子供の流儀

当店の店内には昔絞った菜種油を保管していた大きな油壺(甕)が5つ地中に埋まっているのですが、そのうちの一つを強化ガラスを通して外からも見えるようにしております。
 
店に入っていきなりその存在に気づき「あ、びっくりした!落ちるかと思った」と驚くお客様もいれば、「これ乗っても大丈夫ですか?」とおそるおそる上を歩く方もいらっしゃいます。
 
で面白いのが大人と子供の反応の違い。大人の方は地中に油壺がある事実を確認したり驚いたりされるのですが、子供はそれよりも中に何があるのか興味があるようで、大抵しゃがんで穴の中を覗き込むのです。
 
さていつ頃からだったか、そしてどうやってだか壺の底にサワガニが入り込み、今はもう死んだまま動かずにいるのですが、「あっ、カニがいるぅ!」と、これに気づくのはほぼ100%子供たち。大人は子供に言われて初めて気づくか、言われても「そんなもん居るわけないやろ」。子供と大人の視界の違いもあるでしょうけど、先入観もないから発見できるのでしょうね。
 
サワガニを見つけた子供たちと「何でこんなところにいるんだろうね?」と会話するのですが、一番秀逸だった子供の答えは「わかった!天ぷらにしてもらおうと思ったのかなあ」というもの。油壺だけに?(笑)
 
ちょうど某紙の短歌欄に「子には子の散歩の流儀があるようで、石はけるべし穴のぞくべし」という投稿歌を見つけました。好奇心とも言える子供の流儀。侮るべからず。

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