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マルチの成功者に学ぶ、幸せの定義①

自分は『事業家集団』という、マルチ商法の団体に所属していた(厳密には元マルチ商法の団体)。
他のマルチ商法をしている人からは、軍隊のような統制力と拡張スピード、高い基準などにより「北朝鮮」と呼ばれていた。

「そんな凄い団体であれば、成功者の方々も物凄いのだろう。」

と思うかもしれないが、現実は非情である。金だけはある人、それすら無くなっていく人。目を覆いたくなる現実があった。

そんな彼らの栄光と転落を記し、反面教師として活かしていただければ幸いである。


ケース1「S」

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生い立ちについて
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Sは『事業家集団』のトップである。彼には興味深い生い立ちがあった。

経営者の子供として産まれたが、暴力を振るわれながら育った。その後父親が再婚するものの、義母からは愛されなかった。自分のご飯は自分でつくり、体操着のゼッケンは自分で縫う。
現在は極度な潔癖症、人が居ると寝れないなどの習慣がついているが、この時の経験が原因だろう。

また、育った地域は富裕層と一般家庭が混ざる場所。クラスメートには大豪邸に住む人も居た。そこの主と接する機会もあり、世の中に格差が存在することを目の当たりにしたそうだ。

時は進み、高校には行かずに就職。様々な職種を転々としながら、稼げる手段としてAmwayに着手。その後ニューウエイズ(現モデーア)に鞍替えし、一機にチーム人数を伸ばす。

ちなみに、Amwayを始めた際、義理の姉から「あんたが成功するなんて、誰も思ってないから」と耳打ちされたそうだ。

そして現在組織は4~6000人規模。ネットワークビジネスで得た金銭を投資に回し、経歴をロンダリング※した結果、今は資産家を名乗っている。経営者どうしの繋がりもあるようだ。

【※経歴ロンダリングとは】
仮にあなたは「グレーな詐欺」で資金を得たとする。そのお金を投資案件につっこみ、配当金を得た。
するとあなたは「詐欺師ではなく、投資で資金を得ている人間」にクラスチェンジし、そう名乗っても嘘ではなくなるのだ!
与沢翼などが投資家を名乗るのも同じ手口。

ここまで見ると、度重なる逆境、それを乗り越えてネットワーカーとして大成したサクセスストーリーにも思える。
特に親族から愛情を受けず育った生い立ちには、同情すら感じるほどだ。


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現在の異常な行動
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さて、Sが作った組織、実に「北朝鮮」らしいエピソードがある。それが「喜び組」だ。
顔写真と文章アピールによる公募を行い、自分好みの女性だけで構成した部隊を作っている。そして、「ミーティングをしよう」と呼び出し、性的行為に乗り出している。

ところでマルチ商法では、法律上「ブラインド勧誘」を禁止している。
「勧誘目的で人と会う時はその目的を事前に明かそう」という至極真っ当な法整備だ。
・・・Sさん、ブラインド勧誘違反だよね??
ちなみに、公募に文章が必要なのは、知性も見定めているからだ。

被害に遭った女性の心中は不明だが、不満をSNSに投稿する被害者を見たことがある。
あまり大きな声で言いたくない人もいれば、心から喜んだ人も中にはいるのか・・?

また、自分の部下なら、簡単に後腐れなくヤれると考えているのかも。
権力を使えば相手は従いやすいし、そもそも断りにくいだろう。
そして行為後にお小遣いをあげれば「双方同意」とでも考えている?

ちなみにSは47歳ほど(令和二年現在)で未婚。リビドー(性欲)の強さは男性的な闘争力に繋がる。経営者としてはそういう人間が居てもいいだろう。英雄色を好むと言うし。

ただし、自身の権力を盾に部下から搾取する姿は問題がある
倫理に反する行為としか言いようがない。

Sが過去親族から受けてきた虐待。それに近いことを部下に行う様は、煉獄蛙の子は蛙貧困の悪循環という単語が思い浮かぶ。


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超!資金吸い上げシステム
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モデーアと『事業家集団』は契約関係にあったものの、ある時解約された。そして自分たちで報酬システムを作るようになった。この背景にあるのが・・・

