業火

棄てられた猫のように笑う君と僕の不幸に感謝しよう

さて、聞こえてきたのは何だったのか
思い込みに支配された揺り籠の中
叩かれた扉は開かれることなく、爪を立てられた壁は悲鳴を上げる
怒涛の波に呑まれた声は泡となって天へ昇る

祈りは届けられるものではない

掌を合わせて確かめる輪郭
触れた一瞬に彷彿とさせる震えを繋ぎ止めるために握り締めた針の痛み
鼓動の音が絶えず生きていることを嘲笑する
蝕まれていく身体が訴える衝動に抗い切れず、落下する

目蓋に切り取られた記憶は甦り、飛翔する
天を仰ぎながら僕らは淡い夢を見る

眼差しは優しいものではない

縋り付いた指先が首に絡み付いて離れない
放さないように傷付ける背中から流れ出した罪が僕らを焼け爛れさせる熱だというのなら
炎の中に投げ込まれよう
望んだことならば地獄も極楽と変わりはしないだろう

幾度も繰り返される記憶の中で僕は叫んでいる
引き裂かれる痛みに叫んでいる

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