人生はきょう一日

「人生はきょう一日」 と いう題名の本

 50年以上前かもしれない。小さな書店に並べられた本の題名にビビビッとなった。
 「人生はきょう一日」 水上勉

 「越前竹人形」の作者だということくらいしか知らなかったが、その本を買って読んだ。それほど込み入ったことも書いてなかった。いまでは内容は覚えていない。
 題名がすべてだったとも思う。
 何の解説もいらなかった。
 まわりの、殆どの家が浄土真宗の門徒である。そういう風土で育ったので、私には無常観という感覚が合っていたのかも知れない。

 だから、死はすぐそこにあるという感覚は理解できた。
 
 きょう一日は生きられる。

 朝起きたらそう思うようにしている。
 金も名誉もあわのようなもの。

 


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