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冷凍で世界の食を変える!デイブレイクが寺田倉庫内で引越し続ける理由

天王洲には、以前から新しいビジネスモデルを開拓するベンチャーが集まる傾向があります。そこで、実際に天王洲にオフィスを構えるベンチャー企業に、天王洲を選んだ理由を聴いてみたいと思います。
1社目は、特殊冷凍テクノロジーでビジネスを展開するデイブレイク。デイブレイクは会社の成長とともに寺田倉庫の中で引越しを続け、現在3箇所目となるオフィスを運河沿いの倉庫内に構えています。
なぜ、寺田倉庫の中で引越しを続けるのかー。
その理由をデイブレイク代表 木下 昌之さんにうかがいました。

Text by Yuko Tsuruoka
Photographs by Isamu Itoh

食品流通に「世明け(デイブレイク)」を

デイブレイクは、特殊冷凍テクノロジーを核とした冷凍のトータルソリューションを提供するベンチャー企業です。

「世明け(デイブレイク)」という社名には、
「業界にイノベーションを起こし、夜の時代を終わらせる」
「食品ロスを解決し、新たな食品の流通によって世の中を明るくしたい」

この2つの融合させた想いを込めています。

冷凍による細胞破壊を最小限に抑えることで、まるで採れたて、できたての味を再現できるデイブレイクの冷凍技術です。この技術は鮮魚や食肉などの素材加工だけでなく、洋食店のグラタンからお団子まで、幅広い食品に利用されています。

また、デイブレイクはCSV(Creating Shared Value)の観点でも高い評価を受けている企業です。冷凍技術により利用者の健康的な食事を支え、フードロスを改善、食の輪を広げるなど、社会貢献にも繋がっています。デイブレイクが成長するということは、経済的価値を高めるだけでなく、同時に社会課題を解決することだと捉えていただいています。

冷凍技術のリーディングカンパニーとして、”あったかい心の連鎖”を繋げていきたい、私たちはそう考えています。

デイブレイク株式会社 代表取締役 木下 昌之氏

創業時から寺田倉庫の物件をねらっていた

私は創業の頃から、天王洲に拠点を構えたいと思っていたんです。
理由は2つあって、交通アクセスの良さと、冷凍機材が置ける物件を探していたからです。

冷凍技術を必要とされるお客様は、北海道から沖縄まで日本各地にあります。ですが、東京で年に数回実施されている飲食関連の展示会に合わせて、東京に出張するというお客様も多いんです。天王洲は羽田空港から約20分、品川駅からタクシーで約5分です。天王洲にショールームを設けることで、東京に来たタイミングで年数回、立ち寄ってもらうことができるんです。

また、急速冷凍機を置くショールームとオフィスですから、物件の電源確保、重量の問題をクリアする必要があります。さらに、以前やっていたフルーツの加工は軽飲食の扱いでした。これらをクリアしようと思うと、普通のオフィスビルでは難しい。

そこで、天王洲にある寺田倉庫の物件をねらっていたのですが、なかなか空きが出ない。ようやく寺田倉庫のT2ビルに空きが出たと聞いて、はじめて入居したのが2019年。当時、デイブレイクの従業員はまだ10名程度で、32坪くらいの広さの場所でした。

”出世ビル”へ移転。その後、手狭になり増床

寺田倉庫T2ビルに入居したものの、実は近くにある寺田倉庫のNビルもいいなと思っていたんです。Nビルは入口に植栽がデザインされていて、雰囲気がいい。

当時、Nビルはいわゆる「出世ビル」と言われていて、このビルに入居すると成長するという噂話を聞いていました。寺田倉庫の新規事業minikuraも、このビルに入っていましたね。そのminikuraを成長させた月森さんが、今こうして天王洲をスタートアップの島にするプロジェクト「Isle of Creation TENNOZ」を始めたのも、エコシステムが回っていることを感じます。

寺田倉庫Nビルでスタートアップの成長期を過ごした木下氏(左)と寺田倉庫月森(右)

そんなNビルに空きが出たタイミングで、T2ビルからNビル5階(39坪)に引越しました。事業成長にともない、2022年にはNビル2階(90坪)も追加で借りました。当時、当社のようなフードテックのベンチャーが入居することに対して、寺田倉庫さんもすごく喜んでくれたのを覚えています。

