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第66回有馬記念 全頭血統考察(簡易版)


2021 第66回有馬記念
全頭血統考察(簡易版)


アカイイト

キズナ×シンボリクリスエス。
母ウアジェドはJRA芝2勝。母はEight Thirtyのクロスを持ちMud Routeの血を持つことはキズナとの相性が良い。シンボリクリスエスとRose Bower、Manchester MissとGiftisaのStrawberry Roadの硬すぎず柔らかすぎずの関係性は母系に入って良さを主張しやすい。長く速い脚を持続することは他馬比較で劣る印象。器用な競馬が出来ない側面からも中山2500mなら外枠が理想。

アサマノイタズラ

ヴィクトワールピサ×キングヘイロー。
母ハイタッチクイーンはJRA芝3勝。SSを介さないHaloクロスが強調されている機動力に長けた馬で、好走したすべてのレースが中山芝コースということは偶然ではない。Sharpen UpとSpecialの関係性からも持続性能特化で瞬発力勝負だと足りないケースが多い。本来先行して良さが出そうなタイプではあるものの、馬のタイプから後方待機でのレースを選択しがち。どうしても展開待ちの部分はあるが、展開がハマったとはいえソーヴァリアントを差し切ったセントライト記念は強い内容だった。馬場状況と展開次第では去年のサラキア枠になり得る。

アリストテレス

エピファネイア×ディープインパクト。
母の半兄にはリンカーンがいる血統。バレークイーン牝系出身でトニービンとSadler's Wellsの血を内包することからも長い距離向き。バレークイーン牝系出身馬はアンライバルド、フサイチコンコルド、エスポワール、フランツなど古馬になってから成績が低迷する馬が多い印象が強く、古馬になってから活躍した馬はリンカーンのみ。本馬は前者のような戦歴を刻んでいる面からも強い馬を相手にどのようなレースが出来るか。

ウインキートス

ゴールドシップ×ボストンハーバー。
半妹にウインイクシードがいる血統。母イクスキューズはクイーンC勝ち馬。ステイゴールド×ボストンハーバーはクロコスミアと同配合パターンで、非常に相性が良い配合の一つ。立ち回りの上手さはクロコスミアと同様で、先行しての持続力比べが理想。相手関係がどうかも内枠を引くことが出来れば一考の余地あり。

エフフォーリア

エピファネイア×ハーツクライ。
エピファネイアとハーツクライは中長距離の大レースを勝った馬。だからこそスピード不足に陥りやすいが、Katies牝系は色濃くスピードを伝える牝系だからこそ持続力比べで劣らず、瞬発力勝負になったとしても他馬比較で引けを取ることはない華麗な血統背景を持つ名馬。走法は大跳びだからベストは東京コースだが、皐月賞のような器用さも持ち合わせるから消すことが出来ない一頭。基本的には距離延長戦向き。ここでも当然有力。

キセキ

ルーラーシップ×ディープインパクト。
ルーラーシップ×ディープインパクトの血統構成は持続性能特化型に出やすいが速い脚の持続力は劣る馬が殆ど。この馬の場合はドクターデヴィアス×Full Cardの血を持つためその点については解消。元々GⅠ好走歴多数も年齢を重ねる毎に走ることに対しての前向きさが欠けてきている印象で、近走は全く真面目に走っていないように見受けられる点がどうか。真面目に走るなら当然有力。

クロノジェネシス

バゴ×クロフネ。
ラスティックベル一族出身で半姉にはノームコアがいる。牝系がスピード血統だとこのような馬が輩出されやすい傾向にあるのがバゴ産駒だが、スピード血脈を取り入れすぎると早熟傾向となりやすい難しい種牡馬でもある。クロノジェネシスの血統構成に関してはステラヴェローチェの項に記載。分かりやすいように古馬クラシックで好走しているものの、海外帰りの今回は調教での走りを見る限り走法の変化が顕著。最終追いきりでどのような走りを見せるか。全ての材料が揃ってから判断したい。

シャドウディーヴァ

ハーツクライ×Dansili。
母ダイヤモンドディーバは米重賞勝ち馬(芝1600m)で、半姉にはハウメアがいる血統。2代母ViviannaはDelta JudgeとAuction Ringの関係性、Swing EasyとBest in Showの関係性からもパワー質に長けた馬。DansiliとViviannaの関係性から見ても距離は1400~2000m前後まで対応可能。今回も少々距離が長いように感じるが、それを容易に対応出来る騎手が乗ることで問題視する必要はなくなっている。今回も十中八九先行するはずで、先行するなら距離の不安は薄れる。

ステラヴェローチェ

バゴ×ディープインパクト。High Clere4×5のクロスを持ち、Height of Fashion≒Burgclere3/4同血の間柄。バゴ産駒といえばクロノジェネシスを思い浮かべる方が多いかと思うが、母系にサンデーサイレンス+Roberto+北米血統を持つことはクロノジェネシスとステラヴェローチェの共通項でもある。
(クロノジェネシス→サンデーサイレンス+Roberto+Deputy Minister)
(ステラヴェローチェ→サンデーサイレンス+Roberto+Gone West)
Height of Fashion≒Burgclere、サンデーサイレンス+Roberto+北米血統、これに加えてNashua≒Nantallahを増幅させる配合面から見れば本質的には2000~がベスト。菊花賞は神戸新聞杯のダメージやバイアス不利なども相まって敗戦したが実際は強い内容。ダメージ面の回復や枠順が鍵となりそう。内枠が欲しい。

