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【乙女ゲーム沼に引き摺り込まれた】ビルシャナ戦姫〜源平飛花夢想〜プレイ感想

1. はじめに

2023年、夫の海外赴任を機に空き時間ができたので、人生初の乙女ゲームソフトをプレイしました。結果、見事に乙女ゲーム沼にハマり、現在も継続して複数ソフトをプレイしております。
せっかくなのでプレイしたソフトの感想をnoteにまとめていきます!

目次にネタバレ有無を記載するので、ネタバレを見たくない方は目次を選んでご覧ください。

2. 総評(ネタバレなし)

第一弾は『ビルシャナ戦姫〜源平飛花夢想〜』。源平合戦の時代、あの源義経が女だったら、という設定です。
このソフト、私を乙女ゲームの沼に引き摺り込んだ攻略キャラがおります。(後述で熱く語らせていただきます!)
まずは総評をネタバレなしで記載します。

総括して言うと、面白すぎた。まーじーで面白かった。シンプルに好き。(語彙力の敗北)

源平合戦が舞台なので、実際にあった様々な戦がストーリーに織り込まれています。歴史の勉強になりました。そのため「果たして遮那(=源義経)と攻略キャラの2人はハッピーエンドを迎えるのか?というかそもそも恋愛関係に辿り着くのか?」という手に汗握る展開が続きます。史実をベースにファンタジー要素も加わりながら、さながら映画を見ているかのような浮き沈みが激しいストーリー。その中で、ヒロインの遮那と各攻略キャラがどのように恋に落ちるのか、がとても丁寧に描かれていました。

前提としてヒロインの遮那は女であるという事実を隠しており、こういった設定にありがちであろう「女と分かったとたんに攻略キャラが勝手に異性として意識し始める」というご都合展開は無かった、というのも特筆すべき点です。一部キャラは最初から遮那が女という点を把握していますが、それでも、各キャラとの信頼関係がしっかり構築されたうえでお互いがいつの間にか恋に落ちているという流れでした。なんて素晴らしい!

糖度は低めです。ただし、このストーリーは「戦乱の世で2人が恋人同士として結ばれるまで」を描くことに重きが置かれていると思うので、低めが妥当だと思います。このストーリーで糖度高かったら逆に面白く無かったと思う
FDが出ており、そちらは糖度がしっかり高めなので、糖度物足りない方はFDも一緒にプレイしてください。

3. キャラ個別感想(ネタバレあり)

各攻略キャラルートの感想です。ネタバレを含みますので未プレイの方はご注意ください。

私は武蔵坊弁慶→平教経→源頼朝→平知盛→春玄の順番でプレイしました。
ベストルートは平教経、次いで源頼朝で、平教経→源頼朝→平知盛→春玄→武蔵坊弁慶の順番で好きでした。なんか弁慶ごめん!笑
個別キャラ感想も好きなルートの順番で記載し、文章量も比例しますのでご承知おき下さい。
また、ヒロインの名前は固定で遮那として記載します。

3-1. 平教経ルート

教経ルートは良い意味で大きく裏切られました。
こんな血気盛んなピンク髪ボーイは好みじゃないな、なんて思っていました、ええ。ところがどっこい、教経ルートをプレイし終えると「待って待って乙女ゲームって最高じゃないか!!!」と1人でベッドの上をのたうち回ることになりました。私を乙女ゲーム沼に引き摺り込んだのは、この教経です

教経と遮那は敵対する源氏と平家の武将同士であり、勝敗をつけたいライバル同士であり、そもそも教経は遮那のことを「男」と認識しており。9章くらいまでずっと、「この2人は何をどうしたら恋愛関係に発展するんだ???どうやってこっから結ばれるんだ???」と思いながらプレイしていました。なのに気づいたらいつの間にか、お互いがなくてはならない存在、になっていましたね!!!この2人の関係性は最早、恋人同士という一言では括れない気がします。恋愛要素もちゃんとありますが、このルートでは教経と遮那という魂のぶつかり合いを見た気がします。

心を鷲掴みにされた瞬間は2つありました。
1つは「お前が何を危惧しているか、理解しているつもりだ」。遮那が女だということを教経は知っていたと告白するシーンです。

深夜1時くらいにプレイしていたのですが、この一言で完全に脳が覚醒しました。オイオイオイ教経お前、全部承知していたのか…!、と。

「お前が男であろうが女であろうが関係ない。この教経とやり合う者は男でもそうそう居ないのだ、胸を張れ」。あああ模範回答すぎる!!!色々と背負っている遮那に対してド正解の向き合い方すぎる!!!

