弟と私の関係性~年齢差と家庭環境から思うこと~

私と弟は6歳離れている
名前の由来は平塚雷鳥の「原始、女性は太陽であった」にちなみ、私には「日」、弟には「月」の文字が入っている

顔が似ていると言われたことはあまりなく、いとこと弟の方が似ていると言われていた
性格も似ていると思ったことは一度もない
食の好みも違う
強いて言えば、果物が嫌いなところと遊園地の乗り物が苦手だという、しょーもない部分だけ似ている

特別仲がいいというわけではないけど、お互い大人になってから、たま~に電話で話すと結構な長電話になる
笑いのツボや突っ込みがシンクロすると、『あぁ、やっぱり姉弟なんだ』と思ったりする

私からすれば6歳も離れているから、赤ちゃんの時はミルクもあげたしオムツも替えてブランコに乗せて揺らしてやったりもした
その後も一緒に遊んだ記憶というよりはいつも私の後についてきていたという印象しかない

私が中学、高校の時はまだ小学生
友達にもとてもかわいがられていたから遊びに来ると当然のように弟も部屋にいたし、未だに友達の脳内の弟は小学生のままらしいが、本人はもうとっくにいい歳のおっさんである

弟からしても、6歳上の姉と遊んだという記憶はあまりないと思う
私がテスト勉強の休憩時間にファミコンをしている弟からリモコンを取り上げてゲームをしても、ニコニコして攻略法を教えてくれた
なかなか不憫だけど、弟からすると一緒にゲームをしてくれて嬉しいという感情があったのかもしれない

弟が中学生の頃、私はすでに運転免許を持っていたから運転練習がてら助手席に弟を乗せて夜のドライブをしたことが何回かある
田舎だから夜遅くまで開いている所といえばゲームセンターくらいで、当時はなんとか条例みたいな未成年の出入り禁止の縛りもなかったから、途中に寄ったりもした
中坊からしてみればちょっと背伸びしたような体験だったであろうから、楽しかったかもしれない

私が21歳で弟が16歳の時には両親はすでにいなかった
過去の投稿のとおり、父親がいないのはどうでもよく、むしろ良かったけど、母が進行したがんであることがわかって入退院を繰り返した果てに亡くなったことはずいぶん堪えた
多感な時期の弟にとってはなおさらだったはずだ
卒業式や入学式は伯母が、合格発表や保護者会は私が行ったけれど、だからいいと割り切れるものでもないだろう

同じ境遇で育ったのはこの2人しかいない
年齢や性格の違いがあるから見えていたものや感じ方に多少の違いはあるだろうけど、幼心に見えた景色に感じたことの数々は決していいものではなかったはずだ

大人になってからもそんな感情の答え合わせをしたことはないけれど、話していると暗黙の了解というか、その体験を踏まえた上での会話がこの2人だけに存在する
楽しい話や愚痴、笑い話のやり取りの中に、しみついて消えることのない、あきらめや楽しい経験の貧困さを感じずにはいられない瞬間がある

流星の絆という、幼い時に両親を殺された兄弟が仕返しのために自分たちで犯人を捜すドラマがあった
私はこのドラマにとても惹かれた
両親を殺されたわけではないけれど、かつて『この父親を殺したら私たちは解放されるんじゃないか』と思った私には、ドラマの展開を見ずにはいられなかった

その時に弟と電話で話していて、「そういえば、面白いドラマがあるよ。流星の・・・」と言いかけた瞬間、「見てる」と弟が言った時、大人になっても消えることのない、子どもの頃に味わった負の感情の共有を確信したのだ

もし、あの時代、あの状況で、私と弟の年齢差がこれほどなかったら・・・もし、情報を得る手段が今の時代のように発達していたら・・・
と空想した時がある

選択肢はいくつか浮かぶけれど、答えは最終的に一つに絞られる
弟と協力して、誰にも知られない方法を探して探して、考えて考えて、綿密な計画を立てて・・・父親を抹殺するかな
誘うのは確実に私からで、弟は多分「いいよ」というだろう
もし、実行した後明るみになっても、私は後悔しないのではないか、と

結果、歳が離れていてよかったし、情報網が発達していなくてよかった
そんなことをしても嫌な記憶は消えることはないし、その後の人生に何が待っているかわからないからもったいない
成長と共に得られるであろう自ら切り拓いていくチャンスがあるのに、自分で潰す方向に全振りする必要はない
もっと正当な方法で抜け出す情報をつかんでスマートに攻めるべきよと、いろんな経験をした今なら笑って言える

いつか弟に聞いてみようかな
もし、あの時代、あの状況で、私と年が近かったら・・・
もし、情報を得る手段が今の時代のように発達していたら、どうする?

「あんた、ドラマの見過ぎやで」
なんとなく飄々として浮世離れした雰囲気を持つあいつは、そう言いそうな気がする





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