度重なる違反行為

である。モデーア社からチームの社会的問題点(洗脳、ブラインド勧誘など特定商取引法違反)が問題視され、切られてしまったのだ。
事業家集団が急激にチーム人数を拡張した原因は、ただの法律違反だったというオチである(全員が手を染めていたわけではない)。

そして、Sは様々な部下の反対意見を押しのけて、毎月15万円のお布施と、フランチャイズのような上納(吸い上げ)システムを構築してしまった。
ちなみにこのフランチャイズ実店舗、何故か現金払いのみである。

そして、毎月1万円のオンラインサロン代なども発生する。が、別にオンライン上でセミナーなどが行われるわけでもない。
無のサービスに毎月1万円も払わなければならないのだ。

必然的に、事業家集団からは脱会者が加速的に増えている。そこでこの度、「引き抜きを行えば罰金100万円」という誓約書を作ってしまった。

・・・崩壊は目の前だ。

そういえば、仮想通貨についてかなり調べていた時期があったっけ。
・・・店舗売り上げ報告・・・ちゃんとやってるよね?お金は・・・洗浄しちゃだめだよ?


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Sの幸せとは
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幸福とは、他者との比較により産まれる感情だ。
Sは何をモチベートに日々過ごし、弱者から搾取できるのだろう。

多額の金銭を動かすと、心が鈍感になるという研究もある。経営決断には時に非情さが必要な場面もあり、そのために感受性や共感性が鈍化していったのだろうか。

何せ言えることとしては、彼が幼少期に手にできなかった友人、家族、愛情。これらを得るには難しい状況にあるということ。
意見を言ってきた人間を追放し、影響力が出てきた人間も追放した実績もある。

100歳まで生きるとしたら、残り50年間はこのように生きることになりそうで心配だ。

・誰かの恨みを受けながら
・稼いでいるというステータスに寄ってくる人間と付き合い
・他者に心を許せず
・イエスマンを囲み
・自分の正しさを押し付ける

Sが「稼ぐ」ことにこだわるのは、決して手の届かない理想から目を背けるためなのだろうか・・・。
幼少期に彼を導く教師などがいれば、結果は大きく変わったのだろう。

とはいえ、今の生活に満足している可能性もある。
令和二年5月、一部で話題の「連ちゃんパパ」をご存知だろうか?主人公が他者を陥れたり、カンパ金を貰えばその日のうちにパチンコに突っ込むクズだ。
特殊な思考の人間も中にはいるのだろう。


【オマケ話】富豪が残すべきは理念・価値感

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この屋敷はアメリカにあるビルトモア・エステート。
汽船起業家バンダービルトの元豪邸だ。彼の事業は軌道に乗り、蒸気船から鉄道帝国まで築き上げ、当時の合衆国財務省の純資産を超えるほどだった。

二代目はそんな父親から受け継いだ資産を二倍に増やした。しかし三代目はこの資産を食いつぶた。そして現在バンダービルトの子孫は、この豪邸を所有していない(元々アメリカでは相続税が厳しいのもある)。


三代目はこう語ったとされる。

「相続した財産は幸福へのハンディキャップだ……望むものや追い求める確固としたなにか、または目指すべきものも全て満たされており、残されていたものは何もなかった」

稼ぐ意義や目標が継承されていなかったわけだ。


「お金を儲けたい」と息巻いて事業を興し、結果を出す人も中には居るだろう。ただし、社会は価値をもたらすことで富が得られる。この順序は揺らぐ事は無い。目的と手段を逆転してはいけないわけだ。

マルチ商法は「稼ぎ方」に教育の比重を置く組織だ。だから彼の周りに居る人は、共感性や協調性に倫理観が高くない。何を与えるかよりも、奪う事に注力している。
これは「まわりの全員が競合」という特殊な人間関係がそうさせるのだろう。不公平な競争社会では、より狡猾な人間が勝つからだ。

本来引き継ぐべきは「どう喜んでもらうか」「そのための手段」のはずだろうに。そうしないならば、拡張はあり得ない。


マルチ商法に対する私的見解

「成功」や「人生大逆転」などと謳い、勧誘が行われるこの商売。残念ながらその先にあるのは自我の崩壊だろう。

いくつかのマルチ成功者は、認知の歪みが見受けられる。孤独に耐えきれないようにも見える。しかし全く逆に、一切のブレが無い人物も知っている。

そのあたり、追々つづっていく。


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