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短い言葉(フォトエッセイ集)

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短い言葉で綴ったフォトエッセイ集
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2020年5月の記事一覧

ルクセンブルクのコーヒー茶碗

ちがった街の一日のはじまりには、 朝の光と朝のコーヒーがあればいい。 知らない街の気もちのいい店で、 日射しにまだ翳りのある午前、 淹れたてのコーヒーをすする。 人が生まれるときは柔らかで弱々しく、 死ぬときは堅くてこわばっている。 草や木が生きているあいだは柔らかでしなやかであり、 死んだときは、くだけやすくかわいている。 だから、堅くてこわばっているのは死の仲間であり、 柔らかで弱々しいのが生の仲間だ 『老子』のそんな言葉が、 つと生き生きと目の中に立ち上がって

季節の粋な計らい

そろそろ冬将軍を出迎えましょうと 春と夏と秋の色で染めあげた 七色のじゅうたんが 早池峰山の麓に一斉に敷かれました その様子はまるで 頬紅を塗った幼子が 少し照れているようです きっとこのじゅうたんの上を 白髪の冬将軍が 極北の風にまたがって 颯爽とやってくるのでしょう あぁ なんという 季節の粋な計らいでしょう

きっとずっと。

100回季節が巡っても きっとずっと変わらない