男だとか女だとか、源氏だとか平家だとか関係なく、彼は最初から最後まで「遮那」その人と向き合っていましたね…。
やられました。遮那ちゃんと一緒にプレイヤーである私も、彼に心を持っていかれました。

ここから一気に、「源平合戦」から「平教経と源義経(遮那)の2人の物語」へ、ストーリーの雰囲気がガラッと変わった気がします。

ただ、あまりにも2人の関係構築に焦点が置かれているので、弁慶や春玄といった、遮那の家来は、2人に振り回されてちょっと可哀そうでしたね。佐藤兄弟が「戦場で教経を斬れるか」と遮那に問うのはもっともです。

もう1つの心を鷲掴みにされた瞬間は、一ノ谷の海岸での会話です。

怪我も癒えてきた遮那に「お前、これからどうする?」と問いかけてからの背中越しに「ここにいろ」。

震えたあああ、名シーンすぎる!!!k-popでいうところのキリングパート!!!!!

このシーン、全ての要素が完璧だったんです。
落ち着いているけど、いい塩梅に命令口調な声のトーン。CV最高でした。
遮那もプレイヤーも「これからどうしようか(どうなるんだ)」っていう先行き不透明すぎる状況で、迷いを絶たせる一言。
そしてそれを背中越しに伝えてくる立ち絵。
きっと教経なら、過酷な状況でも道を切り拓いてくれる。そう感じさせてくれました。

はい、拍手!!!!!
いやプレイ当時もリアルに拍手したかもしれない!!!!!

ちなみに。私は教経ルートが好きすぎてそれを他人に伝えたくて、乙女ゲーム未経験の友人複数名を誘って、教経ルートを最初から最後まで再プレイしたことがあります。
結果、友人全員、彼の「ここにいろ」の一言で身悶えしてました。写真を撮りまくり、シーンリプレイしまくってました。デスヨネ!!!!!

他にも、教経ルートは総じて波瀾万丈です。2人がやっと一緒になれると思いきや、離れ離れにならざるを得なかったり。まさに、源平合戦の波に揉まれる2人でした。

2人の決着をつける場が壇ノ浦の戦いというのもよきでした。荒波に揉まれまくる2人のクライマックスとして相応しい舞台だったと思います。
「誰が見ても『平家は滅びた』と思うような幕引きにするために、戦の中で総大将である俺が源氏によって討たれなければならない」。教経、あんたってやつはほんとに…。俺と勝負しろ、と純粋に武を求めていた、出会った当初の教経ではありませんでしたね。状況をよく見て、平家のために何ができるかを考え、遮那とのことも考えながら、何が最善なのかを考えて実行する。最後の最後まで平家の武将でした。
ハッピーエンドは船上で相討ちに見せかけた逃避行でした。ほんとによかった!やっと全てのしがらみから解放され、2人で過ごせるようになりました!拍手喝采!!!!!
個人的にバッドエンドも気に入っています。本当に相討ちしちゃうエンドですが、ありえた結末の1つですよね…。

悶絶するポイントは他にもあるのですが、収拾がつかなくなるのでここまでにします。シナリオ重視派の乙女ゲームプレイヤーの皆様、乙女ゲーム初心者の皆様、是非教経ルートをプレイしてみてください!

3-2. 源頼朝ルート

教経に次いでよかったのは源頼朝ルートでした。
教経ルートが荒波を幾度も乗り越える波瀾万丈な物語だとすれば、頼朝ルートは、しっとりとして趣のある、美しい物語だったと思います。閑散とした伊豆の海辺、穏やかで静かな月夜、そんな雰囲気でした。
このようにしっとり、美しく感じた理由はきっと、他キャラルートでは冷徹に見えた頼朝の悲壮な過去を知ることができ、冷たく閉ざされた頼朝の心を遮那がゆっくりと溶かしていくルートだったからだと思います。

ところで、頼朝の過去は壮絶でしたね…。あの過去を見てから「源氏の悲願」という言葉を聞くと、言葉の重みが全然違います。頼朝が自身の人生を源氏に捧げ、完全に「私」を持たないようにしていた理由もよく分かりました。

