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時空のはざまで真実を追求する少女 6

 不思議な感覚

 あれから、何年かの歳月が流れた寒い冬の日、デパートに仮縫いをした洋服を取りに行っての帰りのことでした。家の近くのバス停で降り、ふと反対側を見ると私のいとこが、少し転びそうな感じで歩いていきす。
変な歩き方をしているなと思い、もう一度よく見ると、そこには絵で描いたような感じで、若い美しい仏が少しデコボコの雪道を踊っているような、滑っているような不思議な動き方をしながら、ツツツと歩いていたのです。
「キャー」声になりませんでしたが、その瞬間「あー、この人死ぬ」と感じました。
 私が何か、こうした不思議なことを感じる時、自分が大地の上に立っているのか、座っているのかさえ分からなくなります。
そんな時は怖くってすぐ自分にもどりますが、この時は、それから自分がどうやって家に帰ったか覚えていないのです。気が付いた時はふとんの中で震えていました。
 そして、頭の中ではいとこの奥さんとお子さんの事ばかりがくるくる回っていました。いったいどうすれば良いのか。いとこには三人のお子さんがおり三人目のお子さんが生まれたばかりで、それも心臓に穴が開いているため、手術をしなければならないのです。どうすれば良いのか、できれば奥さんに伝えてあげたい。
「あなたの旦那さんは、もうすぐ死んでしまうから、三番目のお子さんのことをどうしたら良いか聞いておいたほうがいいよ」          「旦那さんが死んだ後どうやって生きていったらいいか、聞いておいたほうがいいよ」それから・・・・それから・・・・「遺言書を書いておいてもらったほうがいいよ」と言ってあげたいと思うのです。 

 しかし・・・・しかし・・・・絶対に、口が裂けても、そんなことは言えない!!                             「あぁぁぁー」何もできない、これほど悲しく切ないことが、この世にあるのだろうか。この気持ちをいったい誰に話したら良いのか・・・・。    毎日いつ葬儀の知らせ来るかと、ドキドキしておりました。        それから、十日後いとこが亡くなったと家に知らせが来ました。葬儀には父が病気で行けないので母が行きました。

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