タイトルホルダー

ドゥラメンテ×Motivator。
半姉に菊花賞5着馬のメロディーレーンがいる血統で母メーヴェはJRA5勝馬。ドゥラメンテ×Sharpen Upは相性の良い配合パターンの一つで、タイトルホルダー、アスコルターレ、ファルヴォーレなどがこれに該当。柔と剛を重ねた配合が魅力で、Hyperion多重クロスに加えてMill Reefのクロスを兼ね備えた配合だから比較的高速質の馬場も許容範囲。母系の影響から長距離質に距離適性がシフトしており、血統背景からは持続性能特化。当然ここでは有力の1頭だが、セントライト記念のように前に馬を置く形でのレースでは折り合いが効かなくなる可能性が非常に高い。枠順と他馬比較での枠の並びが鍵。特にパンサラッサとの兼ね合いを判断したい。

ディープボンド

キズナ×キングヘイロー。
モガミポイントの牝系出身だから近親には高松宮記念、スプリンターズS勝ち馬のローレルゲレイロがいる血統。Haloのクロスを持つキズナ産駒はアカイイト、ソングライン、ファインルージュなど相性が良い配合の一つ。Storm Bird≒Nijinskyのニアリークロスを内包することもキズナ産駒の走る配合の一つ。大跳びの走法や息の入れ方、コーナーでの挙動などが距離適性を伸ばしていると思われる。凱旋門賞は早々に追うことすらやめていることが功を奏したかはわからないが、中間の過程を見てもダメージは少ない印象。好走条件として時計を要すことが大きな部分を占めており、天候や馬場状況を注視しながら予想を進めていく必要性は高い。全くノーチャンスではない。

パンサラッサ

ロードカナロア×Montjeu。
半姉に京成杯AH、阪神牝馬S、キーンランドC好走馬ディメンシオンがいる血統。ロードカナロア×Sadler's Wellsはサートゥルナーリアやキングオブコージなど中長距離適性にシフトしやすい配合パターン。母ミスベンバリーはSpecial=Thatchのクロスを持つから持続性能特化タイプだが、Mill ReefとShoreの関係性から日本の芝のレースで走ることが出来る側面も持つ。しかしディメンシオンや本馬を見てもSpecial=Thatchのクロスの影響を多大に受け継いでおり、時計を要す馬場で激走する傾向にある。前走の福島記念は超前傾質のラップを刻んで後方馬に脚を使わせるレースを展開しての勝利。勿論ここでも主導権を握る立場になり得るはずで、レース質として前傾質でのレース展開は想定しなければいけない。この馬が今年の有馬記念のキーポイントとなる可能性は非常に高い。馬場が渋って前が残りやすい馬場状況になれば本馬が台頭するチャンスも。本馬もノーチャンスではない。

ペルシアンナイト

ハービンジャー×サンデーサイレンス。
母オリエントチャームはゴールドアリュールの半妹だが、オリエントチャーム自身は芝マイル近辺を主戦場としてきた馬。ハービンジャー産駒は母からスピードの要素を取り入れることが出来ないとダラっとした脚になりやすいから、オリエントチャームとハービンジャーの配合は走る産駒が出やすい配合。この傾向はブラストワンピースやノームコア、ディアドラ、ナミュールなど収得賞金上位馬の大多数に該当している。3,4歳までは距離延長戦or同距離+叩き2走目で好走する癖があったが、年齢を重ねるとともにこの傾向は変化。今は休み明けでも好走する機会が多くなったし、内回り2000m戦、時計を要す良馬場で好走する癖を持つ。距離適性は2000m前後。昨年のようにペースラップが速くなるなら後方から突っ込んでくる可能性もあるが、馬券圏内まで捻じ込むシーンは考えにくい。展開待ちは否めずメンバーレベルも高くなる今回はどうか。

メロディーレーン

オルフェーヴル×Montjeu。
半弟にタイトルホルダーがいる血統で母メーヴェはJRA5勝馬。母系の影響から長距離質に距離適性がシフトしており、血統背景からは持続性能特化。欧州のステイヤーは小柄な馬体を持つ馬が多く本馬もその傾向に合致。過去の戦歴やレースぶりを見ても時計を要す馬場が良いが、メンバーレベル的にもこのメンバーに入る余地があるかは疑問。

モズベッロ

ディープブリランテ×Harlan's Holiday。
母ハーランズルビーはHaloクロスを内包するから小脚が使えるタイプで馬場不問。しかし基礎的なスピードが不足していること、牝系から影響を受けた馬体の造りから道悪で台頭しやすい傾向。当然ここでも馬場状況次第となりそうだ。今からでも雨乞いしたい。

ユーキャンスマイル

キングカメハメハ×ダンスインザダーク。
母ムードインディゴはローズS、秋華賞2着馬で府中牝馬S勝ち馬。全兄ノガロはリープフォージョイを主張したような馬だったが、本馬はダンスインザダークに似た胴長体型で中長距離適性に長ける馬。左回り+持続質の馬場+中長距離戦線がベストだったものの、レースを重ねたことや馬具の変更などにより右回りでももたれる癖は解消しつつある。しかし近走は追走力が衰えてきているのか後方一辺倒の競馬が続いており、展開待ちの面は否めない。

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