「質」と「量」ならどっちが大切か論争の答え

「質」と「量」なら、どっちが大切なのか?
という議論は、よく見かけます。

「質」を求めるな、とにかく「量」をこなせ、と言う人もいれば、
闇雲に「量」をやるな、「質」を高めろ、と言う人もいます。


最近も、ニシノアキヒロさんのブログでその話を見ましたが・・・・

それを読んでいて、思ったのです。

僕、それ、すでに分析によって証明してました笑。



「質」と「量」の、「結果」への関わり方


簡単な話ですが・・・・
例えば、お店の売上げに置き換えてみるとよく分かります。
 
20歳代の若者をターゲットにしたお店があったとして・・・・
 
20歳代の若者が、「10人」住んでる場所にお店を出したら、質は「100%」です。
全員がターゲットです。
 
でも・・・・たった10人で、お店は成り立つのか?っていうと、(業態にもよるかもしれませんが)基本的にはムリです。


じゃあ、人口10,000人住んでるけど、若者は「20%」しかいない街に出店したら、どうか?というと・・・・
 
「2,000人」住んでるわけですから、売上げは高くなる可能性があります。




こういう感じです。これはちょっと極端ですけど。
 
「何人住んでるのか?」が「量」の話。
「その内訳の比率」が「質」の話です。
 
こうやって表すと、間違いなく「量」の方が重要ですよね。

「質」がいかに高かろうと、圧倒的に「量」が少なければ、売上げには繋がらないわけです。


ですから、「質よりも量が大切だ!」ということが答えになります。


ちなみにこのことは・・・・
色んな業種業態の分析をして、統計的なウラも取れています。
 
ほぼ全ての業種業態で、売上げに最も重要な要因は、商圏の規模・・・・つまり、「量」の因子でした。
(正確には一部、サンプルの偏りの問題で、「量」の因子による影響をちゃんと計測できない事例がありましたが)
 
よく、起業塾とかで、「圧倒的な量だ!!」っていうのが推奨される、その理由がこれですね。
そう、「量」が重要なのです。









・・・・なんて、言うと思いましたかね。
 
この話には続きがあります。




「量」が大切な場合と「質」が大切な場合


上に書いたこと自体は、嘘ではありません。
お店の売上げに最も重要なのは「量」です。
 
同様に、多くのビジネスやら活動についても、「量」が重要になる場合は多いと思います。


ただ、その中でも「量より質が大切」と言われることがあります。
 
じゃあ、そういう人たちの話は間違っているのか?というと・・・・
そういうわけじゃないんです。



結論から言うと、
 
「量」的な成功のためには「量」が重要だし、
「質」的な成功のためには「質」が大切。
 
というだけの話です。


お店の売上げっていうのは、「量」です。
いくら売れたか、っていう絶対額のことですから、だから「お客さんの数=量」が重要になってくるのですが・・・・
 
もしここで、「質」的な成功を求めるのであれば、この限りではないのです。


「質」的な成功とは・・・・ちょっと無理やりさっきの喩えに被せるなら、例えば、
 
「若者『だけ』が集まるお店にしたい」
 
みたいなことです。
 
それだったら、たとえ人口が「10人」しかいなくても、「100%」若者なら、それは成功と言えます。
 
逆に、「10,000人」が住んでいても、若者が「20%」だけで、他の「80%」がそれ以外の人々なら、そういう、ターゲット以外の人たちもお店に来てしまう可能性が高いでしょう。
 