全体的なストーリーとしては、最初は「会ったこともない腹違いの兄弟」という細い糸のようだった繋がりを、遮那が歩み寄ることで「戦場で互いに唯一の兄弟」という強い繋がりに変えることができ、最終的に「実は血の繋がりはなかった」という衝撃的な事実が判明しても、頼朝が遮那との繋がりを決して手放しませんでした。『頼朝が』手放さなかった、というところがポイントですよね。
頼朝は自身の過去を、遮那は改めて女であることを、互いに打ち明けた後に、「兄妹ではなかったけれど、私たちの間には珠玉のような繋がりがある」「これは一体何なのだろう」と抱き合うシーンがまじで美しすぎました。尊い。ここから2人の距離がぐんと恋愛関係に近づきましたね。

また、特によかったシーンは、頼朝が遮那に『気』を与えるところです。大事な兄上の気など吸いたくない、人でなくなってしまう、と死にかけた上に真実を知って混乱する遮那を、優しく頼朝兄上が宥めてくれていました。「守るように優しく兄上が覆いかぶさる。(中略)視界が兄上で覆われる。不安や悲しみ、まるでこの世のすべての惨禍から守ってくれているようだった」という文章に悶絶でした。相変わらず頼朝ルートは描写が美しい。そして兄上が守ってくれるという圧倒的安心感ぱねえ。でも遮那に口付けで気を与えた後に「気分はとても良い」って言ったのは兄上が素直すぎて笑いました。

他に頼朝が素直で可愛かったところは、遮那が女だと分かってから「いいか?絶対に1人で寝ろよ?何があってもだ!」と怒り気味で言ってくるところです。嫉妬心むき出しすぎですよ兄上。あと、知盛がいい役でしたね。一ノ谷の戦いで頼朝に対して「そなたのそれは兄のものではない。嫉妬に狂った男の目だ」と煽るシーン。非常によかったです!いいぞもっとやれ、と内心拍手喝采でした。嫉妬心バレてますよ兄上。ちなみに頼朝と知盛が剣を交えるシーンですが、私は勝手に「お兄ちゃんvsお兄ちゃん」と呼んでいます(関係性としては知盛もお兄ちゃんと呼べるかと)。

そんなしっとり趣のある美しい頼朝兄上ルートですが、FDの方では糖度大増量で鼻血出るかと思いました。頼朝兄上がストライクゾーンに入った方は是非、FDもプレイしてください!

3-3. 平知盛ルート

知盛ルートはなんと言っても、遮那の正体が判明するという、物語としてとても面白いルートでした。遮那の正体、びっくりでしたね!
「…と、いうことは遮那は知盛、重衡、教経の従兄妹に当たるということ?」とふんわり思いましたが、どうなんでしょう。この4人が従兄妹同士としてわいわいする世界線見てみたい。

それはさておき。正直知盛は私の中では好感度マイナスからのスタートでした。だって「泣いている姿を美しいと思った」とか「傷ついて戦う姿がいい」とか変態じゃないですか。知盛の性癖が私にはちょっと理解できなくてですね笑。
ところが、どこか飄々としている知盛が次第に人間らしい言動になっていき、彼の感情に人間らしい火がつき始める様子を見ていると、私の中でマイナスだった好感度がどんどんプラスになっていきました。
清盛の言葉から遮那の正体が分かり、混乱のまま源氏へ帰ろうとする遮那を「離したくないからだ!」と怒りながら引き留めようとする姿、よかったです!!普段感情を読めない人が、感情を曝け出す瞬間ってほんと最高ですよね。

遮那が制御できない気の使い方を調整してくれる。いつ気が暴走するか分からない不安な遮那を安心させてくれる唯一の存在に、知盛はなっていきます。

安心させてくれる存在っていいですよね。教経にも頼朝にも、遮那が窮地に陥ったとしても絶対に助けてくれるという安心感がありました。知盛もしかりですね。

しかし如何せん恋愛云々よりも、遮那の真相が判明するルートということで、知盛との恋愛よりも話自体の面白さが勝ってしまいました。

蛇足ですが。知盛ルートプレイ時点で既に教経と頼朝攻略済みだったので、この2人が出てくるたびに勝手にテンション上がりました笑。源氏と戦う教経を見て「別の時間軸ではあんなに濃厚な恋愛したのにいいいい教経えええ」と思いましたし、頼朝が遮那のメンタルを気遣って見舞いにくるシーンはご褒美でした。知盛ごめん。
それと琵琶湖での怪談話のシーンは普通に笑いました笑。あんな話で怖がる重衡と教経が可愛すぎるし、ドヤ顔で義経に語る知盛も抜けてますよね。やっぱり平家のこの3人組、可愛い!

