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まどか展について

 今更だが10月上旬、まどか展に行ってきた。そのことについて軽く触れたい。

 10年前、オフ会で知り合った人たちと、サンシャインシティで「魔法少女まどか☆マギカ展」に行ったことを思い出す。あの時の展示はどちらかというと各キャラクターごとにブースが分けられ、キャラクターの魅力を追う、さらにちょこっとパネル等で物語の演出を再現する、という内容だったと記憶する。もちろんそれはそれで作品に思いを馳せるという意味はあったが、あえて展示でしか見れないものがあったとも思えない。等身大サイズのキャラクターのフィギュアもあったが、巴マミ以外では、そこまでクオリティの高いものだった記憶もない(当時の情景が映っている記事があった、続編の展示レポはこちら)。
 
 アニメ関係の展示は、案外難しいものなのだろう。一般的な絵画の展覧会や博物館の展示と違い、描いたものや作成したものの実物を見れるわけではない。昔はセル画などを見る楽しみがあったかもしれないが、今は完成品はほぼデジタル処理されたものなので、特別そこに行かないと見れないもの、という実感も少ない。となると、こうした展示はアニメ等の物語を追体験する演出こそ力を入れることになる。

 2011年のまどか☆マギカ展は放送した年に作ったせいか、急ごしらえの印象があった。放送10年目のまどか展は、その意味では面白い展示になっていた。大まかには当時の監督や脚本家等のスタッフなどのコメントを交えつつ、全12話分の物語を一話ごとに振り返る流れだ。その中で興味深かったのは作品制作にいたる背景が詳細に触れられていたことだ。とりわけ、イヌカレー演出についての解説などは、アニメ制作に疎い我々素人には大変興味深く、わざわざ展示を見に行ったかいがあった。他にも、作品に登場した魔女、使い魔の紹介や、魔女空間の演出なども凝っていた。各キャラクターへのスタッフ・キャストの思い入れなども、ここに来て改めて発見することもあり、興味深い展示だった。

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 なお前述したとおり、同展示では各話ごとに1ブースという形でまとめていたが、力が入っているなと感じたのは8・9話と10話だ。まどか☆マギカは群像劇的な色彩の強い作品であり、各キャラクターの最も活躍する場面に力を入れたいというのはわかる。9話は魔女化したさやか(オクタヴィア)に杏子、まどかが対峙し、杏子が絶命する回。10話は言わずもがな、ほむらの時間ループの回だ。
 確か8・9話のブースではさやかと杏子のセリフがそのままパネルになっており、さやかと杏子の関係がより強調されていた。展示を見る前から予想はしていたが、やはりなぁとは思った。まどか☆マギカは群像劇とは言ったが、より注目されるのは杏子→さやか、ほむら→まどかの関係性、いわゆるカップリングだった。それは放送当時から今までずっと変わらない。

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 8・9話の杏子の行動については、個人的には感動よりは違和感が残った。杏子はさやかがひとりぼっちは寂しいだろうということで、魔女となったオクタヴィア(さやか)とともに絶命するのだが、「正義の魔法少女」であるさやかは、杏子が死ぬことを望んだのだろうか。確かに、杏子がさやかに対して並々ならぬ思いがあることは受け止めるとは思うが、さやかは自分のせいで人が死ぬよりも、杏子に生きてほしかったのではないだろうか。この辺の経緯については続編の劇場版で顛末がつくのだが、それについては機会があれば別の記事で書きたい。

 まどか☆マギカは愛着のある作品だが、一般的にいわれる名場面とか、カップリングが個人的に馴染まなかった不思議な作品だった。自分の好きなシーンやカップリングがもっと注目されてくれたら正直嬉しい、という気持ちはある。とはいえ放送からもう10年も経過しているこの作品、自分の感情は抜きにして、なぜこの作品が愛されているのかを俯瞰して考えることで、新たな刺激ももらっている。今回の展示も、まどか☆マギカがどのようにして作られていったのか、それが今になってどのような意味があったのか、振り返る機会になった。まだ新作の劇場版を控えている中、まどか☆マギカを巡って語りたいこと、考えたいことはたくさん出てくるだろう。今後とも、何かまどか関連のイベントがあれば参加していきたい。

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