くらやみをてらす

 最初はなんにもありませんでした。まっくらくらの世界。そこに火が灯ったのはいつのことだったのでしょう。

 大きく燃え盛り、昼が訪れました。最初の灯火が見える人は少なくなりました。あたたかい世界です。堂々たる地平線。きっと遠くまで行けるでしょう。
 それで、どこまで来たのでしたか?

 星が墜ち、陽が沈みます。再び、なんにもない世界にかえっていきます。暗闇の中には火がひとつ。小さな小さな灯火です。

 ここからまた始めることもできます。そうすれば、再び白昼が訪れるでしょう。
 でも、すこし疲れましたね。
 簡単なことです。あなたの手で始めたのですから、あなたの手で終わらせることができる。

 昔からやっている通り、ハッピー・バースデー・トゥー・ユーの歌が終わったら、息を吹きかけましょう。

 おめでとうございます。お疲れ様でした。

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