遅延損害金についての雑感

遅延損害金、利息、そのようなものは公債権でも民事上の債権でも発生します。以下、遅延損害金で統一しますが。

実務上、年利(「一年間」の利息)●●%という形で決めることが多いです。

遅延損害金の計算式は、元金×年率×滞納日数/365日
となりそうですよね。
ただ、これは、閏年の考慮が抜けています。おられると存じます。
年利/365になることもありますし、年利/366になることもあります。
エクセルであればyearfrac関数でその点は対処できます。年に応じた割合の計算になるので、閏年も自動的に計算してくれます。
会社などで利息のシステムを組むときにはご注意くださいね。

ではそれでいいじゃないかと思いますが、一部の公的債権については、「利息等の表示の年利建て移行に関する法律」という法律があります。
「(遅延損害金などの計算において)年当たりの割合は、閏年の日を含む期間についても、三百六十五日当たりの割合とする。」
これの意味するところは、閏年においても年利×経過日数/365にせい、ということなのでしょうが、ここで疑問が生じます。
閏年においては全体で366日ありますから、1年経ったときには
年利/365×366の遅延損害金が発生しますが、これは「一年間」の遅延損害金からみて366/365になるので、「年利」のはずが、実際に発生する金額が「一年の利息」という概念であるはずの年利からずれているのではないか?問題です。

良くわからないので公的機関に問い合わせたところ、「日割計算しているので、閏年は年利/365×366の利息になりますよ」ということでした。

裁判例はないです。閏年は4年に一回ですから、4年以上税金を滞納している人は、訴訟をすれば1日分延滞税を削れるかもしれませんね。「利息等の表示の年利建て移行に関する法律」の解釈によりますし、望み薄ですから私は受ける気になりませんが。

1日削ったところでどうやねん、という根本的な問題があるですが法律というのは結構意外なところまで決まっています、というお話でした。

追記:金融庁に問い合わせをしたところ、条文理解として年利とは公債権においては利息等の表示の年利建て移行に関する法律によって、365分の一を日割り利息とするという趣旨だということです。つまり実際は年利ではなく日利だと。

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