その後、デイブレイクは特殊冷凍食材流通事業「アートロックフード」を開始して、顧客数は右肩上がりに伸びていきました。

従業員がキッチンに集う、新オフィス

会社の成長に合わせ、NビルからG号という寺田倉庫の本社ビルに引越し、新オフィスを構えました。T2からNビル、そしてG号へ、寺田倉庫の物件内で3回の引越をしていることになります。

オフィス入口にある「アートロックフリーザー」
倉庫をリノベーションしたオフィス
天井や柱はデイブレイクのコーポレートカラーであるターコイズブルーに

G号はコンクリートの柱が剥き出しで、いかにも倉庫らしい物件。その倉庫の無骨な雰囲気が気に入ったんです。倉庫らしさをあえて残したまま、キッチンスペース、オフィス空間をリノベーションしました。食べ物を扱うオフィスなので、衛生面を考慮して靴を脱ぐスタイルにしています。

キッチンは従業員の朝ごはんやランチに使っています。私たちは食品を扱うビジネスですから、自分たちが食べるものも美味しいもの、健康的な食事に常に敏感でいたいからです。

また、フローズンフルーツの事業では、規格外のフルーツを扱うことでフードロス削減に取り組んでいます。そうした農家さんとの関係性をずっと活かしていきたい思いがあって、フルーツを私たちで買い取って「社内マルシェ」で社員に販売したり、野菜やフルーツを使ったスムージーを作ったりしているんです。

大きなキッチンは従業員が集まる大切な場所

天王洲で広まる”あったかい連鎖”

デイブレイクは、天王洲アイルの街とも積極的に関わりを持ってきました。

たとえば、人気カフェ「Le Calin(ルカラン)」でデイブレイクの冷凍フルーツを使ったスムージーを提供したり、「天王洲キャナルフェス」でも冷凍フルーツやドリンクを販売したこともあります。

また、東京モノレール天王洲アイル駅では、「極おむすび」など急速冷凍食品の自動販売機での販売実験を行いました。

今後も天王洲で働く人や住民の方に、デイブレイクの冷凍技術でおいしさを届けられたらと思っています。

冷凍技術で本物の味を世界中に

世界中で注目を浴びる「和食」ですが、お米や味噌、魚といった素材にこだわった本格的な和食を提供するには、輸送の点でまだハードルがあります。

しかし冷凍をうまく取り入れることで、『本物の味』をより多くの人に届けることができると考えています。もちろん、世界中のおいしいものを日本に輸入するときも同じことが言えます。

現状は解凍後のおいしさに注目が集まりがちですが、輸送や食品の長寿命化、それに伴うフードロス、調理や提供にかかる人件費の削減など、冷凍はさまざまな課題を解決する手法でもあるんです。

食に関わる事業なら、冷凍によってビジネスモデルをよりよくできるチャンスがどこかにあると考えています。

いい冷凍機を使えば美味しく仕上がるわけではない」
食材・食品に合わせた高い冷凍技術の提供がデイブレイクの強み

我々は現在、機械の販売とそれに伴うコンサルティング事業を軸にしていますが、最終的には冷凍された商品の販売や輸送までもを担うプラットフォーマーになりたいと考えています。

取引先とその先にいるお客様の両方がよろこぶ商売をすれば、自然と社会課題の改善にもつながっている。そのような循環を生み出し続けたいですね。

デイブレイク株式会社
代表取締役  木下 昌之
神奈川県横須賀市出身70年続く老舗冷凍機屋の3代目。施工管理士として親の会社に勤める傍ら自分にしかできないビジネスを模索。30歳の東南アジア旅行で露店に並ぶ大量のフルーツが廃棄される実情を知り、フードロスへの問題意識に火が付く。2013年7月に特殊冷凍テクノロジー×ITを軸に、国内唯一の特殊冷凍機の専門商社としてデイブレイクを創業。

寺田倉庫では、天王洲をスタートアップの実験基地にするプロジェクトIsle of Creation TENNOZを初めています。天王洲のワークスペース環境を提供するだけでなく、天王洲を「地域と東京を繋ぐハブ」としても機能させ、地域×東京間で実現できる新たな価値循環モデルを追求しています。

オフィスや共有スペースを提供したい企業、借りたい企業はお気軽にお問合せください。

詳しくは公式サイトをご覧ください。

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