盗み続け学校を騙してきたことを知ったPanは、Wayの相手に相応しくないとわざと突き放し、あれだけ一緒に同人活動したSodaにもKimが悪い奴だと伝えようとした。ここで気付いたのは、Panってわりと倫理観のあるオタクということ。(じゃあ最初からサイトに厳重なパスワード設けて制限しておけよ!)Kimが悪事を働いたからといって「でも好きだしKimWayフォーエバーだからオッケー!」とはならなかった、偉い!!

WayKimモーメントだけでなくこういうオタクの葛藤をリアルに描くあたり、製作陣がいかにオタクという性質を研究し反映させたのか伝わってくる。脚本担当の1人が実際のサオワーイであると共に、Shipperのリアルを表現しようと試みたと監督はインタビューで語っている。オタクの倫理観と好みのせめぎ合いを描こうと狙っていたのかは分からないが、結果的にそうなっているから凄い。

我々オタクにも本当に色々な人や考え方があるのに、The Shipperは大体どのオタクにも当てはまる節があったんじゃないだろうか。Panを通してみんながオタクって、Shipperって一体何なんだろうな…と漠然と考えていたと思う。

The ShipperにおけるShipperの定義は「自分の推しが最高の相手と幸せになるのを望むこと」となっている。あくまでも望むだけでオタクの自己満足なのだが、オタクの一方通行な眼差しではなくなったことで起こったのがThe Shipperで描かれた色々な問題。それらの問題から学べるのは、オタクと推しCPという関係図でいうと、結局は一方通行で相手に自分の考えを押し付けてはいけないし、自分が2人に代わって幸せにならせてあげようとすると痛い目を見るんだという教訓だと思う。当たり前のことだけれど、だからこそ胸の片隅に常に置いておきたい。Mui監督は、Shipすることは良い面も悪い面もあるけれども「良い悪いをジャッジするのではなく、色々な面を見せたかった」と話している。The Shipperで一番感動したのは、このジャッジメントではなく色々な側面があることを見せてくれたことだ。

タイドラマで一番最初にShipperを主人公として描いた作品を作ろうとした時に、サオワーイって良いよね!面白いよね!と単純に面白い生き物のような、上部だけ取ったような描き方をしなかったという所がこんなに好きになった理由である。これから他にもShipperを描いた作品が生まれるかもしれないが、正直言ってこんな面白いものが一番最初に来てしまったので次に作るのがもし自分だったら怖くて仕方がない。これ以上の物を作れるのかと。それだけMui監督は素晴らしい作品を作り上げたし、BLが盛り上がっている今の時代に新しい視点を与えてくれたことに感謝の念が止まらない…

最後に、これからのMui監督の作品を心待ちにしながら、公式グッズの水色スウェットセーターを着てOSTのダンスを練習しよう…。ここまで長々と読んでくださった方、ありがとうございました!



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