飾られた言葉
机の上には書きかけの原稿があった。
「言葉とは文字通り、言語の葉っぱである。
ならば火をつけて燃やすことも、餅を包んで食べることもできるだろう」
台所へ行って、蛇口をひねってみた。
これで燃焼を止めることができる。
ポケットの中からライターを取り出し、火をつけた。
口の中に入れた。
「言葉とは文字通り、言語の葉っぱである。
葉っぱはそれだけでは役に立たないが、燃焼させることでエネルギーとなるだろう」
それが遺言となった。
「遺言とは文字通り、遺された言葉のことである。
ならば本人と共に燃やすことも、他人が食べてしまうこともできるだろう」
この家の言葉は額縁に飾られている。
だから、今日、自分の家を燃やした。
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