これでは、「若者『だけ』が集まる場所にしたい」という目的を達成することは難しいことになります。




そう、普通は・・・・というか今まで、特にビジネスにおける「成功」の定義は、「売上げ額」や「年収」という、「量」的なものであることが多かったのです。
 
ですから、「入ってくるお金の『量』を増やしたければ、行動の『量』を増やせ」みたいな話がされるのは、当然のことでした。


けれども、最近は「質」的な成功にフォーカスする動きも活発になってきました。
 
お金を稼げれば良い、というわけじゃなく、「どう」稼ぐかが大切、であるとか。
 
友達が多ければ良い、というわけじゃなく、「どんな」人に囲まれているかが大切、であるとか。
 
こういった「質」的なところに「成功」の定義を置くのであれば、それを「量」では測れないのは当然のことです。



統計の世界でも、「質」の分析をすることがありますが、その時に使うデータは、「質」的な因子です。
 
「質」の分析をしたい時に「量」的なデータを使ってしまうと、物凄くおかしな結果になってしまいますから、基本的にはNGなんです。
 
「世帯数における高所得者の割合」とか、「人口〇〇人中における車の保有台数」とか、そういうのですね、「質」の分析って。
 
これらは決して、「人口が多ければ(量)、高所得者の割合も大きい(質)」にはなりません。
 
「年齢層が高ければ(質)、高所得者の割合も大きい(質)」みたいになるのが当たり前です。
 
それと同じ。





そういうわけで、
 
「質」と「量」ならどっちが大切か
 
という論争の正しい答えは・・・

「目的によって変わる」というものです、結局は笑



「質」的な成功を求めるなら、「質」的な因子を高めよう。
 
「量」的な成功を求めるなら、「量」的な因子を増やそう。

 
そういう感じですね。





「質」と「量」のバランスについて


そして、できれば、その両方をバランスよく持てると良いと思います。
 
その良いバランスの比率は人それぞれですが・・・・
 
100%「質」だけを成功とする、または「量」さえあればいい、みたいな極論になる人は、そうそういないと思うんですよね。


もし、
 
「私は友達の『数(=量)』は求めない!たった1人だけでも親友がいればそれでいい!」
 
ということを言う人がいたとしても・・・・
 
いやいや・・・・
たった1人、っていっても、その「1」も「量」ですから笑
 
本当に「質」だけにフォーカスするなら、友達は「0」人かもしれなくても文句を言わないこと。
 
確かに、「100」人作るよりは難易度は低いかもしれないとはいえ、「1」人も「量」であることには違いないので、たった「1」人でも友達を作りたいのであれば、「量」的な因子を無視はできませんよ、ということです。



ビジネスの成功も同じです。
 
「1億」円稼げなくても、日常を普通に過ごせる「20万」円だけでいい、っつったって、それはそれで「量」です。
 
しかもそれを「毎月」となれば、「収入を得る回数」という「量」にも繋がります。
 
だから、何をするにしても、ある程度の「量」は必要になり、「成功には『量』が重要」ということに繋がってくるのです。
絶対に無視はできない、という意味で。


そして・・・・
 
これは、僕の、お店の立地分析からの経験則ですが・・・・
お店の売上げ(量)に対して、分析で最も重要になるのは、「量」です。
 
人がどれくらい沢山いるか、ということがポイントで、多くの売上予測モデルにおいて、最も根幹の要因になります。
 
そして、その次以降に、「質」の因子が関わってきます。


じゃあ、「量」的な因子と「質」的な因子で、どれくらいの重要度の違いがあるかっていうと・・・・
 
概ね、
 
「量」5:「質」4
 
くらいです。
これ、様々な分析をやってきましたが、少なくとも「量」的な成功を求めるなら、この比率です。



言い換えると・・・・(そろそろ数字が苦手な人には難解になってきたかもしれないからシンプルに結論だけ言うと)
 
同じだけエネルギーを懸けるなら、「量」に懸けた方が、「質」に懸けるよりも「25%」くらい効率が良い
 
みたいな感じです。
(こんなスッキリとはしないものですがでもイメージ的にはこんな感じ)


25%って、でかいですよ・・・・
 
そう、こういうのがあるからこそ、「迷ってる暇があったらとにかく動いた方が効率が良い」っていうことが言われるんです。
 
「うまいやり方(=質)」を探すのも悪くはないですが、じゃあそれは、「量」的因子より「1.25倍」以上の結果を出せるものでなければ・・・・
 
無駄とまではいいませんが、もったいないわけです。
 
ちょっとの違いしか出ないくらいだったら、「量」的な因子、つまりは沢山行動するだとか、とにかく積み重ねるだとか、そういうことをしていった方が、よっぽど早いし効率がいいのです。


「質」に「100」のエネルギーを懸けても「100」の結果しか返ってきませんが、「量」に「100」のエネルギーを懸けたら「125」の結果が返ってくる、とイメージしてください。
 
そりゃ、「量」に懸けたくなるでしょうよ、と。





ちなみに・・・・
 
「量」って、突き詰めていくと「質」の因子を持ち始めるのです。
「量が多い」っていう「質」に変わるんですよね。
 
沢山の勉強「量」をこなすことで、「知識が豊富」という「質」になる、みたいなものです。
 
なので、ある程度、自分の目的に「量」が含まれるうちは、とにかく行動も「量」をベースに考えていくことは、非常に重要です。





「質」を意識した方が良いタイミング


最後に・・・・
 
じゃあ、「量」より「質」を意識した方が良いタイミングとはどんな時か?っていうと・・・・


例えば、
 
「(ゼロベースで)1,000万円の売り上げを出せるようになりたい」という時には、「量」をベースに考えますが、
 
「すでに1,000万円稼げるようになった状態で、稼ぎ方やお客さんの層を変えたい」となった時に、「質」が重要になってきます。


「今までは若者だけをターゲットに1,000万円を稼いでいて、その売上げはもうアップしなくていいけれども、今後は若者とそれ以外の層を半々になるようにしたい」
 
みたいな時。
こういう時に、「質」的な行動が求められるようになります。


売上げの、内訳を変えたい時、ですね。
(勿論こういう時でも「量」を無視していいことにはなりませんが)


つまり平たく言うと、ビジネスや何かの活動のスタートアップの時には圧倒的に「量」が必要で、その後仕組み作りをしっかり考える時に「質」が大切になってくる・・・・
 
みたいな感じです。



自分が今、求めているのは「量」的な成功か?それとも「質」的な成功か?
 
 
それをしっかり踏まえた上で、その時の自分に必要な方に、適切なエネルギーを懸けることが大切になってくるんじゃないかと思います。
 

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