3-4. 春玄ルート

共通ルートの時からずっとメインヒーローは春玄なんじゃないかって思ってました。イケメンで優しくて幼馴染で強いなんて、最強じゃないですか。そんな完璧な幼馴染、物語が進むにつれて「幼馴染」という関係性が複雑に変化していきましたね。
主従とも言い切れない、でも幼馴染のままでもいけない。そこに遮那の母である常盤御前の意味深な態度や、どんどん進む平家との戦も、遮那と春玄を揺さぶります。遮那ちゃん…このルート辛かったろうなと思います。完璧な幼馴染と冷徹な兄、自分を慕う臣下、しかし自分は本当に源氏の末子なのか?アイデンティティ揺さぶられすぎでした。

そして最強の幼馴染春玄が実は本当の「義経」、頼朝の弟、常盤御前の息子、源氏の末子だったことが判明します。

シンプルに設定うまいなと思いました。
ずっと春玄だけ歴史上の人物じゃないよなと疑問に思ってました。サブキャラすらも実際に存在した人物なのに、春玄は一体なんなんだと思ってました。お前が義経だったのか
言われてみれば頼朝兄上に若干似ているような。そしていかにも寺の稚児、横笛が得意、聡明で強い。確かにお前だわ

源氏の棟梁は頼朝のみ。できすぎる弟など争いの火種になる。後白河法皇にもその才覚を目につけられた「義経」は消さなければならない。そんな春玄と遮那、そして頼朝が計って、壇ノ浦にて「義経」は頼朝に討たれました。
壇ノ浦で頼朝に刺され、海に落ちた2人を見て「頼朝兄上、やっぱり鬼畜…!」なんて思ってましたが、頼朝兄上も全てを察した上で、2人を「義経」から解放したのだと思うと、私の中の頼朝への好感度が爆上がりしました。さすがお兄ちゃん!(拍手)

知盛同様、こちらも春玄との恋愛云々よりも、話の面白さが勝りました。それにしても完璧な存在だよ、春玄。スパダリだな。

そんな春玄、FDでは頼朝兄上に負けず劣らずの激甘スパダリR17.9を見せつけてくれます。思春期のカップルのイチャイチャ度合いパネエ。

3-5. 武蔵坊弁慶ルート

ごめん弁慶、辛口評価です。プレイ順が悪かったのか、プレイ前に私が弁慶に期待しすぎたのが悪かったのか。

弁慶も遮那も、2人とも家族への愛に飢えている、っていうのは分かる。子供達と戯れる弁慶を見て父性を感じるのも分かる。
しかしそこから異性に対する恋愛感情へ繋がる、というのが腑に落ちませんでした。
弁慶はとても優しく懐が深く、遮那を常に守ってくれます。いい人なのは間違いない。多分私の好みの問題なんでしょうが、弁慶は優しいだけの男、という感覚でイマイチ遮那の恋愛感情に共感できませんでした。

あと最後の方で「姫」呼びをしてくるのですが、ちょーーーーーっと苦手でした。(だいぶかも)
知盛の「姫君」呼びは違和感ないのに、弁慶の「姫」呼びは苦手なの、どうしてでしょう…これも私の好みの問題でしょうかね。

次にプレイしたのが教経だったので、教経の威力に負けてしまって、弁慶の印象が霞んでしまったところもあります。

ごめん弁慶。でもいい人だってのは知ってるよ。

4. おわりに

ビルシャナ戦姫、とっても楽しかったです!初めてプレイした乙女ゲームがビルシャナでよかった。
守られるだけじゃなくて、しっかりと戦うヒロインがやっぱり好きです。そういう意味では、遮那がとても好きです!

そしてやはり教経の威力がすごい。
あんなにも濃厚な2人のストーリーを見せつけられて、ルート終了したときにまじで天を仰ぎながら「映画じゃん…」って呟きました。本当に乙女ゲームの奥深さを知りました。
そして基本的に史実に沿った流れを追うため、プレイを終えて平家物語を読みたくなりました。

これをきっかけに他の乙女ゲームソフトにも手を出したので、少しずつ他のプレイ感想も書いていきます!

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