Universal Mask Usage for Reduction of Respiratory Viral Infections After Stem Cell Transplant: A Prospective Trial
https://academic.oup.com/cid/article/63/8/999/2389110
少し古めですが、2016年のCIDからです。造血幹細胞移植ユニットで医療従事者がサージカルマスクをつけることで、患者のウイルス感染症が減った、というbefore after Study。米国のDuke Universityからの報告。研究のスキームは図1。“Mask pireiod”では患者に直接接触する人全員がサージカルマスクを着用する。具体的にはmedical staff、support staff、面会者、caregivers(介護者)、そして患者自身だ。患者は部屋を出るときには必ずサージカルマスクを着用するに指導されている。
Universal mask usageの期間は2009年の12月から。6週間の調整期間をおいて2010年1月から2014年まで研究が行われた。
結果はTable 2。RVI(Respiratory Viral Infections)の発症はPremaskとMask periodで有意に低下。Premaskの期間は920人中95人(10.3%)だったのが、Maskの期間は911人中40人(4.4%)。特にParainfluezaが低下している。これを自家移植、同種移植で分けてもその傾向は同じ。
Fig 2は介入前後でのウイルス感染症の発症を可視化したもの。マスクの着用後に感染が減ってそうに見えますね。これはTable 2のデータと基本的に同じものです。
ウイルスには季節性がありますし、年によっても流行する傾向が異なったり、年齢や場所、移植のタイプ、免疫抑制剤の種類、GVHDの有無などの影響もあるかもしれません。そのためtime series解析もされています。結果はTable 3。Parainfluezaは夏に流行するので、InfluenzaやRSVは冬に流行します。そのため季節的には夏が一番リスクが高くなってますね。この解析をしてみても、やっぱりサージカルマスクを使うことで感染リスクが減っている(相対危険度0.484、P値は<0.001)。
そんなこと言って、実は病院全体でウイルス感染症減ってたんじゃないの?という突っ込みに対する回答がFig 3。病院全体のParainflueza virus感染症の推移と比較(Fig 3)。マスクをする前の期間は病院でParainfluezaが流行すると、移植ユニットでも流行していたようですが、サージカルマスク着用後は病院でアウトブレイクしても、移植ユニットでは流行しなくなっている。
ということで、移植ユニットでのサージカルマスクを全員着用することで、呼吸器ウイルス感染症、特にParainfluezaに関しては減らすことが出来そうだ、という論文でした。
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