耐雪梅花麗

「雪に耐え梅花麗し」。大リーグでも活躍し、先頃新たに野球殿堂入りした元広島カープの黒田博樹投手の座右の銘です。もともと西郷隆盛が詠んだ漢詩の一節で「梅の花は寒い冬を耐え忍ぶことで、春になればいちばん麗しく咲く」という意味だそうです。
 
黒田投手と言えば今から9年前、大リーグの球団から提示された21億円という年俸を蹴って5分の一にも満たない額で広島カープに復帰。そしてその年チームは優勝。まさに男の中の男として称賛されたものです。
 
ちょうどその年の初春、私は母校長浜西中の卒業式で告辞(教育委員からの祝辞)を読む機会を与えていただき、この逸話を話したことを思い出しました。
 
「『雪に耐えて梅花麗し』という言葉は「良い時も悪い時も変わらず汗を流し続けることが大事だし、頑張れば必ずその報いがある」と理解され、ヤンキースのチームメイトや監督にまで共感されたそうで、真にインターナショナルなものは言語の壁を超えるものだ。
 
華麗に咲いて蝶が乱舞するように散る桜に対して、梅はやや地味だけれど、長浜盆梅展を鑑賞していると、一鉢一鉢姿かたち・枝ぶり・色・香りに至るまで個性があり、痩せこけても歯をくいしばり生き抜いている。我々が範とすべきは桜よりもむしろ梅の方なのではないか」。そんなことも話しました。
 
さて先月も大雪に見舞われた長浜ですが、それにもめげず長浜盆梅展会場で多くの人が梅を愛でている声が聞こえてくるようです。「この花は紅(あか)だ」「こっちは白だ」「いや黒田」。黒は無いわ、もうええわ。

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